自動車用の工具は、世界中で自動車が普及しているのと同じで世界各国に製造メーカーがあり、安価なノーブランド品からハイエンドブランドまであります。
有名メーカーになってくると、見た目は同じ工具でも、職人の技術が光る「メーカーの個性」も見えてきます。
総合工具メーカーと呼ばれるスナップオンやKTC、TONEなど、同じメーカーで揃えるのも全然アリなのですが、各メーカーごとに「強み」があって、こだわりだすと止まらないのが工具の世界。
工具セットではなく、1つ1つの工具にこだわりたい!
そんなあなたのためにこの記事では、自動車整備士(メカニック)として10年以上働いてきて出会った「こだわりの上質工具たち」を大公開します。
プロではない、一般向けの人にもわかりやすく、「その工具は一体なんのためのモノなのか?」というところからも詳細に書いていきます。
これからクルマいじりを楽しみたい人から、プロのメカニックまで、「ワンランク上の工具で整備を楽しみたい!」という人には必見の記事となっておりますので、ぜひ最後まで見ていって下さい。
工具とは「ラクして整備をする」ためのもの
みなさん工具にどんなイメージを持っていますか?
頑丈である?使いやすい?機能性が高い?色々なイメージがあるかと思います。
筆者が考える工具のイメージというか、なぜ工具を買うのかの理由は「いかにラクをして整備ができるのか」がメインになっていて、それをサポートしてくれる存在こそが工具であると考えているからです。
「ラクをして整備をする」と聞くと、なんだか聞こえが悪いですが、自動車整備の現場では「正確とスピード」が求められます。
ラク=最短で不具合部品を修理・交換する
ここの価値に対してユーザーはお金を払ってくれています。
それに応えるには、知識と経験、器用さだけではなく、工具の存在も大きいです。
なぜなら自動車整備士は、そもそも工具なければ仕事ができませんから。
「いやいや、工具に頼るんじゃなくて技術力で勝負するのが自動車整備士だろ」という先輩たちの意見もありますが、それは少し違うと思います。
その道の1流は必ずと言って「こだわりのアイテム」を持っていますよね。
プロ野球選手がバットやグローブを職人に1から作ってもらうのはなぜでしょうか。
少しでも良いパフォーマンスを発揮し、その価値に対してお金を払ってくれるファンに喜んでもらえるためのいわゆる投資ですよね。
100円均一の工具で技術は上がりません。
自動車整備士も同じです。
1:初心者は「まずは工具セットで買う」
「どのようなメーカーにどういった特徴があるのかわからない…」
工具を買おうと考えてらっしゃる人、どのメーカーの工具がおすすめなのか、選ぶのがむずかしいものです。
アメリカやドイツといった海外で作られた工具は、機能的でデザインも良くおすすめですが、値段が高い。
日本製もさまざまなメーカーがあるため、どれがいいのかよくわかりません。
なのでまずは工具メーカーが出している「工具セット」からスタートしましょう。
今の工具セットは、自動車やバイク等の整備に使用される工具がメインの入り組みになっているものがほとんど。
誰もが一度は手にした事があるドライバーやレンチはもちろん、ラチェットハンドルやソケット等、作業スピードの効率化に特化した機能を持つハンドツールがメインで構成されている工具セットが多いです。
各工具メーカーから「エントリーモデル」として販売されているセットも多く、初心者が迷わずに買えるよう、各工具メーカーも力を入れています。
実際にわたしも「KTCのツールセット」から始めました。
そこから作業ごとに工具を買い足し、毎日使う工具にはこだわっていきました。
工具は使ってみないとその特徴がわかりませんし、その作業に対してどの工具が必要なのかもピンとこないはずです。
工具セットには「いつかは使う可能性の高いサイズや種類が入っている」という安心感にあります。
「何ミリのソケットは持ってないから、このねじが外せない!」などという事態も防げます。
2:使用頻度の高い工具は「一生使えるものを」
