【追従性UP】STIラテラルリンクの効果について解説

【追従性UP】STIラテラルリンクの効果とは【現役ディーラーメカニックが徹底解説】

STI ラテラルリンクってどんな効果があるの?

こういった疑問にお答えします。

先日このようなリプライを頂きました。

ラテラルリンク(別名ラテラルロッド)とは、リンク式サスペンションの構成部品の1つで、主に駆動方式がFRや4WDの乗用車や商用車の後車軸に使われていたり、トラックやバスでは前後軸ともに使用されていたりする部品です。

役割としては、耐衝撃性に優れたホイールの横方向の動きを制御するもの。

前後方向の位置決め、挙動に関わるトレーリングアームに対して、ラテラルリンクは、その支点を中心とした振り子運動をクルマが上下に動いた際に、車軸の横の動きによりタイヤが地面を横方向に「こする」力を抑制する効果があります。

スバルの場合、リヤのサスペンション(ダブルウィッシュボーン式)に追加してラテラルリンクが装着されており、スバルのサスペンションのメリットである「リアの追従性や応答性」に貢献しているパーツでもあります。

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スバルの現行車のリヤは、タイヤが上下に動いた際のキャンバー角の変化が小さく、グリップ力が安定し、乗り心地に付与できるダブルウィッシュボーン式を採用しており、近年ではサブフレームの剛性強化でさらなる進化を遂げています。

そこで、STIから更なるサスペンション特性を手に入れためのパーツ「STI ラテラルリンクセット」というものが販売されています。

効果はいかがなものなのでしょうか。

この記事では、STIラテラルリンクの効果について、スバリスト歴12年目であるわたしが経験を元に解説します。

本記事のテーマ

【追従性UP】STIラテラルリンクの効果とについて解説

STIラテラルリンクの効果とは

【追従性UP】STIラテラルリンクの効果とは【現役ディーラーメカニックが徹底解説】STI ラテラルリンクの効果とは

STIラテラルリンクは、内側のラバーブッシュをピロボールブッシュに変更。リヤサスペンションの動きを円滑にし、ストロークする際のフリクション低減とキャンバー剛性を向上させるパーツになっています。

結論としては、劇的に変化するほどの効果は体感できないかもしれませんが、STIのフレキシブルタワーバーやフレキシブルドロスティフナーとの組み合わせによっては相乗効果を成すパーツだと考えます。

【基礎理解】ゴムブッシュ

純正のクルマのサスペンションの多くは、ゴムブッシュが採用されています。

各自動車メーカーがクルマを開発する上で目標にしていることは、全体的な自動車性能を高めること。

それは単純にコーナーリング性能などを高めるわけではなく、「安定して走る」「乗り心地も良い」「シンプルでメンテナンスしやすい」「コストが掛からない」とのバランスを考えてのこと。

それに加えて剛性との折り合わせをし、ゴムブッシュを採用しています。

ゴムブッシュが使用されているのは、主にサスペンションのストロークに合わせて可動する関節にあたる部分になります。

デメリットとしては、部品同士をゴムで繋いでいますので、路面からの強い力がかかるとゴムブッシュが一時的にたわみ、パーツが本来の位置からわずかにズレてしまいます。

結果、自分が思っていたクルマの挙動ラインとのズレができてしまい、それがストレスになってきます。

しかしゴムなので、第2のダンパーの役割をしてくれますから、サスペンションで衝撃を受け止めて、ゴムブッシュでもある程度たわみで吸収してくれるという効果もあったりします。

あとは、ダブルウィッシュボーンの場合だと、ロアアームとアッパーアームでブッシュの硬さを変更することで、深くターンした際に、柔らかい方のブッシュがよりつぶれる事で追従性やねばり強さを出すといったことも可能になります。

ゴムブッシュのズレによってコーナー中のアライメントが徐々に変化し、それがタイヤのグリップや操作のしやすさに繋がっていることもあります。

「ゴムブッシュだから安上がりなパーツだ」というわけではありません。

【基礎理解】ピロボールブッシュ

ゴムブッシュに比べて、ピロボールの場合は、金属のパーツが内部でスライドし、中心に軸が動くので、中心点がズレることがありません。

フレキシブルに制限なく動き、抵抗なく自由に動いてくれるので、路面からのダイレクト感が増し、それは、シャープなハンドリングと、ターンインから立ち上がりまでリニアなサスペンション特性を実現させてくれます。

ただ、注意して頂きたいのがフルピロ化することが必ずしも正解ではありません。

基本的にクルマは、ゴムブッシュを前提に足回りの設計はされています。

ピロボールにすることで、オーバーステアになったり、アンダーステアの傾向が強くなったりする可能性があるので、ブッシュ変更をする場合は、ご自身の運転テクとそのクルマのサスペンション特性をしっかり把握することが大切です。

補足ですが、ピロボール化することでダイレクト感が増す反面「乗り心地が悪い」「振動が大きい」といった意見もありますが、ピロボールにすればサスペンションが自由に抵抗なく動くので、乗り心地が悪くなるのであればダンパーが動いてないといった考え方もできます。

