このような疑問にお答えします。
スバルの名車といえば「スバル360」が有名ですよね。
筆者が高校生の頃、歴史の教科書にも載っていました。
1958年に、初の量産自動車「スバル360」が発売されて以来、スバルは現在まで数多くの名車と呼ばれるクルマを作ってきました。
自動車ブランドしてはもう半世紀以上の歴史を築き上げてきています。
そこでたまにこんな質問をされます。
「スバルの名車って何があるのか」。
まぁこれは、興味本位での質問でもあり、「スバルが好きだけど現行車でしっくりくる車種がなく、中古車も検討しているから知りたい」との意味合いもあるのかなぁと思います。
整備に携わり、そしてスバル車を乗り続けて10年以上。
数多くのユーザーさんのクルマに関わってきました。
そんなわたしが考える「スバルの名車」を独断と偏見でご紹介します。
過去のクルマに興味がある人は、ぜひ参考にして頂けたら幸いです。
もくじ
歴代最高傑作のスバルの名車はどれなのか
スバルといえば、みなさん何を思い浮かべるでしょうか。
世界でもポルシェとスバルしか作っていない「水平対向エンジン」、左右対称レイアウトの「シンメトリカル4WD」、走りと利便性が両立した「ツーリングワゴン」。
そして、各メーカーが凌ぎをけずる安全・運転支援技術「アイサイト」。
有名なところではこんな感じでしょうか。
スバルの開発理念は「安心と愉しさ」です。
「水平対向エンジン」や「シンメトリカルAWD」といった独自技術を開発したのも、ユーザーに走る愉しさを感じてもらえるように、との思いが伝わります。
「水平対向エンジン」は、スバルを語る上で欠かせない強み。
V型エンジンと比較するとエンジンの重心が低いので、安定感が抜群。
またピストンが左右に向き合う形なので、振動が少なくなめらかに回転します。
これぞ、航空機で培った技術を活かして作られたエンジン。
さらにスバルの4WDは、縦置きエンジンの縦置きミッションを採用しており、車を真上や、真正面から見ると線対象になるように部品が配置され、非常に美しい構造をしています。
飛行機のような設計思想は、中島飛行機をルーツとするスバルならではといえるでしょう。
近年では、世界的に安全技術が高いのもスバルの強みです。
今では当たり前になっている先進安全技術「アイサイト」は、スバルが先駆者ですからね。
では今まで数え切れないほどの先進技術を開発してきたスバルにとって、これまでもっとも評価されてきた「名車」とはなんでしょうか。
「名車」の定義を調べて見ました。
名車とは、すぐれた性能を持つ自動車。また、伝統のある有名な自動車。
引用:コトバンク
んー。
なんかザックリしすぎですよね。
確かに何を持って名車なのかっていうのは人それぞれですから。
なので、スバル車の中でも「世の中に影響を与えたクルマ」を軸に、名車を選んでみました。
「ざっくり、スバルってどんなメーカーなの?」という人には、こちらの記事で解説しています。
小型高性能「初代 インプレッサ WRX」
令和のこの時代にも未だかつて人気が高いのが「初代 インプレッサ WRX」。
インプレッサ WRXには、スバリストと呼ばれる熱狂的ファンの存在があり、程度が良い車両であればほとんどプレミア扱いというのが現状です。
発売時期は、1992〜2000年。
「WRX」の由来は、かつてスバルのスポーティモデルを担っていた「レオーネRX」に由来するという説と、「当時開発陣が、発売後はレガシィに代わるWRC参戦車両になることから”World Rally X”を略したコードで呼んでいたものがそのまま採用されただけ」とする説があり、どちらが正解なのかはよく分かっていません。