クルマ・バイクのメンテナンスの玄人に「どんな工具使えばいいですか!?」なんて聞くと、十中八九「とりあえず良いものを使え!」と返ってきます。
「弘法筆を選ばず」ということわざがありますが、クルマ・バイクメンテナンスにおいては、玄人ほど道具にこだわります。
その理由は以下の通り
- 精度の高い工具はネジやボルトを痛めないから
- 良い工具は一生使えるから(日割りにすれば実質タダ)
- 壊れない工具=安全に作業ができるから(怪我しない)
精度の高い工具ほどボルトやナットをしっかり隙間なくホールドでき、精度が低い工具よりもボルトやネジ、ナットを傷めません。
もう販売が終了している部品や大元の部分からごっそりと交換しないといけないパーツで、ボルトやネジ、ナットを傷めてしまうと大後悔します。
とくに使用頻度高いラチェットやソケット、ドライバー類は良いものを使うべきだと考えます。
精度が高く、壊れにくいというのは「安全に作業ができる」にもつながってくるので、ぜひこだわりを持っていただきたいです。
また、工具は数回使って終わりの消耗品では無く、適切な使い方、管理、そもそもが良い工具であれば永く使用することができます。
自動車整備士の人たちの多くがラチェット、ソケット、ドライバー、握り物系にお金をかける理由はここにあります。
3:究極の工具選びは「餅は餅屋」の精神
「餅は餅屋」という言葉があります。
餅(もち)は、餅屋が作った餅がおいしい、つまり、物事はその道の専門家に任せることが一番という意味です。
例えるなら、工具セットを「総合病院」としたら、専門工具メーカーが「専門医」といったイメージでしょうか。
工具の世界では、「ドライバーならこのメーカーが良い」「握りモノ系ならコレ」のように、その分野を得意としているメーカーが数多く存在します。
「総合工具メーカー」といわれるブランドもすべての工具を自社で作っているわけではなく、ほぼロゴだけ移植した「OEM」での供給で販売しているところが多いです。
なぜOEM委託するかと言うと、自社生産する場合、そこに関わる設備投資や人員の確保など、コストがかかります。
例えば、水平対向エンジンが売りのスバルが、「直列エンジンを1から作りたい」と思うと莫大な開発費がかかります。
それが、本業でもある水平対向エンジンの製造に影響がでてしまうと本末転倒。
それだったら、その分野の専門メーカーにOEM委託して、商品製造に必要な設備にかけるコストを最小限にし、製造部分だけをアウトソースしたほうが効率的ですよね。
ただユーザー側したら、「どの工具がOEMなのか」なんてなかなか判断がつきません。
また、その総合工具メーカーの視覚的造形付加価値が乗ってきますし、ブランド名含め付加価値にもお金がかかってきます。
そのメーカーにこだわりがあったり、思い入れがあるなら例外ですが、工具の本来の意味を考えると優先順位としては「餅は餅屋の精神」だと思ってます。
「メーカー問わず、良いものを使う」
なので、工具セットで同じメーカーで揃えるのもアリですが、工具は総合メーカーよりも専門メーカーごとに買い揃えるのが理想的。
ソケットならコーケンとか、握り物・顎もの系はクニペックス、ドライバー類はPB、ベッセル、weraなど、そのメーカーの良いところを選んで、最終的には自分だけの最強の布陣を作っていくイメージです。
これが工具選びの究極だと考えています。
ではここからは、筆者が実際に使用している工具をご紹介します。あなたの工具選びの手助けになれば幸いです。
ラチェット&ソケット類
ソケットレンチは、六角ボルト・ナットや六角穴付きボルトを締めつけたり、緩めたりする時に使用する工具。
ソケット部(ソケットレンチ用ソケット)と駆動工具(ラチェットハンドルやT型ハンドルなど)で構成されており、それらを組み合わせて使います。
ラチェット機構により、カチャカチャと音を立てて「ギヤが進んで戻って」を繰り返すことで、スパナやモンキーレンチ、メガネレンチみたいに、一回締めたらはめ込み直す、二回締めたらはめ込み直す…、という手間がなくスムーズに作業できます。
工具の世界では、もっともスタンダードな工具であり、使用頻度がかなり高いです。
