このようなご要望にお答えします。
※現在愛用されている人は不快な記事になるのでお控え下さい
会社創立は1950年の約70年の歴史がある日本を代表する総合工具メーカーであるKTC(京都機械工具)。
自動車メーカーのオフィシャル工具としても有名で、全国の自動車生産現場や自動車整備現場で多く使われています。
私の働いているディーラーでは、新人の時にKTCの工具一式が支給されており、プロの現場では、高い耐久性と使いやすさから圧倒的な人気を誇っています。
そんなKTCのスタンダードラチェット【BR3E】。

KTCのラチェット【BR3E】は、わたしが新人メカニック時代に至急され、お世話になった工具のひとつです。
メカニック歴10年目になった現在において改めて思う、KTCのラチェット【BR3E】について、レビュー&解説していきます。
KTCのラチェット【BR3E】の辛口レビュー|時代遅れのラチェット
KTCのラチェット【BR3E】の辛口レビュー

さっそく結論ですが、正確性とスピードが重視される現場では非常に使いにくいです。
こちらのラチェットは、専門学校時代にも授業で使用しており、そちらで使用する分には問題なかったですが、現場には向いてないですね。
ちなみにスペックはこちらの通り。
メーカー | KTC |
品番 | BR3E |
差し込み角 | 3/8 |
ギヤ歯数 | 36枚 |
振り角 | 10° |
推奨最大トルク | 不明 |
こんな感じ。
【BR3E】はKTCで最もスタンダードなラチェット。
多くのメカニックの声を反映して作られており、より小さく薄くを追求、滑りにくく握り易いグリップ形状を採用するなど、メカニックの手の動きを研究しつくしたフォルムなんだそうです。
「手になじんだツールを末永く愛用してほしい」というKTCの思いが強く込められています。
さらにこのラチェットは2002年にグッドデザイン賞を受賞しています。
では、ここからはメリットとデメリットについて解説していきたいと思います。
【メリット】ユニオン機構は良い

KTCのラチェットにはユニオン機構という機能があります。(なしモデルもあります。)
プッシュボタン操作によりソケットレンチの脱着と不意にソケットが落ちないように確実に保持する機構です。
本来ラチェットの差し込みには、ソケットを保持する為にボールが仕込んであります。
このボールがソケット内側にある溝にハマり、ソケットを保持してくれるのが一般的なラチェット。
このラチェットは、プッシュボタンを押すことでこのボールが引っ込み、ソケットの取り外しが容易になるわけです。
ここまでは、一般的なプッシュキャンセル機構搭載のラチェットなのですが、KTCのユニオン機構の場合だとさらに保持力が違います。
一般的なプッシュキャンセル機構は、プッシュボタンを押すと、ボールがフリーになりソケットを簡単に取り外すことが出来ます。
しかし、プッシュボタンを押さずに無理やりソケットを外そうとするとボールがプッシュピンのテーパー面を押しながら引っ込んでしまう。
ボールがプッシュピンのテーパー面で保持されているため、ソケットの保持力が弱いです。
しかしユニオン機構の場合、ボールをテーパー面でなく平面で保持しているため、プッシュボタンを押さずにソケットを無理やり外そうとしてもボールは押し込まれず、ソケットは外れません。
ソケットを絶対に外したくない場面(高所での作業など)では、重宝できます。
ソケットが不意に外れてしまい、ソケットを無くしてしまったりすると余計に手間が増えますからね。
【メリット】リペアが簡単
リペアキットが用意されており、アフターメンテナンスもバッチリです。
+ドライバー1本で分解・組み立てまでできてしまうので誰でもできちゃいます。
メリットは以上になります。
【酷評】レバーが重い

レバーの重さは他のメーカーに比べると重く感じます。
軽すぎると、ラチェットを振っている時に不意に切り替わってしまうのでストレスになりますから、重めの方が良いという意見もわかります。
レバーに滑り止め用の溝が彫られていますが、手にグリスやオイルが付着している場面では、レバーが滑ってしまってうまく切り替えれない時があったのであまり意味はないかなーと。
あとは、レバーが重くて不便な時は、狭いところで容易に切り替えができなくてイライラすることです。
昨今のクルマは、複雑化しており、極小スペースで整備をする場面は多々あります。
このレバーの重たさでは厳しいかなと思います。
【酷評】ハンドルが滑りやすい

スナップオンのハンドルの場合だと、刻印と溝が彫ってありますので滑りにくいですが、KTCのラチェット【BR3E】は、ツルツルして滑りやすいのが難点です。
手にグリスやオイルが付着している場面でトルクをかけたい時は不安ですね。
親指をかけやすいように窪みがありますが、デザインを意識した美しい曲線が故に滑りやすさを感じます。
【酷評】空転トルク重すぎる

同じく価格帯のコーケンジールのラチェット【3725Z】に比べると、同じ36枚ギヤのラチェットにしては、空転トルクの違いがありすぎます。
ジールのラチェットは、近年開発されたラチェットであり、KTCのラチェット【BR3E】と発売された時代が違うので仕方ありません。
ですが、空転トルクは、ラチェットを早回しすることにおいてはかなり重要な要素です。
もし、今からメカニックとして初めていくのであれば、わたしだったら同じ価格帯のコーケンジールのラチェット【3725Z】の迷わず購入しますね。
KTCのラチェット【BR3E】は、正直言うと、時代に置いていかれたラチェットです。
【酷評】ダサい

本当にKTC様には申し訳ありませんが、ダサいです。
わたしの周りのメカニックたちもみんな言ってます。
2002年にグッドデザイン賞を受賞となっていますが、それも約20年前のお話。
各メーカーから性能もデザインも良くなったスタンダードラチェットが数多くラインナップされています。
このデザインはいつまで使い続けるのでしょうか…。
工具のカッコよさって、仕事へのモチベーションアップにもなるので、リニューアルして欲しいところですね。
【前向き】次のステップアップになる工具ではある

というわけで、私は現在使ってないです。
新人の時に支給されて使用した期間は1ヶ月ぐらいだったかなー。
手元にスナップオンの【F80】があったのもあり、ほとんど使いませんでした。
自動車整備士にとってラチェットは毎日使うモノであり、正直このクオリティでは使いづらさを感じます。
最近のクルマは複雑化してきており、狭いところでの作業が多くなってきております。
そういった場面ではラチェットの細かなクオリティが重要になってきます。
なのでこのスペックでは、現場では使えません。
(耐久性は地味にあるので、パワーが必要な場面で利用する時あり)
とはいえ、初めてラチェットを買うような人には、丁度良いかもしれません。
他にも良い工具がないかな?というキッカケを作ってくれるラチェットにはなってくれますよ。
KTCのラチェット【BR3E】について、現役メカニック視点で見たレビュー記事が見てみたい。