冬のタイヤには大きく分けて、5種類あります。
- トレッド面に金属鋲を打ち込んだスパイク(スタッド)タイヤ
- オフロードや突然の降雪程度なら対応できるマッド&スノータイヤ
- 北欧などの極寒地で使われる厳冬期対応タイヤ
- 全季節に対応したオールシーズンタイヤ
- 金属鋲を使わずにグリップ力を確保できるスタッドレスタイヤ
日本では冬用タイヤとして1980年代まで愛用されていたのはスタッドタイヤですが、金属でできたスタッドは凍っていない道路の上で走行すると路面を傷つけてしまうおそれがあるため問題視されていました。1991年になると共にスパイクタイヤの販売は終了し、この世から徐々に姿を消していきます。
スタッドタイヤの使用は健康上の問題があり、粉じんを吸い込むとまるで喫煙したかのように肺が真っ黒になります。スタッドタイヤは現在使用禁止となっており、使用した場合は罰金があります。
現在の日本ではスタッドレスタイヤが冬用タイヤとしては一般的になっています。
今では雪道や凍結した路面でなくてはならない存在ですが、ノーマルタイヤと違っていくつか使用する上での注意点があるのはご存知でしょうか?

そもそもスタッドレスタイヤってノーマルタイヤと何が違うの?
この記事では、スタッドレスタイヤの特徴について解説します。
私は自動車整備士歴10年目です。私が住んでいる地方では雪がよく降るので、昔からスタッドレスタイヤとは馴染みがあります。
今までプロとしてさまざまなお客様にアドバイスしてきた経験があります。
この記事を最後まで読むコトで、

スタッドレスタイヤを使用する上での特徴を知りたい。
こういったご要望にお答えできます。
では、見ていきましょう。
もくじ
なぜ凍結した路面は滑るのか
路面の「水の膜」
凍結道路で滑るのは、路面の雪が解けて「水の膜」ができているからです。凍った路面は、熱だけでなく、タイヤなどから受ける「圧力」でも解けて水の膜が発生します。
0℃~-10℃で水は溶け出しやすく最も滑りやすい状態になりますし、温度がさらに低い状態であれば逆に水は溶け出しにくく滑りにくくもなります。
これがスリップを生み出す最大の要因です。
硬化したタイヤ
温度が下がると水は溶け出しにくくなりますが、タイヤはゴムでできているので性質上、低温で硬くなってしまうと滑りやすくなります。
本来、凹凸あるゴムの表面は、柔軟に路面に密着し接地面積を増やすことでグリップ力を維持しています。 しかし、低温時に硬化したタイヤは、路面に密着しにくくなってしまい接地面積の減少につながり、「スリップ」を誘発してしまいます。
スタッドレスタイヤとは
特徴
最大の特徴は、スタッドレスタイヤの素材は通常タイヤよりも柔らかくできており、路面との接地面積が広い分摩擦抵抗が高くなるコトです。低温でも硬くなりにくいゴムを採用しています。
タイヤのトレッド面に大きく深いブロックが設けられ、そのブロックには細かな切れ込みが刻まれています。凍結した路面を覆う薄い水分膜を吸い込んだり、タイヤの溝に入った雪を排出しやすい構造がとられているのも特徴です。
アイスバーンは苦手

アイスバーンは世界で最もタイヤには過酷な路面環境と言われております。アイスバーンとは、氷のように凍結した路面のこと。雪が降った翌日に気温が上昇し、夜になって急激に冷え込むと、道路の雪解け水が凍って発生しやすくなります。日本の場合、気温の高低差が激しいのでアイスバーンが発生しやすい環境になります。
積雪路を得意とするスタッドレスタイヤは、アイスバーンが発生した場合に噛むべき雪がなく、ほぼグリップすることは不可能です。ノーマルタイヤとほぼ変わらない可能性があります。
さらに氷は、気温の変化やタイヤが通過することで溶け出して水膜を生み出します。
そんなアイスバーンが苦手なスタッドレスタイヤですが、各タイヤメーカーがアイスバーンに対応できるように現在しのぎを削っています。
雨の路面は苦手
スタッドレスタイヤは、凍結路面の上にできたミクロの水の膜を取り除いて、積雪路との密着を上げて走って、曲がって、止まります。しかし、雨天時の大量の水を取り除くことはできません。
ゴムが柔らかいスタッドレスタイヤは夏用タイヤに比べて路面に溜まった水をはじき飛ばすことが得意ではなくブレーキ性能が低下します。
さらに速度が上昇すると車が路面から浮いたような状態になってハンドル操作がきかなくなる「ハイドロプレーニング現象」が発生しやすくなるのです。
ハイドロプレーニング現象とは、タイヤと路面の間に大量の水の膜ができ、ハンドルやブレーキなどが制御不能となる状態です。
雪道でのQ&A

まとめ
いかがだったでしょうか?この記事では、
①なぜ、凍結した路面は滑るのか
②スタッドレスタイヤについて
③雪道でよくある質問についての個人的な回答
こういったテーマで書きました。
スタッドレスタイヤはグリップ力も剛性もノーマルタイヤに比べると性能は落ちます。あくまで「積雪路」専用のタイヤでということを意識して下さい。
たまに、1年中スタッドレスタイヤを装着している人を見かけますが、車本来の性能を発揮できません。自動車整備士から言わせると、車検の時に「制動力」を測定しますが当日に雨が降っているとスタッドレスタイヤでは制動力不足で検査不合格になるケースもあります。
正しい知識を持って、正しく賢くスタッドレスタイヤを装着しましょう。
こんにちは。しーです。今回はスタッドレスタイヤを使用する上での注意点について解説します。