このような疑問にお答えします。
スタッドレスタイヤ長く使用しようと思うと「保管方法」と「寿命」は密接な関係にあります。
タイヤ専門店やディーラーなどでは、タイヤ預かりサービスを行っている地域もあったりします。
自宅にタイヤを置く場所が無い人やお店で交換していちいち車に積み下ろすのが面倒な方にとっては大変便利なサービスなのですが、普通車のタイヤであれば1年間の保管料金の相場は10,000~15,000円程度が必要になり、さらに、タイヤ脱着時の工賃が別で3,000〜4,000円程度必要となってくるのでコスパはあまり良くないのが痛いところ。
それだったらその費用をタイヤ代にあてて、ワンランク上のタイヤを購入した方が賢い気もします。

わたしが働いているディーラーでも「タイヤ預かりサービス」があるのですが、コストがかかるので、「ビニール袋」に入れて持ち帰る人が大半です。
持ち帰るのは良いのですが、そのまま「ビニール袋」に入れたままずっと保管されている人が多いみたいです。
そこでこの記事では、スタッドレスタイヤを「自宅で保管したい人向け」に保管方法について現役メカニックが解説します。
そしてスタッドレスタイヤはビニール袋に入れたまま保管することは正しいのか解説します。
スタッドレスタイヤをビニール袋で保管しても良いのか【結論:NG】
スタッドレスタイヤをビニール袋で保管しても良い?
先に結論ですが、タイトルのとおり、ビニール袋に入れて保管するだけでは不十分です。
まずは、自宅で保管することについてメリットとデメリットを整理していきましょう。
- お金がかからない
- 突然の大雪でも対応
- 自分で管理できる
- 履き替えるのが面倒
- 保管場所に困る
- 正しい知識が必要
こんな感じ。
順番に解説します。
お金がかからない
これは当然なのですが、お金かかりません。
前述にも書いたとおり、タイヤ預かりサービスを利用したとすると、普通車のタイヤであれば1年間の保管料金の相場は10,000~15,000円程度が必要になります。
この費用が無くなることは大きなメリットです。
突然の大雪でも対応
タイヤ預かりサービスにタイヤを保管していると、急に大雪が降った場合に手元にタイヤが無いので、いざという時に対応できません。
しかし、自宅にタイヤがあれば車載工具を使って自分で履き替えることができます。
軽自動車であれば女性でも履き替えることは可能です。
自分で管理できる
タイヤ預かりサービスでも中には雑な保管方法をしている業者がいると聞きます。
大事なタイヤやホイールに傷を入れられたり、ゴムの劣化がものすごく進行していたり、、、。
保管する際にどのお客様のタイヤか分かるようにラベルを貼るのですが、高額なタイヤやホイールにそのラベルをベタベタ貼られたら嫌じゃないですか?(神経質すぎ?)
こういった傷などのトラブルを避けられます。
履き替えるのが面倒
自分で交換できるのは、メリットでもありデメリットでもありますよね。
自分でするのが面倒な人は、お店に持ち込まないといけません。
自宅の車庫からタイヤ4本出してきて、車に積んで、またノーマルタイヤを下ろして、、、。
面倒臭いですし、時間がかかりますよね。
保管場所に困る
自宅に車庫がある人であれば置き場所に困りませんが、そうでない人は置き場所に困ります。
かといって外に置いておくのも盗難の心配があるのでできません。
正しい知識が必要
間違った保管方法をしているとタイヤの劣化が進み、本来の性能にまで影響を与えかねないため、正しいタイヤの保管方法を知っておくことが大切です。
保管する上での注意点
これは、ノーマルタイヤでもスタッドレスタイヤでも同じなのでぜひ覚えておいて下さい。
汚れを落とす
タイヤの劣化の原因となる汚れや油を落とします。
特にタイヤワックスを塗られている人はしっかり落としてから保管しましょう。
基本的にブラシで水洗いする程度で落ちますが、汚れがひどい場合は、そこだけ洗剤を付けて洗い流します。
洗い終わったら水分が残らないように乾いたタオルで拭き取り、陰干しで乾燥させてから片付けましょう。
雨の日には注意です。
高温多湿は避ける

理想としては湿度と温度が一定に保たれていて風通しが良く直射日光が当たらない場所です。
屋外より屋内が良いですね。
例えば、屋根付きガレージや物置などです。
ただし、直射日光が当たるような窓際に置くのは控えましょう。
高温多湿の状態になると、合成ゴムで加水分解と呼ばれる現象が起こることで劣化が進みやすくなります。
特に日本では、梅雨や夏の暑い時期のように季節によって高温多湿になりやすいことから、できるだけ乾燥しやすい状態で保管する必要があります。
加水分解とは、物体が水分と反応して起きる分解反応のことです。タイヤの劣化が進み、ひび割れの原因となります。
「寿命を縮めるような要因」から避ける

