【流れる】ドアミラーウィンカーは本当に車検対応できるのか!?

ドアミラーウィンカーを流れる(シーケンシャル)タイプに改造しても車検には対応できるのでしょうか?

このような疑問にお答えします。

ドアミラーウィンカーを流れるタイプにする。

俗にいう「シーケンシャル化」。

さりげなく、ウィンカーが内側から流れていく光はとてもスマートですよね。

街中で見かけると、その美しさに「お!」とカスタム欲を掻き立てられるような経験はありませんでしょうか?

どことなく高級感も感じられますし、曲がる方向がわかりやすい等の意見もあったりもします。

そもそも流れるウィンカーは、欧州車での採用をきっかけに、とくに上級モデルに採用例が増えていきました。

日本でも2014年に保安基準を改正して、流れるウインカーを国が認可しています。

保安基準的には『連鎖点灯を行う方向指示器』と記され、保安基準のポイントとなるのは順番に点灯していくというようなもの。

流れるウィンカーがここに来て見直されるきっかけとなったのはLEDランプの普及があるでしょう。

現在普及してきたLEDランプはいくつかのLED光源をひとつにまとめて、1つのユニットとしていることから「この1つ1つの発光をコントロールしてみよう」というのは誰でも思いつきそうですよね。

ただ、これってクルマに搭載される方向指示器の全てに適用されているのでしょうか。

クルマのウィンカーには前方または後方に備えるものと、フェンダーなどに装着する補助的なウィンカーなどがあるわけで、保安基準の中でも別の規定がされています。

そこでこの記事では、ドアミラーウィンカーを流れるウィンカー(方向指示器)にした場合において、本当に車検対応できるのかを筆者の経験と某整備振興会に問い合わせた情報をもとに解説していきます。

本記事のテーマ

【流れる】ドアミラーウィンカーは本当に車検対応できるのか!?

しー

昔からウィンカーといえば点滅するだけの装置だったわけですが、10年ほど前から突如として流れるウィンカーが流行りだしましたよね。

保安基準にも明確に規程があるぐらいですからね。

前後に備えるウィンカーのシーケンシャル化は定番?ではありますが、ドアミラーウィンカーは保安基準上どう解釈されるのでしょうか。

※当記事での解釈は一個人の検査員の判断です。
※お住まいの地域によって解釈に相違がある可能性があります。

【流れる】ドアミラーウィンカーは本当に車検対応できるのか!?

タイトルに対する結論は、「適合・不適合ともいえない」。

かなり厳しい判断となります。

「黒よりのグレーゾーン」といった感じですかね。

その理由について解説します。

そもそもドアミラーウィンカーって何?

【流れる】ドアミラーウィンカーは本当に車検対応できるのか!?そもそもドアミラーウィンカーって何?

この「ドアミラーウインカー」が世界で初めて採用されたのは、1998(平成10)年に登場したメルセデス・ベンツの4代目Sクラスです。

当初は高級車を中心に見られましたが、しだいに軽自動車やコンパクトカーなど、幅広いクラスのクルマへ普及しました。

今までフェンダー部分に装着されていたウィンカー、俗にいう「側方方向指示器(サイドターンランプ」は装着することでどのようなメリットがあるのでしょうか。

基本的には「斜め後方のバイクや自転車などからの自車の右左折を認知しやすくする」というのがあります。

死界になりやすい他車にもしっかり曲がるという意志を伝えるウィンカー。

それをフェンダーから、車両のもっとも外側にあるドアミラーウィンカーに装着することで視認性をさらに上げることができます。

さらに開発・設計するメーカー側のメリットとしても、コストが抑えられる側面もあります。

フェンダー付けサイドターンランプの場合、このためだけに別に車両ハーネスが必要になりますが、ドアミラーにはもともと、電動格納や電動ミラー位置調整、ヒーターといった電気的な機能を担うためのハーネスが配策されており、ここにウィンカーランプの配線をを追加するだけで対応できます。