レガシィの後を継ぎ、世界ラリー選手権(WRC)参戦車両として、高い性能が与えられたスポーツモデルがスバル インプレッサ WRX(GC8型)。
エンジンは、これまでWRC参戦車両のレガシィRSにも搭載されていたEJ20型 DOHCターボエンジン。
デビュー当初は240馬力でしたが、年次改良を重ね、最終的に自主規制いっぱいの280馬力にまで引き上げられました。
レガシィ RSに代わって参戦したWRCでは、参戦初年から2位という好成績でデビュー。
1994年の第6戦「アクロポリス・ラリー」で優勝を飾り、1995年には8戦中5勝を挙げます。
それまでファミリーカーというイメージが強かったセダン(ワゴン)に走りのイメージを植え付けました。
家族のために泣く泣くスポーツカーを手放したユーザーにとって格好の選択肢として歓迎され、「セダン(ワゴン)でも走りにこだわる」という風潮を広げることになったのです。
WRXに搭載された技術、それらが実現したパフォーマンスのレベルがいかに高いものであったのかは、1995年のWRCで初の制覇、そして1997年までマニファクチャラーズ選手権で3連覇という偉業によってさらに証明されたことでしょう。
さらに日本国内では空前のWRCブーム。
当時スバルチームのメインスポンサーであった、ブリティッシュアメリカンタバコ(BAT)のブランド“555”のステッカーでデコレーションされたレプリカ車が、街中で多く見かけられるほどになりました。
初代 インプレッサのWRCにおける活躍は、世界各国でのスバルのブランド向上はもちろん、三菱のランサーと共に、日本におけるラリー人気の火付け役となったに間違いありません。
また、1998年には、WRC3連覇を記念して「22B STi Version」を400台限定で発売。
特徴は専用の水平対向4気筒「EJ22改」(2212cc)エンジンを搭載し、手作業によって制作されたというブリスターフェンダーや、ノーマルでツインプレートクラッチを採用。
価格は500万円と、当時としてはかなり高額でしたが、ラリーでの活躍やインプレッサ人気が高まっていたこともあり、「22B」は即完売。
入手困難なこともあって、WRCが人気のヨーロッパでは、1000万円を超える価格で取引されるほどの人気を誇りました。
スバルにとって、インプレッサというブランド力を確固たるものにしたのが「初代 インプレッサ WRX」。
そして全世界にスバルの技術を知らしめた「最高傑作の名車」であることは間違いないでしょう。
この記事を書いている2022年現在では、もう入手困難なクルマになってしまいましたが、そのDNAは現在のWRX STIに引き継がれています。
初代を語ろうと思うと書ききれません(笑)。
それぐらいスバルファンとしては特別な存在であり、多くの人がスバルを好きになるキッカケを作った名車だからです。
現代に負けないワゴン「4代目 レガシィ」
レガシィの中でも、ボディの軽量さ、耐久性、エンジンも低速トルクを増して扱いやすく、品質が安定していること、内外装とも魅力的デザイン、そしてコスパの高さ、挙げればきりがないほどの魅力が詰まっているツーリングワゴンこそ「4代目 レガシィ」です。
歴代レガシィのなかでも特にスタイリッシュで、10年前のクルマとは思えないデザインと日本人にピッタリなサイズ感。
今でもなお中古車市場でも人気が高く、良質な個体が多いのもポイント。
カーセンサーだけがもっている膨大なデータをもとにした、毎年恒例の中古車注目度&競争率ランキング「カーセンサー・カー・オブ・ザ・イヤー」というランキングはご存知でしょうか?
