車が水没したその後の行動【結論:リスクしかない】

車が水没したその後の行動【結論:リスクしかない】

車が水没してしまったけど、その後もエンジンはかかるし乗れそうなんだけど、このまま乗っていても大丈夫でしょうか?

こういった疑問にお答えします。

近年は地球温暖化の影響で気候が変化し、予期せぬ自然災害が度々起こっています。

一番記憶に新しいのが、熊本県を中心に九州や中国地方の各地に起きた集中豪雨「令和2年7月豪雨」。

農林水産被害額が約1,019億円に上り、 死者10人、負傷者115人、全壊31棟、半壊172棟、床上浸水2万2894棟、床下浸水4万6943棟

数字だけを見れば、東日本大震災はもちろんのこと、ここ数年の大規模な風水害と比べても少ない印象を持ってしまいますよね。もちろん、命に大小や軽重はなく、犠牲になった方々には心よりお悔やみを申し上げます。

我々が住んでいるこの日本のどこかで、このような被害が出ているにも関わらず、自分の車が水没するなんて、あまり想像できないですよね?

実際にわたしの住んでいる地域では、ほとんど水害はなく、ほぼ他人事にみたいになってしまっている人が多いのも現状です。

しー

災害が多くなってきているこの日本に住んでいる限り、あなたもいつか水害にあってもおかしくないです。

この記事では、過去に水没車の修理をしてきたメカニックのわたしが、車が水没してしまったその後にとるべき行動を解説します。

水没した直後に起こるトラブルや修理してから起こるトラブル、いろいろ見てきました。

その経験談を元に書いていきます。

本記事のテーマ

車が水没したその後の行動【結論:リスクしかない】

車が水没したその後の行動

車が水没したその後の行動【結論:リスクしかない】

さっそく結論からですが、車が水没すると超高額な修理になる事は間違い無いです。

車両保険に入っていれば車の評価額を上限に、保険金が出ます。

しかし、「全損レベル」の水没の場合ですので、部分的な水没による後遺症や、そもそも車両保険に入っていない場合は保険金がでません。

保険会社は、車両保険として水没車の修理を進める場合、「一発で完全に終わらせてほしい」という要望が多い傾向にあります。

理由として、修理をした後日にまた別の場所で水没が原因であろう不具合が出た場合、あとの事務処理がかなりだそうです。

そのため、水没に関する修理費の見積もりを整備工場から受け取った場合、「この一回の修理で完全に水没する前の状態にできるかどうか」ということを念を押してきます。

修理工場としては、リスクになるであろう部品はすべて見積もりの中に入れてしまうことで、後日に再修理にならないように万全な見積もりを作成する必要があるのです。

なので、お互いのリスクを考えると「ほぼ全損」と思っておいた方が良いです。

ここからは各項目ずつ、具体的にどのような状態で水没したらアウトなのか、そして修理後のリスクについて解説します。

車が水に浸るパターンとして3つあります。

水没のパターン
  • タイヤの半分ほど水没した
  • 車内に水が入ってきてしまうほど水没した
  • エンジンが完全に水没した

こんな感じ。
順番に解説します。

タイヤの半分ほど水没した場合

車が水没したその後の行動【結論:リスクしかない】|タイヤの半分ほど水没した場合

この場合は、「全損」とまではいかないと思われます。

エンジンを始動して走行は可能ですが、ブレーキ系や駆動系に今後影響が出てくる可能性があります。

特に海水の場合は、サビの発生の原因となってしまいます。

ブレーキシステムの不具合、ベアリング類の痛み、電動パーキングシステム搭載車であればモーター類の損傷が考えられます。

自走できますが、すぐ点検を受けましょう。

修理後のリスク

ブレーキシステム、ベアリング類、電動パーキングシステム搭載車であればモーター類などの交換は必須です。

その他のリスクとしてサスペンションのアーム類、マフラーのサビが今後出てくるでしょう。もし、車両保険でカバーできるのであれば下回り、足回り関連は交換と思って下さい。

