クルマのバッテリー上がりをご自身で解決するのは良いですが、少しだけ知識が必要です。
バッテリーはクルマを始動させるための大切な装置です。
適当な作業をして、もし失敗すると余計な故障を招きます。
結論から書くと次のとおりになります。
- 知識なしでバッテリーを触る
- バッテリー上がりをそのままにする
- ブースターケーブルの手順を守らない
- 始動後に電装品をフル稼働する
- 始動後に点検せずそのまま乗る
この記事を書いている筆者は、本業は自動車整備士であり、これまで数多くのバッテリー上がりの救援を行ってきました。
スバル車でおすすめのバッテリーをお探しの人は、スバル車のバッテリー交換|選び方や性能ランク、おすすめメーカーなどを解説もご覧ください。
もくじ
バッテリー上がりでやってはいけないこと
1つ1つサクッと見ていきます。
その1:知識なしでバッテリーを触る
ブースターケーブルやジャンプスターターを使ったジャンピングスタートは、知識がない人ほど危険だという認識を持って下さい。
こういったバッテリー上がりの救援やバッテリー交換などはプロの整備士でも慎重になる作業です。
接続を間違えたりすると取り返しのつかないことになるというのを知っているからです。
- +と−を逆に繋いでコンピューターを壊した
- 工具で端子をショートさせた
- バッテリー交換後の車両の学習ができない
これらはわれわれプロである整備士でも気を抜いたら失敗することもありえます。
経験の浅い整備士であれば誰しも1度はやってしまった経験はあるのではないでしょうか。
自分は大丈夫だと思っていても、ふと気が緩んだ時にトラブルに見舞われます。
単なるバッテリー救援が取り返しのつかない故障を生む危険があることを知っておきましょう。
この時点で「自分には無理だ」と感じるのであればJAFもしくは保険のロードサービスで頼むのが吉です。
その2:バッテリー上がりをそのままにする
「しばらく乗らないしそのまま放置でいいや〜」。
「バッテリー上がりを放置する⇨クルマをそのままにしておく」というのはクルマの各部位を痛めることにつながります。
- 年単位になるとガソリンタンクが腐る
- タイヤなどのゴム部品の劣化
- サスペンション、ブレーキなどのサビ
「久しぶり乗ったらなんだか調子が悪い…」なんてことは全然考えられる話。
例えばガソリンが腐るとガソリンが正しく燃えないので、ちゃんとエンジンが動かないっていうのはイメージできますよね。
そしてガソリンが腐ると、タンク内が錆びる、タンク内の電子部品が錆びる、錆びた金属がエンジンまで循環する、エンジンを破壊する…。
1つのトラブルがキッカケで、複数のトラブルを招くことになるかもしれません。
クルマは定期的に走らせる、かつ、年式相応に走らせることが維持のポイント。
走行距離が少ないクルマの方が劣化も少なく、健康なイメージがありますが、必ずしもそうでは無いことを覚えておきましょう。
その3:ブースターケーブルの手順を守らない
ブースターケーブルは手軽にバッテリー上がりを救援できるアイテムとして普及していますが、手順を守らないとショートを引き起こします。
- ケーブル同士を接触させる
- +と−端子を間違えて接続
知らずに繋いで上手く行く場合もありますが、それは単に運が良かっただけ。
誤接続でショートさせると周辺がコゲます。
ショートと同時にバッテリー端子が溶け落ちてしまう事もあります。
くれぐれも注意して下さい。
市販されているブースターケーブルには必ず取り扱い説明書が同封されていますので、初心者の人は必ず守るように心がけて下さい。
その4:始動後に電装品をフル稼働する
バッテリー上がりを解決した後は電装品の使用は控えて下さい。
救援直後はバッテリーの充電が十分ではありません。
この状態でエアコンやヘッドライトを使用するとバッテリーの充電を妨げ、再びバッテリー上がりを引き起こしてしまう可能性があります。
始動後は電装品の使用をできるだけ控えて1時間程度アイドリングで充電させましょう。
その5:始動後に点検せずそのまま乗る
バッテリ上がり後をしたバッテリーは、充電後に使えるパターンとそうでないパターンがあります。
もしバッテリー上がりをした原因がハッキリしなければ、根本的なトラブルを解決したわけではありませんよね。
救援後にそのまま乗り続けるのは危険です。
なぜバッテリーが上がったのかをハッキリさせて下さい。
バッテリー上がり1つでもさまざまな可能性があります。
- バッテリーや充電装置の故障(機械的な原因)
- 車両側の電気回路の故障(電気的な原因)