タイヤの寿命を縮めてしまう要因としてはこちらの通り。
- オゾンを発生する機器(モーターなど)
- ストーブやヒーターなどの熱源
- オイルやワックス
- 雨
- 紫外線
紫外線や雨から守るためにも、タイヤを屋外にそのまま放置するのはNG。
なのでビニール袋に入れただけではダメです。
ビニールは半透明なので紫外線を通します。さらにビニール袋は何度も使っていく内に破れますのでオススメできません。破れた所から雨や水が入ってきて、そのまま放置しているとタイヤの劣化の原因になります。
また、タイヤに油分が付着したら、きれいに拭き取ってから洗い流しましょう。
熱を発する機器やオゾンを発生させる機器は、タイヤの近くには置かないように注意が必要です。
タイヤの置き方に注意

床や地面にタイヤをそのまま置いておくと接地部分に湿気がたまって、ゴムの劣化やカビの発生などの原因になります。
その他にもタイヤに含まれる薬品が染み出てくることによって、屋内では床が汚れてしまう可能性があるため、くれぐれもタイヤを直に置かないよう注意しましょう。
すのこなどを引いておくと良いです。
タイヤの置き方には「平積み」「縦置き」があります。
タイヤにホイールをはめたままの状態で保管する場合は、タイヤを横向きした状態で「平積み」にして保管します。
タイヤを立てて保管すると、ホイールの重さが1ヵ所に集中してしまうのでNGです。
その際、タイヤにかかる負担を軽減するために、空気圧は通常の1/2に減らし、エアバルブにキャップを取り付けます。
横置き用のタイヤラックを使うとさらに負担を小さくできます。
オススメの保管方法をプロが伝授

以上を踏まえてオススメの保管方法を伝授します。
タイヤをきれいに洗って乾かして下さい。汚れがひどい場合は、そこだけ洗剤を付けて洗い流します。劣化したタイヤワックスなどは洗剤+ブラシで軽く落としていきます。
洗い終わったら水分が残らないように乾いたタオルで拭き取り、陰干しで乾燥させます。日光などで乾かすと紫外線で劣化するので、陰干しで自然乾燥させます。
乾いたら綺麗なビニール袋かタイヤ専用のカバーに収納します。タイヤに水分が残っていないかしっかり確認して下さい。
ガレージか物置に市販のタイヤラックで保管します。その上から厳重にカバーをかけてください。(レジャーシートなどでOK)
こんな感じ。
ここまでやっておくだけでタイヤの寿命はかなり変わってきます。
場所がない人はベランダに「すのこを使う」

マンションに住んでる人は?場所が無いんですけど
家にガレージや物置がある人は上記の方法で良いですが、マンションに住まれている人は場所の確保が難しいですよね。
マンションに住まれている人は、ベランダがオススメです。
保管方法は同じですが、ベランダにタイヤラックを設置するのは困難ですので、床に湿気に強い「樹脂製すのこ」を置いてその上に保管しましょう。
ベランダにエアコンの室外機がある人は、極力避けて置きます。湿気の原因になります。
ビニール袋より「タイヤ専用カバー」が理想
スタッドレスタイヤの保管において、直射日光は大敵です。
先ほど「厳重にカバーをかけてください。(レジャーシートなどでOK)」と書きましたが、強風でカバーが飛んでしまう危険性があります。
なので、タイヤ1本を丸ごと包み込める「タイヤ専用カバー」で保管するのが理想です。
さらにファスナーが付いているので完全に日光をシャットアウトできますし、タイヤの自重でカバーを押さえつけていることになるので、強風対策にもなります。
まとめ:「最強の保管方法とは」

以上になります。
最後にまとめです。
- ビニール袋だけだと不十分
→紫外線を通したり、破れやすい - タイヤを保管する前に乾燥させる
→湿気はタイヤを劣化させる - タイヤの「置き方」も注意
→平積みが基本です。タイヤラックが理想。 - タイヤ専用カバーを買う
→強風&紫外線対策になる
なので、「タイヤ専用カバー」×「タイヤラックで平積み」×「ガレージor物置で保管」が最強ということになります。
せっかく買ったスタッドレスタイヤなので長く使いたいですよね。
ビニール袋に入れて何も考えずに保管しておくとタイヤは使ってないうちに劣化していきます。
正しい知識を持って、タイヤの性能を落とさないように注意していきましょう。
スタッドレスタイヤをビニール袋に入れたまま保管しても良いの?