なので、ドアミラーウィンカーの存在価値としては、「交通のための視認性」と「クルマのコストを抑える」といった2つの顔があるわけなんです。

とはいえ、ウィンカーがドアミラーにあることは、デザインや商品性の向上というのもあると思います。

フェンダーにウィンカーがなくなるとスッキリ見えますし、フェンダーのデザインに少し凝っているスバル車の場合は、ほとんどの車種でドアミラーウインカーを採用していますからね。

しー

ドアミラーウィンカーは、機能性、視認性、デザイン性、コストを考慮して車種ごとにメーカーが決めています。

一時期はドアミラーウインカーが多かったのですが、最近はボディにサイドターンランプがついた車種も増えてきています。

ただユーザー目線で言えば、クルマのもっとも外側に位置する部品なので、すれ違いざまにぶつけたりと、破損させやすいウィンカーでもあります。

流れるウィンカーの「法律的な解釈」

【流れる】ドアミラーウィンカーは本当に車検対応できるのか!?流れるウィンカーの「法律的な解釈」

ウィンカーを流れるようにしたい場合に、保安基準上どうなるのか。

流れるウィンカー(シーケンシャル)に関する保安基準は以下のようにあります。

連鎖式点灯する方向指示器
  1. LEDの点灯は内側から外側に向かって点灯すること。
    →つまり水平方向のみOKであり、垂直方向はNG
  2. LEDは点灯後、全てのLEDが点灯するまで点灯し続けること。
    →電球が1,2,3,4,5とあった場合に、1が点灯したら2,3,4,5と全てが点灯するまで1つも消灯してはならず、全て点灯した段階で、今度は同時に消灯するのでなければならない
  3. 点滅周期は毎分60回以上120回以下の一定の周期で点滅すること。またこの点滅周期は車の前・後・ミラー部などの全てのウインカーがシンクロしなければならない
  4. LEDの流れ方は左右対称であること

他にも細かく規程されていますが、主となる部分はこんな感じ。

つまり簡単に言うと、実際は「流れる」というより「順々に点灯してから消える」パターンのみがOKということです。

新車時に装着されている流れるウインカーであれば、その状態で型式指定されている(申請のあった車両型式について必要な手続きを経てから国土交通大臣が指定する認証制度を合格している)ので、問題もなく車検における保安基準をクリアできます。

問題なのは後付けの場合です。

「Eマーク」などの車検対応品であることはもちろん大事ですが、それ以外にも、ドアミラーウインカーとの点滅周期を同期させる装置、または調整などが必要になります。

「Eマーク」は、単なる保安基準を判断する上での「判断材料」にしかならないので注意しましょう。

しー

保安基準は細かく規程されていますので、ドレスアップ目的でカスタムされる人は注意しましょう。

口頭で検査員に説明するだけでなく、「この商品は国際基準も装備要件も全てクリアしている」という証明ができるようにしておくことが大事です。

マフラーのように基準を合格しているという証明書なんかあると良いかもしれませんね。もしくは取扱説明書など。

検査員も「みなし公務員」と言われる立場ですから、安易な判断はしません。

「Eマーク」について知らない人は、過去にこちらの記事で解説しています。

鏡面部が光るウィンカー

ドアミラーの鏡面部が光るタイプの場合だとどうでしょうか。

ミラー部にLEDの光源があるタイプですね。

多くの製品は、これを補助方向指示器として謳っているものがあります。

補助方向指示器との解釈でいくと以下の注意点があります。

補助方向指示器 第41条の2

自動車の両側面には、補助方向指示器を1個ずつ備えることができる

なので、標準でドアミラーウィンカーがもともと装着されており、それが補助方向指示器として装着されている場合はNGということです。

補助方向指示器が両側面に2個になるわけですからね。

すでに他の補助方向指示器としてウィンカーが取付けられている場合は、同時に点灯することは出来ません。

他の補助方向指示器を点灯しないようにするか、鏡面部のLEDを点灯させない等の対策をしてから取付けるようにしないといけません。(サイドターンランプは補助方向指示器ではありません。)