1:山下工業研究所「Ko-ken(コーケン)」
静岡県掛川市に本社を置き、駆動工具を専門ブランドとして、ソケット・ソケットレンチを主力商品にし、設計・開発・販売を行なっている、いわばハンドツールの専門メーカーです。
また、ソケット関連のアイテム数が非常に多く、215mmのソケットなどかなり特殊なものまでラインナップがあり、あらゆる自動車整備に対応できます。
ハンドツールの中でも、ソケットレンチに重きを置いており、世界的にも高いシェアを占めています。
ソケット単体の品質もさることながら、現場のメカニックの声を落とし込んだオリジナリティ溢れる工具も魅力の1つ。
代表作で言うと、面で捉えて力点を分散させる事により高いトルク伝達を可能とした「サーフェースソケット」や、狭いエンジンルームでも安心して使えるようにマグネットを使わずスチールボールを使ってボルト・ナットを保持する「ナットグリップソケット」、空転トルクが他社品に比べ非常に軽い「フラップ式ラチェットハンドル」などがあります。
ソケット関連のバリエーションの豊富さ、現場のメカニック想いの「価格設定」と「品質」「機能性の良さ」で、国内のみならず世界の工具ファンから絶大な支持を受けています。
2:KTC「nepros(ネプロス)」
ネプロス(nepros)は、KTCが手がける高級工具ブランドであり、その性能は世界中のメカニックが絶賛する最高級レベルの工具です。
名前の由来は「New Professional Satisfactionからとって「nepros」。
「プロが満足する新しい工具」という意味で、1995年に販売開始されたネプロスは、世界水準の究極のデザインと機能美をコンセプトに作られており、まさに世界的工具メーカースナップオンに匹敵する高級工具。
ネプロスの良さは、洗練されたデザインだけでなく、高精度であること。
日本工業規格(JIS規格)で定められている公差は最大で0.5mmですが、ネプロスは独自の規格で公差が0.1mm以下のソケットしか商品として出していないのです。
公差とは、人の手でものを作り出すときに一定の範囲内で許容される誤差。モノを製造するとき、指定された寸法に限りなく近づけることはできますが、誤差を完全にゼロにすることは理論上できません。
これだけ公差が小さければボルトにしっかりとフィットし、ボルト・ナットを傷めてしまうことも格段に少なくなるでしょう。
この精度を出す為に1度に製造する工具の数量(1ロット)を少なくし、通常ランダム選ばれた工具を検査する所を、全品検査しその中から基準にクリアしたものしか市場には出回っていません。
実際にわたしたちの手元に来るソケットは、しっかりと検査を受け、選びに選び抜かれた逸品なのです。
また、ネプロスのスタンダードラチェット「NBR390」は、世界的に見ても最高クラスのラチェットで、「90枚ギアの繊細さと空転トルクの軽さ」が定評です。
3:Snap-on(スナップオン)
世界でこだわりの工具ファンの数が圧倒的に多いアメリカで、世界No.1ブランドとして半世紀以上を業界を牽引してきたのが「スナップオン」。
今では当たり前のようになっている「工具を組み合わせて使う」という原点を生み出し、カチャ!カチャ!と工具をあれこれ組み合わせるという工具の楽しみ方や、ラチェットレンチをベースとした奥行きのある工具のラインアップを世界のメカニックたちに提供し続けています。
面接触でボルト、ナットに高いトルクをかけれる機能(フランクドライブ)や世界初の多ギヤラチェットの開発、180度回転する自由なヘッドで様々な状況で重宝する「スイベルラチェット」の開発など、今では当たり前の工具を生み出し続けてきました。
まさにハンドツール界のトップに君臨するメーカーであり、最近では故障診断機や電動工具にも力を入れています。
2020年には誕生100周年となり、非常に歴史が古い工具メーカーです。
「スナップオン」は、わたしがメカニックを志した頃からの憧れのブランドであり、現在ではハンドツールの大半がスナップオンです。
高い」と言われるスナップオンの工具なのですが、その理由には深い歴史的な背景が隠されているんです。
