こんにちは。しー(@c_mecha_log)です。
わたしは、ディーラーで自動車整備士を10年やってきました。
さっそくですが、こんなツイートがあります。
私は基本的に自動車整備士を信用していない。
— ライジングクルー合同会社 (@risingcrew) April 5, 2020
過去にやられた整備ミスを挙げたら140文字じゃ足りん、、、、
ディーラー、整備工場、協業組合、カー用品ショップ、どこでも有り得ないミスをやってくれる。
正規ディーラーの整備士、車の初回点検で減ってもいないバッテリー液を足して、エンジンルームにバッテリー液が噴き出して塗装がはげる状態にするような人が普通にいるんだもん。ガススタのバイトでも、そんなミスしないわ。
— うめ (@ume_i) April 16, 2014
ディーラーの整備士は小さいミスが多い気が
— おぴか (@o0_pika_0o) June 19, 2013
まさかディーラーでプラグ交換してもらった時にウォッシャーのホース接続し忘れてないよな…
— ほむほむ CR-Z (@mimizuku11VRC) January 20, 2020
ハイエースの右後輪がなんか濡れてて、猫ションかな?と思ったらこの前デフ直した時のオイルが漏れてた
— いちころ@こーさ (@notservice00) November 13, 2019
今日ディーラーに行ったら、整備ミスだってよ、
無償で直してくれるけど
おいおいこちとら25万払っとんのだぞ?
勘弁してくれやまじで!
耳が痛いツイートばかりですね。
ディーラーの整備工場はそのクルマを「専門に扱っている」のでユーザーからの期待もかなり高いのが現実。
安心なイメージのディーラーの整備工場ですが、ネットで検索していると「整備ミスされた」という情報が多く出てきます。
ディーラーで整備をすればミスなんかないのが当然なんじゃないの?!
ディーラーで整備をしたらミスはない?【結論:適材適所で選ぶ】
もくじ
ディーラーで整備をしたらミスはないのか
整備ミスは、どの整備工場でも起こる可能性はあります。
人がやっている仕事ですから。
しかし、誰しもが整備ミスなんて起こしてほしくないですよね。
結論ですが、適材適所で作業を任せるべきです。
なぜなら、クルマの修理には各それぞれに専門分野があるからです。
タイヤなら「タイヤ館」、ガラスなら「小田安全硝子」みたいな感じですね。
ディーラーにもディーラーの強みがあります。
ミスが起こりにくい整備工場をユーザー自身が見極めるのが重要。
とはいえ、ディーラーでもさまざまな修理を受付してはいますが、
その業務量が膨大なあまり整備ミスを誘発している可能性があります。
クルマはさまざまなパーツの集合体です。
こんなこと言うとディーラーマンから怒られるかもしれませんが、
その分野に特化した「プロ」に任せることがもっとも賢いクルマの付き合い方だと考えます。
ディーラーでの整備【デメリット】
では、ディーラーでの整備の強みとはなんなのでしょうか!?
