スバルの新デザイン「BOLDER」の真意【スバリストが語る】

スバルの新デザイン「BOLDER」の真意【現役社員が徹底解説】

スバルの新デザイン思想「BOLDER」って何?

こういった疑問にお答えします。

2018年の7月中期経営ビジョンの中で、スバルの将来ビジョンは「DYNAMIC×SOLID」をより大胆に進化させた「BOLDER(ボルダー)」デザインを提唱し、現在、デザイン創造活動を推進しています。

将来のお客様に「安心と愉しさ」の価値を提供するために、2013年から推進しているデザイン戦略「DYNAMIC×SOLID」で提案した表現方法を織り込み、一目でスバルと分かる一貫性を持ったデザインを構築しました。

コンセプトカーにて発表後、現行インプレッサ(GT系)から量産車デザインに織り込み、ユーザーに届けています。

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スバルのデザインの中で、「BOLDER」というキーワードが本格的に織り込まれたのは、2019年東京モーターショーで発表された「VIZIV ADRENALINE CONCEPT(ヴィジヴ アドレナリン コンセプト)」。

道を選ばず、速く、意のままに駆け抜ける愉しさ、アクティブマインドを持つ人の「大自然の中を想いのままに走り廻りたい」という気持ちを駆り立てる、デザインコンセプトカーになっています。

この記事では、これからスバルが提唱する新デザイン「BOLDER」について深掘りしていきます。

本記事のテーマ

スバルの新デザイン「BOLDER」の真意【スバリストが語る】

結論:「個性を際立たせる」=「BOLDER」

スバルの新デザイン「BOLDER」の真意【現役社員が徹底解説】結論:「個性を際立てる」=「BOLDER」

スバルの思想の柱である「安心と愉しさ」の価値を改めて創造し、商品としてユーザーに提供。そして、満足して使って頂いたユーザーから共感をいただき、ユーザーの心の中でディファレントな存在(強固なブランド)になるべくスバルは日々活動しています。

スバルのデザイン部では、ユーザーが取り巻く環境の激変が予測される次世代においても将来のユーザーの「安心と愉しさ」を創造するために「DYMAMIC×SOLID」を継続的に進化させ、ユーザーの求める情緒的価値の向上を目指しています。

将来に向けたその方向性こそが「BOLDER」デザインです。

「DYNAMIC×SOLID」で表現するスバルのデザイン戦略は、一目でスバルと分かるデザインを具現化すること。この取り組みは成果を上げており、達成できました。

さらなる環境の激変後、ユーザーの求める価値の変化が予測される次世代において、それぞれの車種に特化した将来のユーザーのためにはこの「DYNAMIC×SOLID」の表現方法に加えて、強いデザイン表現が求められてきます。

2018年の7月中期経営ビジョンの中で立案した、大胆なデザイン表現を図るための「BOLDER」というキーワードは、車種それぞれの魅力を大胆にデザイン表現して、一目見た将来のユーザーが「そのスバル車を使って愉しみたい!」という「活動的な気持ちを駆り立てる」影響力の高いデザインを構築することが目的です。

すでにスバルの個性的なラインナップを実現させるための「BOLDER」デザイン表現活動は始まっています。

スバルの新デザイン「BOLDER」について

スバルの新デザイン「BOLDER」の真意【現役社員が徹底解説】スバルの新デザイン「BOLDER」について
出典:レスポンス

ここからは、進化した「スバル新デザイン戦略」と「BOLDER」デザインの真意について詳しく解説します。

「BOLDER」デザインで目指すべき大胆な表現をどう進化すべきかを考えるにあたり、”今まで「DYNAMIC×SOLID」で構築してきた方向性”を振り返りました。そして”新たに進化させて変えるべき方向性”を導き出します。

スバルの振り返りの結果、これからも守るべき表現方法は、「DYNAMIC×SOLID」で培ってきたスバルの「安心と愉しさ」の機能表現であることを確信。

”大胆に進化させ、変えるべき”表現要素が「BOLDER」デザインで実現させる「車種それぞれの提供価値を際立たせる商品デザイン」です。

それを導き出すために”車種それぞれのユーザー価値”の定義が必要となります。

将来のスバルユーザー属性の定義

スバルの新デザイン「BOLDER」の真意【現役社員が徹底解説】将来のスバルユーザー属性の定義

現在、スバル車を愛されるユーザーは、ライフアクティブ層が増えてきています。彼らは、知的好奇心が旺盛で、本質的な価値を心得ており、積極的に人生の豊さを追求するマインドの持ち主です。(上から目線で申し訳ありませんm(_ _)m)

