このような疑問にお答えします。
ドライブレコーダーを備え付ける。
あおり運転が社会問題となっている現代の日本の道路において、ドライブレコーダーの重要性はみなさんご存知のはず。
テレビのニュースやワイドショー、はたまたSNSで、あおり運転のドライブレコーダー映像が公開されたことも多い影響で、ドライブレコーダーの装着率はかなり高くなってきています。
2019年に国土交通省が行った調査では、全体の45.9%が装着。
クルマを所有するドライバーの約2人に1人は装着されているわけです。
このデータは少し古いので、2022年現在ではもっと高くなっているはず。
逆をいえばこれだけ報道されているにも関わらず、まだ約半数の人は装着していません。
理由は様々で、考え方を変えればプライバシー侵害の問題もあったりもするわけで。
装着することが必ずしも正義ではありません。
ただ、装着することによるメリットはたくさんあります。
その中でも今回は、当て逃げ等の交通トラブルに遭遇した場合、果たしてドライブレコーダーの証拠能力がどれほどの効果を発揮してくれるのかという点に関して深掘りしていきます。
ドライブレコーダーが装着されていれば、交通事故の事実関係を記録できる、すなわち過失割合を適正に判断することが可能になります。
たとえばその当時の交通状況(信号機の色や相手のクルマがセンターラインを越えていた)が明確にわかれば、過失割合が変わる可能性があります。
ドライブレコーダーの装着が必ずしも「正義」ではありませんが、「真実」が残ります。
【慰謝料UPにも】ドライブレコーダー、当て逃げ等の証拠能力
当サイトでもいろんなドライブレコーダーを紹介してきました。
なぜ、そんなに勧めてきたのかというと、実際にわたしの身の回りのユーザーさんでドライブレコーダーで助かった人たちを目の前で見てきたからですね。
「やっぱり装着してて良かった」。
ただ、装着するメリットは知っていてもまだ踏み切れない人もいるはずです。
そんな人に向けて、ドライブレコーダーが持つ力を少しだけご紹介していきます。
もくじ
ドライブレコーダー、当て逃げ等の証拠能力
「ドライブレコーダーの映像は証拠にならない」。
こんな言葉聞いたことありませんでしょうか。
でもこれって、映像によるんですよね。
たとえば、相手のナンバープレートが映っていない、相手の顔がよくわからない、というケースであったりします。
まぁ当然と言えば当然のお話。
ただ、無いよりはマシ。
ドライブレコーダーの映像が100%証拠になるとは言い切れませんが、たとえばナンバープレートは映っていないが顔はしっかり映っている、あるいはその逆に顔は映っていないがナンバープレートは判読できるというケースなど、その映像を元に検挙に繋げられるような映像であれば証拠としては十分成り立ちます。
結論としては「十分な証拠」となりえますが、それはドライブレコーダーが撮影した「品質」によります。
「信号機の判読」はもっとも重要
日本では年間47万件以上発生している交通事故。
年々減ってきているものの毎日交通事故によって死傷者が出ています。
警視庁が発表した「平成29年交通事故の発生状況」を元に、交通事故の中でもどのような状況が多く発生しているのかを見ていきます。
全ての交通事故の状況で多いものは、車両同士の追突が最も多く(35.5%) 、次いで車両同士の出会い頭衝突(24.5%)、それから車両と人の事故(10.7%)となります。
道路形状別では、交差点で約54%、単路で約41% となっております。
なので、交差点での車両同士の事故割合が多いんですね。
では、交差点での事故でトラブルになった際に、状況確認でまず最初に見るのは「信号機」というのはすぐ想像がつきますよね。
追突時の信号が青だったのか赤だったのか。
これによって当事者の扱いが大きく変わってきます。
特に深夜帯など目撃者が極めて少ない場合には、決定的証拠になることでしょう。
法令違反別で見ても、もっとも多いのが「安全不確認」で割合としては30%。
信号機の状況なんて、たとえ目撃者がいたとしてもいちいち覚えてられないかなぁと思います。
ドライブレコーダーを取り付ける際は、必ず「映像の品質」を優先しましょう。
音声録音機能は「OFFにしないで」
ドライブレコーダーのデメリットとして、「車内の全ての音が、記録されてしまう」という意見があります。