しー

メーカー標準のドアミラーウィンカーはどうなのか。

これは一般的に側面方向指示器の基準を満たすように作られていることが多いです。

基準を満たせず補助方向指示器となるディーラーオプションのようなものもありますので一概には言えません。

取り付ける際は、どのウィンカーはどの方向指示器の規定に触れるのかをしっかり調べてから装着するようにしましょう。

【本題】流れるドアミラーウィンカーの解釈

まず、側方に備える方向指示器については流れるタイプ(シーケンシャル)は不適合となります。

認められている「連鎖点灯できる方向指示器」は、前面または後面に備える方向指示器と補助方向指示器のみとなりますので注意して下さい。

では、流れるドアミラーウィンカー対する問題点についてまとめます。

問題点はこちら。

  1. 外側の端にあるLED
  2. 流れるドアミラーウィンカーの点灯箇所

まず、「外側にあるLED」についてです。

【流れる】ドアミラーウィンカーは本当に車検対応できるのか!?【本題】流れるドアミラーウィンカーの解釈

まず、もともと純正に備えられているドアミラーウィンカーは「両側面に備える方向指示器」となります(スバル車の場合)。

なので、両側面に備える方向指示器の見通し要件を満たしていると思いますが、社外品レンズの外側終端部のLEDがその両側面に備える方向指示器の見通し要件や側面に備える方向指示器の面積基準その他側面に備える方向指示器の要件をクリアしていれば、両側面に備える方向指示器として取り扱うことができます。

しー

つまり、純正の両側面のウィンカーに置き換えることができる社外品レンズ灯火となります。

次に、流れるドアミラーウィンカーの点灯する部分です。

先ほどお伝えした通り、連鎖点灯式を備えることができる方向指示器としては前面、後面、補助方向指示器となりますよね。

また、補助方向指示器に関しては見通し要件はありません。

ミラーの表面から進行方向に向けた灯火となり、後方から確認できないかもしれませんが、こちらは問題ありません。

しー

ということは「全然OKなんじゃね?」となりそうですよね。

ただこれは解釈によったら全然アウトになる可能性は大いにありえるんです。

状況が非常に複雑なので、ここからは方向指示器について整理します。

第41条 方向指示器

自動車には、方向指示器を車両中心線上の前方および後方30mの距離から照明部が見通すことのできる位置に少なくとも左右1個ずつ備えること

自動車の前部と後部において照明部が隠れることなく見える方向指示器が、少なくとも左右に1個ずつ必要です。

この時、前方側のみ、後方側のみ、それぞれの方向からしか見えない方向指示器であれば、1個ずつ備えられても問題はないことになります。

注意点としては、個数の制限はありませんが、備えられた方向指示器として照明部の見通し範囲の要件を満たしておかなければなりません。

次の見通し要件を満たしていないウィンカーは取り付け不可となります。

自動車の前面または後面に備える方向指示器の照明部は、自動車の前方または後方の次に掲げる範囲において、全ての位置から見通すことができるものであること。

  1. 方向指示器の中心を含む水平面から上方15°と下方15°
  2. 方向指示器の中心を含む鉛直面から内側方向45°と外側方向80°

照明部に正体して内側45〜外側80°まで見通せなければなりません。

この規定を満たしていれば、「その方向指示器は前面または後面にのみ備えている方向指示器となる」ということができます。

自動車の両側面に備える方向指示器の照明部は、自動車の側方の次に掲げる範囲において、全ての位置から見通すことができるものであること。

  1. 方向指示器の中心を含む水平面から上方15°と下方15°
  2. 方向指示器の中心を含む、自動車の進行方向に平行な鉛直面から後方の外側5°と外側方向60°

以上の規定をイラストで見ることこんな感じ。

【流れる】ドアミラーウィンカーは本当に車検対応できるのか!?第41条 方向指示器

ここでは、両側面に備える方向指示器の個数についての記載がありません。

次に、補助方向指示器の規定を確認していきます。

第41条の2 補助方向指示器

自動車の両側面には、補助方向指示器を1個ずつ備えることができる。

ここで両側面には補助方向指示器を1個ずつ備えることができると記載がありますので、「第41条 方向指示器」の規定内には記載がありません。

ですが、補助でないもともとの両側面に備える方向指示器は1個とは記載せず、「見通し範囲を満たした側面の方向指示器が必要ですよ」ということを述べていることになります。

しー

某整備振興会に聞いたところ、補助という文言は追加するためのものであることから、両側面には1個だろう。という共通認識があるそうです。

ではここで、乗用自動車には必ず前面、後面に少なくとも1個、または両側面としての方向指示器が必要なのでしょうか?