ユーザーの生活シーンに心地よくフィットし、新しいライフスタイルにつながる一歩先の「これが欲しかった!」と言って頂ける価値(潜在ニーズ)をユーザーに提案・提供していくことがスバルの新デザインの目的です。

「BOLDER」デザインの表現方法を研究するために行ったことは、スバルの将来のユーザーであるライフスタイルの属性の整理と分析でした。

スバルのメイン市場である北米を中心に、スバルユーザーの属性の調査分析のために、SRDデザイン(デザイン北米サテライトスタジオ)を活用。その結果、とても分かりやすく特徴的な考察を導き出せました。

それが、「FIELD」「JOURNEY」「SPORTS」の3つの価値属性です。この3つの属性を基本に置き、「BOLDER」デザインを構築するための車種それぞれの提供価値の定義を考え、それらを表現することにスバルはチャレンジします。

FIELD日常を離れ、自然の中でアクティビティ(活動)に挑戦する気持ちを駆り立てたい人たち=アチーバー
JOURNEY日常生活では味わえない、新しい発見の探究を望む人たち=シーカー
SPORTS単なる移動手段ではなく、意のままにコントロールする愉しみを味わいたい人たち=ドライバー

この3つの価値属性を定義することで、スバルラインナップのクルマそれぞれに最適なデザイン表現を実現させることができると考えました。

そして、それらにスバルのラインナップを重ねると以下の画像のように表現できます。

スバルの新デザイン「BOLDER」の真意【現役社員が徹底解説】将来のスバルのラインナップと重ねる

スバルのラインナップ各車を、ユーザーが求める価値属性に照らし合わせて配置すると、重なり合った属性が車種それぞれの魅力を際立たせている要因であることも分かります。2つの価値を共存させていることがスバル車の特別な魅力になっています。

さらに「BOLDER」デザインは、日常使いが中心で表現された現状のデザインから、将来のユーザーの気持ちを駆り立てるように、非日常感を強め、車種それぞれの特性や個性を際立たせるデザイン構築や先行開発を実行しています。

この画像に照らし合わせると、「VIZIV ADRENALINE CONCEPT(ヴィジヴ アドレナリン コンセプト)」は、「SPORS」”意のままに操ることが愉しい価値”と「FIELD」価値の両方をあわせ持ち、その表現を大胆にデザインコンセプトカーとして実現させています。

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ちなみに新型レヴォーグですが、”革新スポーツツアラー”として、「SPORTS」と「JOURNEY」の2つの価値表現を持つ「VIZIV TOURER CONCEPT(ヴィジヴ ツアラー コンセプト)」から仕上げて、量産車に繋がっています。

「DYNAMIC×SOLID」の再定義

スバルの新デザイン「BOLDER」の真意【現役社員が徹底解説】「DYNAMIC×SOLID」の再定義

「BOLDER」デザインは、車種それぞれの特徴や個性を際立たせる表現方法ですが、一目でスバルと分かるデザイン表現「DYNAMIC×SOLID」の強化もともなって継続進化させなければならないと考えました。

「BOLDER」デザインを”より際立たせるため”の基本をつかさどり、一目見てスバルと分かる”本質”を理解するための”骨格”だけを”フィロソフィ(哲学)として再定義します。

  1. FUN(愉しい)
  2. ACTIVE(活動的)
  3. PRACTICAL(実用的)
  4. LONGLASTING(長持ちする)
  5. SAFE(安心)
  6. RELIABLE(信頼できる)

「安心と愉しさ」を大前提として導き出した、この6つのユーザーへ提供する”スバル車の価値”を一目で表現するのが、再定義した「DYNAMIC×SOLID」の真意となります。