メガネレンチ類
メガネレンチとは、ボルトやナットに掛ける両端の頭部が丸い円状(メガネ形)になっているレンチのこと。
よくスパナと間違えられますが、スパナはボルトやナットを2点で支持しますが、メガネレンチはボルト、ナットを包み込むように支持するためトルクを安定して掛けやすいという違いがあります。
そのため、ボルトやナットが舐めてしまうリスクも低く、またラチェット、ソケットでは入らないような奥まった箇所にアクセスするため、自動車整備士とって無くてはならない工具の1つです。
1:DEEN(ディーン)
DEENは、メーカーが開発する工具ではなく、ユーザーの声を集めユーザー目線で工具を企画開発するというコンセプトで2000年に生まれた工具ブランド。
最近では、工具系YouTubeチャンネルではもうお馴染みの「ファクトリーギヤ工具好き」で、よく紹介されていることでも有名ですね。
DEENは、世界の工具メーカーの中でも日本車が多く普及するアジアやアメリカでも注目を集め、今では世界へと広がっています。
特に、日本車を取り扱う自動車整備士には持ってこいのメーカーです。
そんなDEENからなぜメガネレンチを選んだかと言うと、美しいメッキ仕上げに、ザグリのないフラットのメガネ部、ハイブランドのいいとこどりをしたメガネレンチだからです。
恐らく実用上まったく不満がでることのないDEENのメガネは、お値段以上、といいますか格安といえます。
2:STAHLWILEE(スタビレー)
STAHLWILEE(スタビレー)は、1862年頃に創業したドイツの工具メーカーです。
自動車の本場であるドイツのメーカーのため、非常に精巧に作られていて「軽量」なうえ「強度も高い」工具が多く発売されています。
ドイツの大手の製造工場の現場では、肝心なところではスタビレーの工具が使われていることが多く、技術者からの圧倒的な信頼感を得ているそうです。
その中でもヨーロッパでは定番の「75ºオフセットレンチ」は、使い心地、軽さ、美しい梨地仕上げが定評で、トルクをかけた時のしなり感というか独特の感触があり、筆者の愛用品の1つでもあります。
75ºと言われると、日本人には馴染みのないオフセットですが、ソケットやスパナでは障害物があってアクセスできない箇所で何かと使える、便利なメガネなんです。
3:HAZET(ハゼット)
HAZET(ハゼット)は、1868年頃にドイツで創業した工具メーカーで、スタビレーと同じように精度が非常に高く、とにかく頑丈なのが特徴です。
その性能の高さからもポルシェやBMWのメカニック工具としても活躍しており、世界中にファンが多いドイツ工具メーカーの1つ。
そんなハゼットの中からご紹介したいのが「コンビネーションレンチ(片方がメガネ、もう片方がスパナの工具)」。
限界まで薄くしたメガネレンチ部、梨地の滑りにくさと、機能面も含めた刻印。
職人メーカーであるハゼットの良さがたっぷり詰まった逸品です。
ドライバー類
ドライバーは、家庭などでもよく見られる一般的な工具で、プラスねじやマイナスねじを締めたり緩めたりする時に使用します。
工具の世界では、ドライバーを扱うメーカーは非常に多く、非常に迷いやすいジャンルでもあります。
プラスねじは舐めてしまうと、取り外しが非常に厄介なケースがほとんどなので、ぜひ良いモノを使って頂きたいです。
1:WERA(ヴェラ)
グリップが特徴的なデザインの「WERA」。
形状は、人間が粘土を握った時にできる形をベースに設計されており、手にしっかりフィットし力を掛けやすくなっています。
また握り方を変えて早回しする時も、出っ張っている部分が指に引っかかり回しやすい。
そんなWERAのラインナップの中でも、筆者の愛用しているのは青いグリップの「ダイヤモンドコーティング」。
日本でWERAが有名になった代名詞的な先端加工で、ドライバーの先端にダイヤモンドの粒子を練り込む事により、先端がヤスリの表面のようにザラッとした質感に。
その効果として、ネジをドライバー先端に刺しても落ちないほどの食いつきを発揮します。