実は、両側面の見通し範囲については、前面に備える方向指示器で両側面の見通し範囲を満たすことができれば、両側面の方向指示器を必ずしも備える必要はありません。

ただ重要なのは、クルマのヘッドライトの形状によっては前面と側面を兼用している方向指示器を備えた車両があるので、そこは注意しましょう。

では、前面と側方を兼用している方向指示器を備えたクルマの見通し範囲はどのようになるのでしょうか。

  • 方向指示器を含む鉛直面から内側方向45°と外側方向80°
  • 方向指示器の中心を含む、自動車の進行方向に平行な鉛直面から後方の外側方向5°、外側方向60°

この前面と両側面の2つの規定を抜き取り、前面の規定を基準として考え合わせてみると次のように考えることができます。

方向指示器の中心を含む鉛直面から内側方向45°から方向指示器を含む、自動車の進行方向に平行な鉛直面から後方の外側方向5°まで

以上の規定の見通し範囲をイラストにするとこんな感じになります。

【流れる】ドアミラーウィンカーは本当に車検対応できるのか!?第41条の2 補助方向指示器

以上のことにより、乗用自動車において両側面に方向指示器がないクルマは前面に備える方向指示器がこのような見通し範囲となっていることがお分かりいただけたでしょうか。

なのでまとめると次の通り。

ヘッドライトの形状によっては両側面に備える方向指示器が備わっているもの、備わっていないものがある。備わっていないものについては、前面の方向指示器の見通し範囲が側面の見通し範囲の規定を満たしている。

このような認識を持っておく必要があります。

では、ドアミラー部に設けてある方向指示器(ドアミラーウィンカー)はクルマのどの部分に備えられた方向指示器と言えるのでしょうか。

これは、従来からあるフェンダー部に設けられた両側面に備える方向指示器の代わりとして置き換えられクルマに備えられています。

すなわち、ドアミラーウィンカーの湾曲したレンズ部の外側端の部分(外側の端にある単体のLED)が両側面に備える方向指示器の見通し範囲を満たしているため、両側面の方向指示器として取り扱うことができます。

まとめ

では結論です。

流れるドアミラーウィンカー(シーケンシャル)を装着したクルマを考えます。

連鎖式点灯の規定文言に「自動車の前部または後部に備える方向指示器に限る。または、補助方向指示器の場合に…」という文言があることから、両側面に備える方向指示器には連鎖式点灯の方向指示器は装着できません。

では、連鎖式点灯するドアミラーウィンカー部分を補助方向指示器として捉えるとどうなるのでしょうか。

補助方向指示器は、自動車の両側面に1個ずつ備えることができる。だったはずでしたよね。

補助方向指示器には見通し範囲の規定はありません。

補助方向指示器と捉えても差し支えありませんが、もともとのクルマにある「両側面に備える方向指示器」の見通し範囲をクリアできなくなる恐れがあります。

「補助方向指示器」と「両側面に備える方向指示器」は別灯火です。

両側面として備えられた方向指示器で側面の見通し範囲の規定をクリアする必要があります。

よってヘッドライトの形状によっては側面の見通し範囲をクリアできない恐れがありますので、装着はできないと考えた方が良いです。

ただし、社外品のレンズによってはさまざまな製品がありますので一概には言えません。

しー

解釈が非常に難しいですが、かなり黒よりのグレーです。

こういったパーツを装着してのディーラーでの入庫では、ほぼほぼ断られます。

法律スレスレのパーツを受け入れてしまうと、指定整備工場からしたらリスクしかありませんからね。

自己責任でお願い致します。

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