正確な状況を記録するため、音声録音機能を搭載している機種が多くあります。
例えば、車内で発した独り言や友人との会話なども、克明に記録されてしまいます。
要するに「プライバシー的にそれってどうなの?」って話。
とはいえ、近年問題になることも多い「あおり運転」や「他のドライバーとのトラブル」。
もしもこうしたトラブルが起きた時に、記録されるのが「映像のみ」であったとしたら、重要な証拠を取り逃してしまうことにもなりかねません。
事故の前のクラクションや、音から判断できる周囲の状況、ブレーキ音や相手のドライバーとの会話内容など、映像に音声が加わることで、ドライブレコーダーから得られる情報の幅はぐっと広がります。
ドライブレコーダー設置の意味を考えた時に、「映像」と「音声」を同時に記録することは非常に重要なこと。
そのため、多くのドライブレコーダーには音声記録機能が搭載されているわけなんですね。
わたしは歌いながら運転するタイプなので、後で映像を見返すと恥ずかしいですが、運転中は何が起こるか分かりませんからね。
泣き寝入りしたくないので、音声はつねにONにしておきましょう。
たいていのドライブレコーダーは、初期設定でONになっています。
過失割合を争わなくて済む
ドライブレコーダーの映像や音声は、過失割合に直結すると考えて良いです。
交通事故が起こると、相手が自己防衛のためにとっさにウソをつく可能性があります。
そりゃ人間ですから、損をしたくないわけで。
また、相手側の保険会社も保険金の支払いを少なくしたいわけですから、被害者の過失割合を高く査定してくる傾向があります。
しかし、ドライブレコーダーに事故の瞬間の映像が写っていれば確かな証拠となり、過失割合で争うことはほぼなくなります。
映像が事実なわけですからね。
相手の保険会社が、事実と異なる主張をしてくることも防げるでしょう。
実際に役に立つ例としては「非接触の事故」。
たとえば、クルマが飛び出してきたので慌てて避けたためにガードレールにぶつかってしまった、というような場合でも状況が明確にわかります。
交通事故に遭って泣き寝入りしないしないためにも、ドライブレコーダーは必要といえるのです。
これは被害者が死亡してしまった時でも、加害者が「亡くなった人が信号無視をしてきた」と証言してしまったら、亡くなった人は何も証言できませんので、過失100%とされてしまう可能性があります。
そうなると賠償金は0。
もし死んでしまっても、ドライブレコーダーが自分の代弁者となってくれるんです。
話が少し脱線しますが、お金が絡んでくるトラブルには事故以外にも警察の取り締まりについても有効に使えるパターンがあります。
納得のいかない取り締まりですね。
警察官も人間ですから、誤ったジャッジを下してしまうこともありえます。
それがたとえ国家権力だったとしても、当事者としては納得いかないこともありますよね。
そんな時にもドライブレコーダーが装着されていれば、その中に事実が残っているわけです。
ようは「警察がノルマのために取り締まる行為を防ぐ」という意味合いでもドライブレコーダーは役に立つ場面があるということです。
詳しくはこちらの記事で解説しています。
※現場の警察官をディスりたいわけではありません。
慰謝料が平均11万円多くなるケースも
交通事故慰謝料ガイドによると、ドライブレコーダーの有無と慰謝料との関係を調べるため、事故に遭ったことのある男女1000人(過失割合4割以下)に次のような調査をされたそうです。
あなたは交通事故の被害に遭われた際、保険会社に提示された慰謝料はいくらでしたか。
ドライブレコーダーがある場合:平均43万円
ドライブレコーダーがない場合:平均32万円
回答者に示談書を提出してもらった結果ではないため、客観性は保証されません。
ですが、ドライブレコーダーがあった人の方が、慰謝料が高い傾向にあることが分かりました。
通院期間 | ドライブレコーダーあり | ドライブレコーダーなし |
---|---|---|
1ヶ月未満 | 26万円 | 25万円 |
1ヶ月 | 28万円 | 24万円 |
2ヶ月 | 44万円 | 25万円 |
3ヶ月 | 45万円 | 43万円 |
4ヶ月 | 46万円 | 30万円 |
5ヶ月 | 192万円 | 84万円 |
6ヶ月 | 62万円 | 65万円 |