レーザーチップのような先端が加工しているドライバーよりもネジを傷めにくく、今でも多くのユーザーに愛されるドライバーです。
2:PB SWISS(ピービースイスツールズ)
昔からドライバー関連のネジ締め工具に定評がある「PB」。
精密かつ丈夫に作られたドライバーはネジ山とのフィット感は抜群で、筆者がまだ整備士を始めて間もない頃に先輩から「ドライバー買うならPBにしとけ」と言われるほど、メカニックから絶大な信頼を置かれています。
PBのドライバーの先端には、WERAのような特殊な加工がされていません。
しかし、先端の精度が非常に優れているため、WERAほどではないですがしっかりとネジに食いつきます。
また硬度も高いため、摩耗も少ない。
WERAのダイヤモンドコーティングは使い続けると、いずれコーティングが剥がれてしまいますが、PBはそもそもの形状に精度があるので、長く使用することが可能。
わたしの場合は、ここぞという時にWERA、普段使いにはPB、といった感じで使い分けています。
プライヤー&ニッパー類
エンジン周りのホース交換作業や電装品などの配線作業には欠かせないのがプライヤー類。
モノをつかむとき、手よりも工具でつかみたい場面って多くありますよね。
つかむ・挟むだけではなく、挟んだままひねったり針金を切断したりと使い方はさまざまです。
利用範囲が広いプライヤーは、業務用からDIYまで幅広く使用されています。
1:KNIPEX(クニペックス)
KNIPEX(クニペックス)は、ドイツで創業されたプライヤー専門の工具メーカーです。
創業から135年という歴史を持ち、高品質と長寿命を両立しつつ、他メーカーにはない独創的かつユニークな構造の特許を多数持っています。
世に出回るプライヤーの礎を築き、握りモノ開発に情熱を注ぐプライヤーメーカーのリーダー的な存在で、世界の数多くの総合工具メーカーのプライヤーをOEMとして供給しています。
握りモノ買うなら「クニペックス」にしとけ
自動車整備士として働き出して3年目の頃、KTCのプライヤーが壊れたので、先輩のクニペックスのプライヤーを借りていた時期がありました。
「何このプライヤー!?使いやすっ」となって、すぐ工具屋に行ったのを今でも覚えています。
プライヤー関連の工具を探している方にはダントツでおすすめできます。
2:Wiha(ヴィーハ)
創業は1939年、ドイツ生まれの工具メーカー「Wiha」。
1947年からスクリュードライバーの製造を開始している老舗ブランドで、ドライバーの代名詞とも言える同じドイツの「WERA」やスイスの「PB」と肩を並べる、工具ブランドの1つです。
そんなWihaの中でも筆者が愛用しているのが「BiCutニッパー」。
ニッパーの軸部分にあるボタンを押すと切断能力が「約2倍」になるという不思議なニッパー。
あらゆる配線を難なく切っていく感覚に、1度試すと手放せません。
モノづくり大国ドイツが産んだ「Wiha」のアイデア商品で、知る人ぞ知るニッパー。
ニッパーって100円ショップでも、同じ様な形状で握るところがビニールのやつって売ってますよね。
ただ、見た目は一緒でもその能力はまさに「桁違い」なのがニッパーの世界。
製品ごとの価格差は様々な要因がありますが、ニッパーの刃の精度だったり、グリップ部分の表面処理、そして本体に使われる鉄の質など、使ってみるとその差を実感できます。
電動インパクトレンチ&ラチェット
ボルトやナットを簡単に締め付けたり緩めたりすることができるインパクトレンチ。
エアコンプレッサーを使用するものが多かったですが、最近では電動で使用できるものが増えてきており、ラチェットも電動化が進んできています。
ホースの取り回しを気にせず、場所を選ばない電動ツールは、使い勝手が良く、多くの整備工場には必ず1つは常備してあったりします。
電動工具といえば建築現場では御用達のマキタやHiKOKI(ハイコーキ)などが有名ですが、自動車整備向けの電動ツールも増えてきています。
1:Snap-on(スナップオン)
世界の工具メーカーのトップである「スナップオン」からも小型・軽量で、トルクも十分な電動工具が多くラインナップされています。