そこを交換せずに乗っていると、走行中にゴーゴー異音がなったり、ブレーキの効きが悪くなったり、サビで部品が脱落したりと不具合が多発してきます。

車内に水が入るほど水没した場合

車が水没したその後の行動【結論:リスクしかない】|車内に水が入るほど水没した場合

タオルなどで車内の水分を極力除去し、全席の窓を全開にし、車内を乾燥させます。

車内に関しては足回りへの影響に加えて、車内の電気系統のトラブルがリスクとなります。

フロアカーペットの下にはたくさんの配線があります。

防水処理されていませんので、カプラーの端子がサビてしまいショート、最悪のケースは車両火災の原因となります。

自走はできるかも知れませんが、できたらレッカーサービスなどで修理工場に修理依頼するのが無難です。

修理後のリスク

上記に加えて、車内のクリーニングだったり、車内の配線、電装パーツは全て交換になります。

水位によって交換する部品点数は変わりますが、水没してしまった電装品関連は全て交換です。車内は防水処理されていないので、カプラーの端子が必ずサビます。

サビた端子が、電気回路に過大な抵抗になりショートや電圧降下で電気システムの故障が出てきます。

これら全て交換しないと絶対に今後乗れないと思って下さい。

車内が水没してしまうと、生乾き臭がなかなか取れないので、修理後も臭いが残ってしまうケースが多いです。

エンジンが完全に水没した場合

車が水没したその後の行動【結論:リスクしかない】|エンジンが完全に水没した場合

この場合バッテリーがショートを起こす可能性がありますので、水が引いてからボンネットを開けて乾かしましょう。

そしてショートを防ぐためにバッテリーのー端子を外します。

車を止めたまま水没した場合は、水位によったらエンジンが復活する可能性がありますがエンジンをかける事は控えて下さい。

走行中に水没した場合は、吸気側から大量の水分がエンジン内部に侵入し、エンジン内部に相当なダメージが考えられます。

すぐにレッカーサービスなどで、修理工場に修理依頼をしましょう。

修理後のリスク

上記に加えて、エンジン内部に大量の水が侵入してしまっている場合は、もうオーバーホールかエンジン交換になります。その他、エンジン周辺の補機類も全て交換になります。

エンジンルームの配線は防水加工されているので、使用できる可能性はあります。

エンジン周辺の部品も使用できると思いますが、それは状況次第なので現場の判断に任せましょう。

ただ、ここまでくると「完全に全損レベル」ですね。

水没車について「みんなの声」

なので、水没した場合は廃車にするのが無難。

逆に中古車を買う場合も要注意。
平気で水没車を販売する悪徳な業者は存在します。

よくあるのが「激安中古車」。

水没車はプライスボードに表示する義務がありません。

表示義務があるのは、車の骨格(フレーム)の修復や交換をした車で、「修復歴車」と表示されます。水没車は車の骨格の修復や修理をしたわけではないため、修復歴車とすら表示されません。

もちろん、水没車、冠水歴車と表示する中古販売店もありますが、表示義務がないため“激安中古車”として販売している業者もあることを覚えておきましょう。

まとめ:リスクしかない

車が水没したその後の行動【結論:リスクしかない】|リスクしかない

今回は以上になります。

  1. 水没は「超高額修理になる」
  2. 修理後は必ず「後遺症」がついてまわる
  3. 逆に中古車購入時は注意

自然災害なのでこればっかりはどうしようもないです。

ちなみに水没車には定義があり、「集中豪雨や洪水などにより、室内フロア以上に浸水したもの、またはその痕跡により、商品価値の下落が見込まれるもの。」と定義されております。

水没車にしない為にはできる範囲で対策をしましょう。

対策
  • もし引越しをする場合は周辺環境を理解しておく。
  • 氾濫が予想される河川の近くは避ける。
  • ハザードマップも活用。
  • 天気予報をアプリで事前に天気を把握し、水害被害のリスクが少ない地域に駐車しておく

あとは、最悪水没して車内に閉じ込められた場合には、緊急脱出用にハンマー、もしくはピック付きの発煙筒を常備しておくのも良いと思います。

愛車も大事ですが、命が最優先ですから。

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