2019年には、その中でもレガシィツーリングワゴン(BP系)は、北海道・東北地方で第1位、レガシィB4(BL系)は北海道地方で第2位と、雪国での注目度が高い車種なんです。
さらに、2018年のカーセンサー・オブ・ザ・イヤー2018では総合第4位に選出されるなど、レガシィの悪路走破性には絶大なる信頼があります。
「水平対向エンジン+ AWD」とBP/BL系の「スマートでコンパクト、そして積載性もバッチリ」なその使いやすさが魅力なんですよね。
また、4代目レガシィはバリエーションの多彩さも際立っており、選択肢の幅が広いのも魅力的。
NAからハイパワーターボや6気筒までのパワーユニットの種類も豊富で、しかもMTが選べた点も見逃せません。
5代目にもMTは存在していましたが、販売台数の低迷と販売期間が短かったこともあってか、中古車市場ではレアな存在になってしまってます。
4代目レガシィが中古車市場で人気なのは、グランドツーリングカーの中でも「選択肢が広い」というのが理由の1つなのかもしれませんね。
詳しくは過去にこちらの記事で解説しております。
農道のポルシェ「サンバー」
絶版になってから早くも10年。
「サンバー」はスバルにとっても、軽自動車の歴史にとっても「名車」といっても異論はないですよね。
リアエンジン+4輪独立懸架という、かのポルシェ911と同じレイアウトを誕生以来一貫して守り続け、トラック版は「農道のポルシェ」として有名となり、名作となりました。
生産は1958年に登場したスバル360がルーツになります。
シャシは一般的なラダーフレームでしたが、動力伝達系統とサスペンションレイアウトはスバル360の基本構成を流用。
そしてエンジンの搭載位置はリアで、サスペンションはトーションバースプリングとトレーリングアームを組み合わせた4輪独立懸架。
商用車の足回りはリーフスプリング式の固定軸というのが主流だった当時、サンバーの凝った足回りは、まさに「異例」と言われていました。
その後もフルモデルチェンジを重ねていたサンバーは、1999年2月に最終型となる6代目が登場します。
サンバートラック、バンに加えて、乗用モデルのディアスはシャシーフレーム付き新環状力骨構造のボディを新採用することで、高い安全性を確保しています。
さらに伝統である「フルキャブボディ」も採用。
クラストップレベルのカーゴスペースも魅力の1つ。
フルキャブボディの採用により、規格変更によってボディサイズは大型化したものの、最小回転半径は従来モデルと同じ3.9mを実現し、クラス最高の取り回しの良さも定評です。
エンジンは全域での出力向上と燃費性能が向上した直列4気筒エンジンを継続して搭載し、自然吸気エンジンには全車電子制御燃料噴射方式を採用。
さらにスーパーチャージャーを装着したハイパワーモデルも用意されました。
こんな軽トラ、バンは他にありません。
なぜ今でもなお人気のなのかというと、軽自動車ながら4気筒エンジン、4輪独立サスペンションという現在の軽自動車では見ることのできないクオリティの高さがあるからです。
惜しくも2012年に生産が終了したサンバーですが、小型乗用車に負けない品質・性能から、中古車市場ではプレミア価格になっています。
ライバル車と比べて異端とも言える特徴的な軽自動車で、運送会社『赤帽』での採用もあったりと、「走り」に対する絶大なる信頼性は厚いです。
今後このクオリティを超える軽トラは登場しないと思います。
本当に名車だと思います。
軽を超える軽「ヴィヴィオ」
軽自動車の中でもこれまでサンバーを始めとした「異例」のクルマを作ってきたスバルですが、歴代モデル中でもっとも走りに定評があるのが「ヴィヴィオ」です。
販売時期は1992〜1998年。
軽自動車の規格が550ccから660ccとなり、実質ヴィヴィオの前モデルとなるレックスは、この規格変更時に後期型となり、直列2気筒から一気に4気筒エンジンを搭載。
EN07と呼ばれる660cc直列4気筒エンジンを継承します。
軽自動車の4気筒モデルをラインアップするメーカーはスバル以外にもありました。
主力車種はあくまで3気筒のモデルがほとんどでしたが、スバルは全車4気筒エンジンを搭載し、スポーツモデルにはターボではなくスーパーチャージャーという独創性。
さらに、スバルの軽自動車ならではの4輪ストラット式独立懸架サスペンションを採用し、乗用車に負けない走りの軽が誕生します。
キャッチフレーズは「シンプル・リッチ」
そう。シンプルであり、自動車としてのクオリティを上げたクルマなのです。
メインとなったグレードは、4バルブDOHCヘッドとインタークーラー付スーパーチャージャーを備えた「RX-R」で、軽自動車で唯一「WRC(世界ラリー選手権)でクラス優勝を果たした」という、ビックリするような成績を収めています。