インパクトレンチをはじめ、電動ラチェット、電動ドリル、電動インパクトドライバー、電動ポリッシャーなど、自動車整備に役立つアイテムが勢揃い。
その中でも、筆者が愛用しているのが電動インパクレンチ「CTJ761」と電動ラチェット「CTRJ761」です。
CTJ761は、重量約1.1kgと軽量で、14.4Vという駆動電圧でありながら最大トルク162N・m。
トリガーは、左右回転が一体化したバタフライトリガーになっています。
これが非常に便利で、いちいちスイッチを切り替える必要がなく、手元で切り替えができてしまいますので、時間短縮になります。
使用する前に「どっちの回転方向だったっけ?」と確認する手間も省けます。
さらにトリガーの握る力を変えることで、無段階にスピードとトルクを変化させることができます。
電動インパクレンチ「CTJ761」は、新モデルが発売されています。故障が少ないブラシレスモーターへとバージョンアップされ最大トルク203Nmを発揮します。
CTRJ761は、スピードとトルクが業界最高レベルのスペックで、作業効率を格段に上げてくれる逸品です。
メーカー | 最大トルク | フリースピード |
---|---|---|
KTC 【JTRE310】 | 34Nm | 190rpm |
SPエア 【SP-81613】 | 39Nm | 260Nm |
アストロ 【2005000007996】 | 40Nm | 210Nm |
スナップオン 【CTRJ761】 | 54Nm | 275rpm |
ボルト・ナットの早回しを電動化することは、単純作業の効率化が図れますので、作業をラクに早く終わらせたい人にはとてもオススメな工具となっています。
スナップオンの14.4Vシリーズは、ドリルやインパクトレンチとバッテリーを兼用することができるので非常に便利です。
電動インパクレンチ「CTRJ861」は、新モデルが発売されています。ブラシレスモーター化されており、最大トルク81Nmを誇ります。
2:Millwaukee(ミルウォーキー)
Milwaukee(ミルウォーキー )は、1924年にアメリカウィスコンシン州ミルウォーキーで設立されました。
電動工具を中心として、革命的で特殊なニーズに焦点を当てることで、これまでにない高品質な製品を次々と開発しています。
2021年には、本格的に日本国内でも販売活動が開始され、これまで国内では入手することが難しく、店頭などで見る機会もなかったことから、自動車整備士たちから非常に注目されています。
ミルウォーキーのブラシレスモーターは、市販品を使用するのではなく、各工具に合わせた自社製造の専用設計モーターを使用しており、それぞれの工具の特性やサイズなどに応じて最適なモーターを用意できるため、他の自動車用電動工具メーカーに比べて高性能化が進んでいます。
高性能なバッテリーとモーターに加えて、それらを最適にコントロールする制御システムにより、12VのM12シリーズ機種では14.4~18V機種相当、18VのM18シリーズ機種では36~40V機種以上、といった電圧を超えた性能を実現しています。
これから電動工具を買い集めていきたい人には超おすすめのメーカーです。価格も少し抑えめで、なおかつ故障のリスクが多い電動工具で保証が最大3年保証つけれるというところもポイントになります。
他にもまだまだある「便利な工具たち」
筆者のような現役の自動車整備士にとって、工具は手足と一緒ですし毎日使うものですから、強いこだわりがあります。
これまでに、「金をドブに捨てたようなものだ!」というものから、思わず仲間に勧めたくなるものまで、数々の工具を使ってきました。
今回ご紹介した工具は、10年以上の現場経験や先輩などへのアドバイスをもとに選りすぐった、本当に買って良かったと思えるものばかりです。
ただ、この記事で紹介した工具はまだまだ一部に過ぎません。
これからも皆さんのお役に立てれるような工具たちを発信していきますので、乞うご期待です。
以下の記事も参考にして下さいね
自動車整備士が実際に使用している工具のメーカーやおすすめの工具を知りたい。