ここから「BOLDER」を際立たせることができ、そのデザインの基礎となるべき3つの本質的な表現を残すことになります。

ラインナップすべてのスバル車を一目見たユーザーに感じて頂ける、本質をとらえた骨格表現です。

  • ”軸(芯)”の通った骨格デザイン
  • ”塊感”あるボディデザイン
  • ”特徴的な大きく張り出したフェンダー”デザイン

この「DYNAMIC×SOLID」の表現をコアとして、車種それぞれの魅力を大胆に表現した「BOLDER」を加えて、将来のスバルデザインが完成します。

スバル新デザイン戦略

スバルの新デザイン「BOLDER」の真意【現役社員が徹底解説】スバル新デザイン戦略

「FIELD」「JOURNEY」「SPORTS」の属性については、立体感を強めダイナミックな表現を目指します。

定義したスバルユーザーの価値から、そのユーザーが求める、そしてワクワクしてスバル車を使って愉しく活動的な気持ちを駆り立てるデザイン創造を行います。

車種それぞれの際立つデザインを創造するにあたり、その土台となる「車種コンセプト」が重要になってきます。

なぜならば、特化したデザインを実現するためには、与えられた条件との背反が発生するからです。

その相反する価値を1つにまとめ上げ、実現することができ、判断のベースとなるのが「コンセプト」だからです。

スバルは、新たな価値を生み出すために、二律背反の選択をするだけでなく、相反する価値を1つにすることで、激変する時代の先を突き進まなければなりません。

デザインは、その新たな価値をいち早く「見える化」するために想像力を働かせ、将来のスバルユーザーの「安心と愉しさ」を下支えします。

スバルユーザーに浸透してきたフロントフェイスの要素(ヘキサゴングリルとコの字のヘッドランプ)は、一貫性を保ちながら「BOLDER」デザイン表現のために定義したそれぞれの属性で、大きくバランスを変え、それぞれのユーザーがさまざまな車種を見て、すぐにそれぞれの魅力を理解できるフロントフェイスの表現を実現しています。

「BOLDER」×「新型レヴォーグ」

ここからは「BOLDER」デザインが反映されている新型レヴォーグについて見ていきます。

フロントフェイス

新型レヴォーグは、、”革新スポーツツアラー”として、「SPORTS」と「JOURNEY」の2つの価値表現を持つ「VIZIV TOURER CONCEPT(ヴィジヴ ツアラー コンセプト)」から派生したデザインとなっています。

インプレッサの平面的なヘキサゴングリルから、より立体感のあるグリルへと進化し、そこから左右へ広がっていき、力強く塊感のある造形がフロントフェイスの見どころです。

アグレッシブで攻めたデザインのフロントフェイスやスバルのターボ車の特徴であるボンネットエアスクープ、小型化されたヘッドライト、フェンダー形状が特徴のサイド、スバル車にしては角度が寝かされたスポーティで伸びやかなデザインとなっており、初代レヴォーグに比べてクールで”抜け感”が増しています。

サイドディテール

サイドディテールは、初代レヴォーグに比べてワイドでダイナミックなフォルムとなっていることが確認できます。サイド面には、フェンダーとリヤクォーターを含む4本のキャラクターラインが見えます。

フロントフェンダーとリヤクォーターのキャラクターラインが、いったんボディ面に沈む込ませる印象を与え、リアクォーターがリヤにかけて切り上げたラインとなっていますので、より立体感を演出しています。これまでのスバル車にはないアイデアですね。

リヤ

スバルの新デザイン「BOLDER」の真意【現役社員が徹底解説】リヤ
出典:モータ

初代レヴォーグに比べて、真正面から見たときの張り出し感が増して、より立体的になり、”塊感”が強くでています。

LED化したコンビランプを薄く仕立て、モダンな感じを出すとともに、バンパー両端のせり上げを止めることでリアフェンダーのワイド感を出しています。全幅はあまり変わらないのに幅広くなった感じがします。

コンビランプから始まるキャラクターラインは、VIZIVコンセプトを踏襲しており、さらに下部にブラックパーツの面積を増やすことで、全体が引き締まって見えます。

「JOURNEY」の切り上げたデザインと「SPORTS」のダイナミックな動きがうまく融合されており、「BOLDER」デザインを量産車にうまく落とし込んだ新型レヴォーグは、さずがスバルといったところでしょうか。

まとめ:個性をさらに伸ばす「スバルのデザイン」

スバルの新デザイン「BOLDER」の真意【現役社員が徹底解説】まとめ:個性をさらに伸ばす「スバルのデザイン」

以上がスバルの新デザイン「BOLDER」についてでした。

スバルのデザイン部は、環境の激変が予測される次世代において、2018年の7月中期経営ビジョンでコミットしている”将来のお客様の笑顔”をつくるため、「DYNAMIC×SOLID」を継続的に強力に進化させ、ユーザーの求める情緒的価値を高次元で実現するデザイン戦略活動を推進されます。

将来に向けたその方向性が「BOLDER」デザインです。

車種ごとに個性を際立たせることで日常から非日常へ。
他のメーカーにはない個性的なデザイン戦略をスバルは実現していきます。

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