ここからは、ディーラーでの整備について、
メリットとデメリットを含めたポイントを解説します。
デメリットについてですが、ディーラーのメカニックは「とにかく時間に追われている状況」が整備ミスを誘発している最大の理由だと思っています。
それに拍車をかけるかのように「人手不足」、「離職者の増加」、「残業ができない=日中が激務」といった要因で一人あたりに対する業務量が膨大になってきています。
それでは、ディーラーでの整備のデメリットを以下にまとめました。
工賃・部品が高い
基本的に作業時間1時間当たりに対する料金は、
カーショップなどに比べちょっと高めになっています。
理由としては、カーショップに関してはわかりませんが、ディーラーでは単純に部品を交換して終わりではなく、交換後の作動確認までが含まれます。
専用の設備で、専門の教育を受けたメカニック達が整備をしてくれるので非常に安心ではありますが、その分工賃が割高になってしまいます。
部品に関しては、その車に合った専用の部品を専門のメーカーが作っていますので、
やはり純正部品はコストがかかってます。
純正部品を使う理由は、自分たちが信頼できる自社ブランドの部品を使い、部品にも整備にも保証を付けることで、お客様からの信頼を得られることができるからです。
その分安心ですが、社外品の汎用品などに比べると高くなりがちです。
それと、ディーラーでの部品交換となると「まるごと交換」になることが多い。
なぜなら、修理するより交換するほうが早いからです。
「修理をする」という概念ではなくて、「壊れたら取り換える」というパターンが多いので出費がさらに増えてしまいます。
ディーラーは正規の看板背負っているだけに少し融通が効かない場合が多いです。
予防整備をゴリ押しで提案される
純正部品が高い上に、民間車検では交換対象にならない部品も入ってきます。
「ディーラーで車検を受けたのに壊れた」みたいな事を言われないように、できるだけ予防整備を提案します。最近では、売り上げを確保するために車検の単価アップを目標にしている会社もあります。
さらにディーラーの車検では、車検後2年間を安全に乗ることをベースに考えていることから、少しの劣化が確認できた時点で、交換対象となりがちです。
車好きの整備士が減ってきている
民間整備工場に比べて、採用人数が多いです。
人数が多ければ、イマイチな人材も増えてきます。
「とりあえずディーラーに就職しておいたら安心」
「このメーカーの車がなんとなく好きだから就職して見た」など、
最近は若者の車離れもあり、そこまで車に興味が無い人材が採用されている傾向があります。
しかし、人手不足の傾向もあるのでそこまで車に興味の無い新入社員も増えてきています。
昔は、クルマ好きの自動車整備士が多かったですが、
近年ではそう言った人が減ってきています。
「好き」と「仕事」は違うだろ!とは思いますが、
高い技術力を持った人は、「クルマ好き」な人が多い。
そういった人が減ってきているのが現実です。
予約がなかなか取れない
ディーラーは先の売り上げを明確化させる為に早期予約を徹底しています。
効率良く工場を回す為には、整備士の予定を隙間なく埋めることです。
営業マンは早めにお客様にコンタクトを取ります。
なので直近の予約がなかなか取りづらい。
急に故障した場合に入庫できたとしても、
納車はかなり先になってしまうケースが多いです。
そして、計画的に工場を運営したいので飛び込み客の場合はイイ顔はされません。
スタッフが基本忙しい
毎月高い目標の上、「働き方改革」で残業も多くできない。
残業を多くやっていた時代とさほど仕事内容も変わらないので、
日中の忙しさが凄まじい店が多い。
土日になるとマネージャー、フロントもつなぎを着て作業していたというような店もあります。
膨大な仕事量をこなしながら作業するので
、「お客様の命を預かる自動車整備」が片手間になってしまう事があります。
自動車整備士のスキルの限界を超えてしまった時にミスが起こります。
ディーラーでの整備【メリット】
ここからはメリットになります。
メリットについてですが、「専用のスキャンツールを持っている」と言うのが最大の強みです。
これからのクルマは、次世代移動通信システム「5G」も実用化され、
コネクテッドサービスは飛躍的に今後充実していくものと思われます。
クルマの故障状況がメーカーとネットでつながり、
管理されていく未来がすぐそこまで来ています。
なので、故障してしまった場合は、
メーカーの専用スキャンツールが必需品となってくるでしょう。
それでは、ディーラーで整備をする上でのメリットを以下にまとめました。
専用のスキャンツールがある
先ほどお伝えした通りですが、これからのクルマの整備では必需品となってくるでしょう。
そもそも、スキャンツールとは、自動車の電子システムに故障箇所がないか、あるとすればそれはどこかを調べるための故障診断機のこと。