7ヶ月以上 | 344万円 | 127万円 |
全体平均 | 43万円 | 32万円 |
この結果は、「事故状況」をしっかり立証できる証拠があれば、結果として適切な慰謝料が出ることにつながることを示唆しています。
これは正直ビックリでした。
やはりドライブレコーダーの力はすごいですね。
【事例】交通弱者が書類送検になったケース
交通事故で有利な側にある「歩行者」が書類送検になった事例をご紹介します。
※以下Yahoo!ニュースより抜粋
事故は2019年1月16日深夜、静岡市内の交差点で発生。
歩行者の男性と衝突したバイクは転倒し、運転していた47歳の男性が死亡。
歩行者の男性は酒に酔っており、事故に対する詳細な記憶がなかった。
しかし、現場周辺にいた通行人ら複数の目撃者の証言から、バイクの対面信号は青であり、歩行者の男性が赤信号を無視していたばかりか、バイクに気づいたのに回避措置をとっていなかったことが判明しました。
それでも、道路交通法は、横断歩道に近づいたドライバーに対し、横断する歩行者がいないか確認のうえで、現に横断し、あるいは横断しようとしているときは、横断歩道の手前で一時停止しなければならない。
横断歩道は「歩行者優先」なので。
そこで警察は、バイク側にも前方不注視の過失があり、一部とはいえ事故の責任があったとして、死亡した男性を過失運転致傷罪の容疑で書類送検しました。
「被疑者死亡」だから、検察の刑事処分は不起訴になります。
一方、警察は、歩行者の男性のほうが事故の主たる原因だとして、退院後の6月3日にこの男性を重過失致死罪の容疑で書類送検。
なぜ、歩行者がここまでの重い罪を負わされるのか。
これは「信頼の原則」に基づいて検討されるからです。
刑法上の注意義務に関する法理論のひとつで、被害者または第三者が適切な行動を行うことを信頼できる場合、それによって生じた損害について、行為者は一切の責任を取る必要はない、という原則のことである。
道路交通法は、事故防止のため、歩行者にも信号機の信号表示に従う義務を負わせています。しかも、信号無視をした歩行者には、最高で罰金2万円が科されることになっています。
相手が信号を無視することまで予見しながら運転しろとか、交通ルール無視の相手に対する関係でも事故を回避しろというのは、さすがにドライバーに対して酷だからです。円滑な交通の流れを阻害することにもなるわけですからね。
もっとも、一般に歩行者相手の事故には「信頼の原則」は適用されない。
「交通弱者」だし、運転免許証を保有していない限り、詳しい交通ルールを学ぶ機会がないからです。
それでも、赤信号で道路を横断することが許されないことくらいは、小学生でも知っていること。
民事でも、横断歩道上の「自動車vs歩行者」の事故の場合、ドライバーが青信号で直進、歩行者が赤信号で横断という状況であれば、基本過失割合は「ドライバー3割:歩行者7割」と歩行者に不利なものとなっています。
この事故では、目撃者がいたことで事故状況も明らかになっていますが、それが期待できない時間帯や場所もあります。
歩行者を死亡、負傷させる事故を起こせば、刑事・民事ともにドライバーに不利に進むのが一般的。
もしこの事故に目撃者がいなければどうですかね?
あとはドライブレコーダーしかありませんよね。
このことから、事故の状況によっては歩行者が刑事責任を問われる事態はありえます。
たとえ歩行者自身が事故で負傷していたとしても、保険会社から得られる損害賠償額などは過失割合を考慮して格段に少なくなるし、逆に相手方から損害賠償などを求められることも考えられます。
まとめ
最後に、ドライブレコーダーの証拠能力、すなわち重要性についてまとめておきます。
- 証拠能力としてもっとも大事なのが信号機の判読→映像の品質が十分であるのか
- 証拠能力を上げる→ドライブレコーダーの音声は「OFF」にしない
- 証拠能力が高い→過失割合を争わなくて済む
- 証拠能力が高ければ慰謝料を増やせる可能性がある
こんな感じですかね。
ドライブレコーダーの重要性が少しで理解できたでしょうか。
ドライブレコーダー選びについては、過去に記事にしていますので、ぜひこちらから覗いてみてくださいね。
(アイサイト付き車はこちら)。
当て逃げ等の交通トラブルに遭った場合、ドライブレコーダーにはどれぐらいの証拠能力があるのだろう…。