- 走行距離が極小、ランプ消し忘れ(人為的な原因)
他にも電装品(ドライブレコーダーなど)の故障によってバッテリー上がりを誘発するような故障事例もあります。
必ず点検を行い、必要であれば修理してから乗るようにしましょう。
救援後にとるべき行動3ステップ
JAFやロードサービスなどでの救援はスタッフに従うだけでいいですが、自力で救援した場合は以下の手順を踏んで下さい。
最終的には自力で修理工場に持っていくようなイメージです。
1時間程度アイドリングで充電する(電装品はOFF)
走行で充電する(アイドリングストップはOFF)
修理工場でバッテリーと車両側の点検
順番に見てきます。
ステップ1:アイドリングで充電
車はエンジンが回転すると充電装置も回転するのでゆっくり充電されます。
バッテリーの状態にもよりますが、だいたい1時間が充電時間の目安です。
1時間ほどの充電で、走り出す分の電気量を確保できます。
ただし、エアコンやライトを使うと充電時間が伸びるので注意です。
また長時間のアイドリングは、近隣住民とのトラブルになりかねませんので場所や時間帯にも気を使いましょう。
ステップ2:走行しながら充電
アイドリングである程度充電し、メーター内に警告灯が点灯してたり、チラついていたり、エンジン不調などがなければ走行してみます。
走行することで充電量を増加させることができます。
目安としては30分前後です。
途中でエンジンを切ったりしないように注意して下さい(アイドリングストップはOFFで)。
ステップ3:バッテリーと車両の点検
整備工場に着いたらバッテリー単体の点検と車両側の点検をお願いします。
整備工場のスタッフにバッテリーが上がった状況をていねいに伝えましょう。
- いつ・どこでバッテリーが上がったか
- 最後にバッテリー交換したのはいつか
- ランプの消し忘れなど無かったか
細かく伝えることが原因の早期発見につながります。
持っておくと便利なアイテム
JAFのデータによると、一般道路と高速道路での四輪・二輪合計の出動理由の第1位が「バッテリー上がり」であり、2021年度では全体の4割以上を占めています。
油断しているとあなたのクルマにも全然起こりえる話です。
定期的な点検はマストですが、何が起こるか分からないのが工業製品。
そこでもしもの時のために使える便利なアイテムはいくつかご紹介します。
ブースターケーブル
バッテリー上がりといえば、基本的にはロードサービスなどに依頼するのが一般的ですが、もし近くにエンジンが正常にかかる救援車があるのであれば、ブースターケーブルが役立ちます。
個人でも簡単に入手できますし、トランクに積んでおいてもそこまで邪魔にならないので、事前に備え付けておきましょう。
持っておくと自分のクルマだけじゃなくて、他人を助けることもできます。
ブースターケーブルのおすすめについては以下の記事で解説しています。
ジャンプスターター
ジャンプスターターとは、バッテリー上がりなどの急なトラブル時に急用携帯型のバッテリーです。
ブースターケーブルのように他のクルマのバッテリーと繋げて救援するのではなく、ケーブルとは別に専用のバッテリーを搭載しています。
ブースタケーブルと違って扱いやすさ、携帯性が高く、そして最近ではモバイルバッテリーとしても使えるものも多いです。
ジャンプスターターのおすすめは以下の記事で解説しています。
バッテリーは重要な消耗品
バッテリーはエンジンをかけたり、クルマの電装品を動かすための重要な消耗品です。
定期的なメンテナンスは欠かせません。
また最近のバッテリーの寿命は判別しにくいです。
昔のバッテリーであれば徐々に性能が劣化していき、ユーザーとしても交換時期がある程度わかったものです。
しかし最近のバッテリーは寿命を迎える直前まで最大限の性能を発揮し続け、そして突然死にます。
定期的に点検を受けていたとしてもバッテリー上がりは突然やってくることは十分ありえる話。
ではあなたができることは何か。
それは定期点検はもちろんのこと、もしもの時に対応できる準備をしておくことです。
出先でバッテリーが上がったらどうするか?
JAFやロードサービスを利用するのが王道ですが、繁忙期であるGW、お盆、正月などは到着がかなり遅れるケースがほとんど。
急を要する場合はいちいち待ってられませんよね。
普段からの定期的なメンテナンス+ブースターケーブルなどの備え、そして質の良いバッテリーを搭載しておくことをおすすめします。
スバル車でおすすめのバッテリーをお探しの人は、スバル車のバッテリー交換|選び方や性能ランク、おすすめメーカーなどを解説もご覧ください。