スキャンツールを自動車整備に使用すれば、エンジン、ミッション、ブレーキ、エアコンなどのコンピューター制御された電気・電子回路部分の故障箇所を簡単に見つけることができます。
現代の車は、ほぼ電子制御です。
スキャンツールを持っていないと仕事になりません。
何かしら重要な部品が壊れると、
だいたいメーター内のランプで運転手に知らせてくれます。
スキャンツールを持っていないと仕事になりません。
汎用品のスキャンツールが民間整備工場にも普及してきましたが、ディーラー専用の専門のスキャンツールの場合は、細かなデータ計測まで行えます。(高機能気筒モニターやオシロスコープ計測など)
これは、最大のメリットです。
特殊な作業への対応力
各メーカーには、独自のエンジンやシステムがあったりします。
例えばスバルの場合ですと、水平対向エンジンに関する整備なんかにはもちろん強いです。
世界でポルシェとスバルしか作っていませんからね。
整備マニュアルには載っていないような「技術」を持っていますので、
このへんは、民間整備工場にはないものだと思ってます。
情報をたくさん持っている
そのメーカーに特化しているので、
当然ながら情報量は膨大に持っています。
社内では、故障事例や解決法も共有しています。
保安基準の問い合わせ情報も共有しているので、
類似案件に関しての対応が早い。
他の整備工場の場合、さまざまなクルマを対応しなければならないので、
高難度の故障となると「ディーラーに問い合わせてみて下さい」となるパターンが多い。
そうなると二度手間になります。
なので、持っている情報量が多い分、故障への対応がスムーズになります。
専門教育を受けているメカニック
専門の教育を新人の時から受けているので、
「そのメーカー」に関するスキルに特化しています。
そして、同じメーカーの車を毎日整備しているので経験も豊富です。
さらに、新型車出れば技術研修もありますし、
メーカーごとに認定資格制度もあるので、知識も豊富。
設備や環境も整っており、そのクルマにしか使われない「特殊工具」などの使い方も熟知しています。
状況に応じて「選ぶ」のが賢い
ディーラーの強みはやはり、「電気的な故障が起きた場合の対応力」です。
チェックランプが点灯して起きたトラブルに関しての対応力が早い。
民間整備工場の汎用スキャンツールでもある程度診断できますが、
難しいトラブルコードだと結局、ディーラーに依頼するパターンになりがち。
その分、時間が無駄なので、
ディーラーで診断する方が早いですね。
ただ、民間の整備工場にも強みがありますし、各分野に特化したメーカーなどもあるので、
その辺も視野に入れましょう。
例えば、タイヤ館などですね。
タイヤ交換などは、ディーラー整備士よりはるかに経験量と知識があります。
タイヤの価格も安くなる選択肢も豊富です。
身近なところで言うと、自分のスマホの液晶が割れたときに、「スマホの修理屋」と「スマホの液晶画面の修理屋」があったら、後者の方が信頼できそうじゃないですか?
「スマホの液晶画面の修理屋」の方が、いろんな液晶画面が選べそうですよね。
そんな感覚に似ています。
話が少し脱線しましたが、クルマの状況、経済面を考慮してクルマ屋を選択しましょう。
- 電気的な故障、特殊な作業→【ディーラー】
- 柔軟に対応できて、コスパ重視→【民間整備工場】
- タイヤやガラスなどの特定部品の交換→【専門店】
- 旧車を乗っている→【老舗の民間整備工場】
- カスタムしたい→【カスタムショップやチューニングショップ】
- クルマをお得に売りたい→【買取専門店】
こんな感じで、状況によって選択するのが賢いかなと思います。
その分野の「プロ」に任せることで、整備ミスが起こってしまう可能性を減らすことが可能です。
以上になります。
最後に、愚痴みたいになりますが、
ディーラー忙しいです。人足りてません。
他の仕事で作業が片手間になってしまってます。正直。
ディーラーは工賃が高いので期待してしまう気持ちはわかります。
確かに「メーカーの知識」は豊富でも、
「技術」に関しては自動車整備士によってバラバラです。
ディーラーばかり頼るのではなくて、「車のジャンル」によって専門の分野がありますので、もう少し視野を広くとると、安心して車を乗れると思いますよ。
ディーラーがお客様を囲い込みたいのは、
会社としては間違って無いと思います。
私は、一人の自動車整備士として、
お客様には、たくさんの選択肢は持つべきだと思います。
クルマの買取なんかも一緒で、ディーラーで下取りに出すよりか、
買取業界で実績のある会社のほうが、経験もあって専門知識も豊富なので信頼できますよね?
有益な選択が、あなたの人生を豊かにしてくれますよ。
この記事では、自動車整備士(メカニック)歴10年目のわたしが、整備工場との向き合い方について解説します。
この10年間、いろんなディーラー整備士や、それ以外の整備士を見てきました。
これまでの経験を元に書きます。