STIラテラルリンクのポイント

【追従性UP】STIラテラルリンクの効果とは【現役ディーラーメカニックが徹底解説】STIラテラルリンクのポイント

ここからはSTI ラテラルリンクのポイントについてまとめます。

  • キャンバー剛性の強化
  • STIパーツとの相乗効果

こんな感じ。
順番に解説します。

キャンバー剛性の強化で「ふらつきを防ぐ」

【追従性UP】STIラテラルリンクの効果とは【現役ディーラーメカニックが徹底解説】キャンバー剛性の強化で「ふらつきを防ぐ」

STI公式サイトでも「キャンバー剛性の強化」に関して明確に記載があります。

ラテラルリンク内側のラバーブッシュをピロボールブッシュに変更することで、リヤサスペンションの動きを円滑にし、ストロークする際のフリクション低減とキャンバー剛性を向上します。コーナーリング時のシャープなハンドリングと、ターンインから立ち上がりまでリニアなサスペンション特性を実現させます。

引用:STI

STI ラテラルリンクの最大のセールスポイントですね。

ゴムブッシュの場合、路面からの僅かなな変位を許容しますので、振動・衝撃の抑制には良いのですが、コーナリングやターンインからの横力によっても微小な変位が生じてしまいます。

この変位によって、キャンバー、キャスター、トーなどがズレてしまうのですが、これがピロボール化によって改善される。といった感じです。

参考までに、初代レヴォーグ (VM系)のユーザーからよく指摘があった意見。

  • 「リヤのばたつき」
  • 「高速走行時のふらつき」
  • 「リヤの追従性が悪い」

今乗っているおクルマで、こう感じる人には良いんじゃないかなと思います。

旋回中は大きなタイヤ横力がサスペンションに入力されます。

キャンバー剛性が低ければ、せっかくサスペンションで対地キャンバーをコントロールしても、キャンバー角は旋回外側へ戻されてしまい、リヤがふらつきます。

【追従性UP】STIラテラルリンクの効果とは【現役ディーラーメカニックが徹底解説】キャンバー剛性の強化で「ふらつきを防ぐ」

旋回中の外タイヤを考えてみると、画像のようにタイヤ横力の反力として、下側のラテラルリンクはブッシュ(クロスメンバー側)をクロスメンバー側の反力で圧縮しようとします。

逆にアッパーアームのブッシュは、クロスメンバーからの力で引っ張られます。

するとラテラルリンクはクルマの内側へ押し込まれ、アッパーアームは外側へ引っ張り出されて、キャンバー角はポジティブ方向に開くことになります。

それを見越して、レヴォーグのリヤのキャンバー角はネガティブ方向にもともとセッティングされてはいます(−1°25′)が、純正ブッシュだと高速領域ではタイヤの横力に影響されてしまいまいます。

そこで、フロントリヤのラテラルリンクをピローボール化することで、強いタイヤ横力があっても中心点がズレず、ダイレクト感が増し、リヤの追従性アップに期待ができます。

STIパーツとの相乗効果

【追従性UP】STIラテラルリンクの効果とは【現役ディーラーメカニックが徹底解説】STIパーツとの相乗効果

STI フレキシブルタワーバーとドロースティフィナーで、ターンイン時の初期応答力、悪路などの凹凸路を超えた後やターンアウト時の荷重が抜けてしまいがちな場面での「タイヤのグリップ力の確保」を実現しました。

フロント周りの剛性アップは、たしかにシャープなハンドリングを手に入れるためには必要不可欠ですが、それにリヤがついてこなければ、高速域では扱いにくいことでしょう。

フロントに合わせてリアの剛性を高め、応答性・追従性を最適化することで、とくにリヤのコーナリングフォースの立ち上がりが早くなります。

重たかったリヤが、まるで軽くなったかのような感覚といった感じ。

このSTIラテラルリンクセット単体では、劇的な効果は体感できませんが、他のSTIパーツと組み合わせることで、フロントとリヤの調和が取れて、バランスが改善され、そして直進安定性はキープされていますから、クルマの動きの精度が向上されます。

スバル車の魅力をさらに引き出すのであれば、STIコンプリートキットとこのラテラルリンクの組み合わせがオススメです。

STIラテラルリンクの口コミ

ここからはツイッターでの口コミを少しばかりご紹介します。

ツイッターでの評判は意外と良くてびっくりでした。

過去にわたしが所有していたインプレッサスポーツ(GGA)のSTI ラテラルリンクは、アルミ製リンク両端にピローボールが圧入されており、効果をすごく体感していたのを覚えています。

現行車の場合は、ピローボールが片方だけなので、「ラテラルリンク交換だけではそんなに変わらないかなー」とは思っていましたが、感じ方はいろいろですね。参考になりました。

ちなみに「STI ラテラルリンクへの交換は構造変更は必要なのか?」という議論もツイッター上で多くありましたが、手続きなしでOKです。

本来リヤラテラルリンクは、リヤサスペンション構成部品において、路面の入力を支えるショックアブソーバーの力が掛かる(受け止める)部分とみなされ、構造等変更検査の対象となります。

ですが、STIパーツの場合は、過去にSTI問い合わせたことがありまして、「STIパーツとグループN専用部品については、スバルディーラーで一般販売しても問題無いですし、市販車へ装着しても問題ありません」との回答を頂いています。

ちなみに、グループN専用部品は、公式サイトに「本パーツリストに記載の商品を、適応車種以外に装着したり、商品の改造、分解、加工等は絶対に行わないでください。危険なだけでなく、不正改造となる場合があります」との記載もあります。

以上のことから、「グループN専用部品のSTIパーツは自動車部品と同じように取り扱っても問題ない 」との解釈でOKだと思います。

しかし、競技専用品として販売してある社外品などについては、装着や公道使用するべきでは無いでしょう。

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