その後はスバルらしく何度もマイナーチェンジを重ねながら進化を続け、1998年8月には軽自動車規格の改定にともなって生産終了に。
そして同年10月には、後継の「プレオ」にバトンを渡す形で販売終了となりました。
惜しくも1代で生産が終わったヴィヴィオ。
理由としては、当時大ヒットしたワゴンRに対抗できる「トールワゴンタイプ」に、軽自動車ビジネスの主軸を移したことが挙げられます。
それが後継車「プレオ」ですね。
時代の波に敗れたヴィヴィオですが、その実力は軽自動車を領域を超えています。
スポーツカーを取り戻した「BRZ」
業務提携を結んだトヨタとスバルは共同開発で「スポーツカーを作る!」とプロジェクトをスタート。
もちろん当時「スポーツカーは開発コストがかかるのに売れない」と一蹴されていました。
これを強力に推し進めたのがトヨタ自動車の現社長、豊田章男氏(当時副社長)です。
チューニングのしやすさから今でも人気のあるAE86(カローラレビン・トレノ)をモチーフに、FRレイアウトで軽量コンパクトかつ低重心。
チューニングしやすいだけでなく、更に多くの人に楽しんでもらうために手ごろな価格での販売という使命を背負い、プロジェクトは始動。
そして誕生したのが「BRZ」です。
発売当初、250万~300万円程度の価格だったBRZは、スポーツカーとしては手頃な価格で、若者へアピールされました。
年代別では、初期購入者(発売から2015年3月契約までの約3年間)とそれ以降の購入者(2015年4月契約以降)で比較すると、若年層が増えていることがわかります。
このことから、発売当初は過去にスポーツカーに乗っていた中高年層に注目されました。
その後、若年層へ波及していった様子がうかがえます。
軽量コンパクトでFRというスポーツ走行向きなレイアウトは、初心者から上級者まで皆が「乗ってて楽しい」と感じられる。
BRZは、最近の新型車では類を見ないほどにチューニングパーツが豊富となっている点も魅力の1つ。
元々メーカー側も「チューニングをする余地を残している」と明言している事もあり、自分の好みにチューニングすることで、世界で1台だけの愛車を作り、楽しむことができます。
またトヨタ主催の「GAZOO RACING」が86/BRZのワンメイクレースを開催していたり、各モータースポーツでも幅広く活躍する86、BRZは、ノーマル状態でもスポーツ走行性能が高く、気軽にモータースポーツが楽しめるスポーツカーです。
ミニバンや5ドア系のモデルが主流となり、世の中の流れがエコに向かっているなかで、その流れに逆行するかのように専用の2ドアボディのFRスポーツ。
スポーツカー氷河期にわざわざ発表し、自動車業界を再び盛り上げてくれたクルマは他にあるのでしょうか。
これはスバル・トヨタだけにとどまらず、自動車史に残る「名車」になることでしょう。
2012年に発売されてから10年。
街の中でもよく見かけるようになりましたよね。
クルマが道具として見られるのが当たり前になったこの時代に、クルマを趣味として、多くの人が楽しめるスポーツカーを世に送り出してくれたメーカーには本当に感謝しかありませんね。
個人的には「4代目レガシィ」推し
スバルにとって「ツーリングワゴン」は、唯一無二のカテゴリーです。
その中でも「4代目」は、グローバル戦略に向けた「5代目」にはないオリジナリティ溢れるデザインとセンスが日本人に丁度マッチしているクルマです。
そして中古車でもまだまだ狙えるのもポイント。
「4代目レガシィ」はセダンである「B4」とツーリングワゴンを合わせると、中古車の流通台数が1000台近くあり、エンジンバリエーションやグレードの選択肢も多いのが嬉しい。
おそらくもう2度と新車では登場しない6気筒や、NAのスポーツグレード2.0Rといったマニア向けするレアグレードもそれほど高くなっていません。
4代目レガシィシリーズの中古車は、50万円以下からでも十分に狙える状況。
同じスバルのスポーツモデルでも、相場が高騰し続けているレヴォーグやWRX系より圧倒的に狙いやすい状態にあります。
半導体不足の問題やコロナ問題で、新車が納車できない状況はまだまだ続くと思われます。
それに比例して中古車も高騰していくことになるでしょう。
珠数が今だに多い「4代目 レガシィ」を手に入れるなら今がチャンスですよ。
交換パーツもほとんどはまだディーラーで入手できるので、多少程度の悪い車体でも、少しお金をかければ当時の質感を取り戻すことは難しくありません。
豊富に手に入る今のうちにメンテナンスを整えれば、この先10年以上にわたって名車の質感が味わえることでしょう。
今回は以上になります。
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スバルの「名車」と言われるクルマは何があるの?スバル車の中でもとくに評価が高いクルマを知りたい。