- 「ジャンプスターターについて知りたい」
- 「ジャンプスターターの選び方について知りたい」
- 「ジャンプスターターのプロ用のモノが知りたい」
このようなお悩みにお答えします。
この記事を書いている筆者は、仕事でお客様の車をもちろんのこと、展示車、中古車、家族、友人の車までジャンプスターターやブースターケーブルを使って救援してきました。
大手メディアにはない、自動車整備士が本気で選んだランキングです。
自分の経験上、「これは使える!」と思えるものだけを厳選しました。
ジャンプスターター選びの参考になれば幸いです。
「ブースターケーブルのおすすめが知りたい!」という人は、以下をご覧ください。
もくじ
1:ジャンプスターターとは
ジャンプスターターとは、バッテリー上がりなどの急なトラブル時に急用携帯型のバッテリーです。
ブースターケーブルのように他のクルマのバッテリーと繋げて救援するのではなく、ケーブルとは別に専用のバッテリーを搭載しているものです。
使用方法は簡単で、ジャンプスターターの赤ケーブルのクリップをバッテリーの赤色端子に、黒ケーブルをのクリップを黒色端子に繋いでエンジンをかけるだけ。
ブースターケーブルと違って扱いやすさ、携帯性が高く、そして最近ではモバイルバッテリーとしても使えるので1つ常備はしておきたい優れもの。
2:ジャンプスターターの選び方
まずジャンプスターターは、何を比較して選べば良いのかという点から解説します。
「よし万が一に備えてジャンプスターターを買っておこう!」といざ購入しようと思っても「スペックの見方がよくわからん…」となりませんか?
- ◯◯◯◯ccの車まで対応
- ◯◯◯mAh(ミリアンペアアワー)の容量
- スタート電流
- ピーク電流
とまぁ頭が痛くなるようなことが記載されています。
「結局、どれを買えばいいの?」となると思いますので、もう少しわかりやすく書いていきます。
選び方1:単純にバッテリー容量で選ぶ
簡単にいえば、バッテリーの大きさであり、この数値で「ジャンプスタートできる回数」と「充電の保ち」がある程度判断ができます。
目安としては、市販のジャンプスターターで多いバッテリー容量8,000mAh程度は、満充電で2回程度ジャンプスタートができます。
ちなみにジャンプスターターのバッテリーは、スマホと同じで充電もせずにクルマのトランクに長期間置いていると、使用していなくてもバッテリー容量が少なくなります。
小さい容量のジャンプスターターは、数ヶ月で充電切れになると事もありますから充電はこまめに行いましょう。
モバイルバッテリーをよく使う人は、充電ポート付きのジャンプスターターを購入し、モバイルバッテリーの代わりに普段から使っておくのも1つの手です。
過放電の防止にもなります。
選び方2:スタート電流←【重要】
ジャンプスターターを選ぶ際に重要なのは「電流値」です。
クルマのバッテリーには、必ず「CCAが〇〇A」と表記されています。
CCAとは、バッテリーがもっとも過酷となる低温状態でスターターを回してエンジンを始動できるかの指標であり、このCCAを超える電流値のジャンプスターターを使用しなければ、ジャンプスタートできないという事になります。
たとえば、スバル WRXに新車から搭載されているバッテリーのCCAは「390A」であり、ジャンプスタートに必要な電流は400A程度であれば問題なくかかります。
ただ、ジャンプスターターを接続しても1回キーを回しただけでエンジンがかかるわけではありません。
複数回キーを回すことでエンジンがかかることもあります。
これはエンジンの状態、バッテリー配線の状態、外気温によってさまざま。
なので、複数回連続でかけれるスペックのものを選んだ方が安全です。
その際に注目する項目は「スタート電流」です。
スタート電流は、エンジンを複数回連続でかけることができるかどうかの値になります。
スバル WRXに新車から搭載されているバッテリー「390A」相当の始動能力を確保するのであれば、スタート電流を400A以上のものを選ぶとより安心・安全にエンジンを始動することが可能となります。
選び方3:ピーク電流←【重要】
ピーク電流とは、ジャンプスターターの持っている最大能力値。
「これ以上は電流流せません」といった感じ。
先程の例に挙げたスバル WRXのバッテリーの場合、「390Aがピーク電流のジャンプスターター」だと1回でかけれなければ再度充電が必要になるということです。
購入する前には、「ピーク電流」と「スタート電流」の値を意識しましょう。
目安としては以下の通り。
- 1000cc → 約200Aが必要。(軽自動車〜ヴィッツなど)
- 3000cc → 約400Aが必要。(アウトバックなど)
- 6000cc → 約700Aが必要。(トラックなど)
あくまで目安です。
車によってCCAの値は異なります。
搭載してあるバッテリーに記述してあるCCAを一度確認してみてくださいね。
余談:国産メーカー=信頼できるとは限らない
ジャンプスターターに限りませんが、国内販売の電装品の大半が中国で生産されてきています。
他にも台湾、ベトナム、メキシコなんてのもあります。
また設計、製造すべてが中国メーカーで、国内電機メーカーのブランドで販売されているものも沢山あります。
ただメーカーのマークで信頼度が上がるのは確かですが、精神的なものです。
「信頼」と一括りで語っても、「どの部分の信頼?」って話になるかもしれませんが、国産メーカー=安心というのは過大解釈なんじゃないかと思います。
メーカーで選ぶのも確かに1つの選び方ですが、そこよりもアフターサポート(保証期間など)の手厚さで選んだ方が、わたしは信頼できます。
ジャンプスターターおすすめランキング
ランキングの前に、以下は今回わたしが厳選したジャンプスターターの比較表になります。
メーカー名 | アンカー | 日立 | カイセ | スナップオン | 酒井重工業 |
---|---|---|---|---|---|
商品名 | Amker Roav | PS-16000 | KG-106 | EEJP201MBK-J | PB-1200GX |
容量 | 12800mAh | 16000mAh | 16000mAh | 28800mAh | 50000mAh |
最大電流(ピーク) | 1000A | 600A | 300A | 275A | 570A |
LEDライト | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | × |
モバイルバッテリー機能 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | × |
重量 | 575g | 930g | 810g | 1020g | 2500g |
価格(税込) | 8990円 | 25700円 | 38280円 | 37420円 | 32780円 |
それではここからは各ジャンプスターターを1つずつランキング形式で解説していきます。
5位:【アンカー】Anker Roav
「Anker Roav」の特徴は、サイズが170 x 88 x 39mmと非常にコンパクトで携帯性が非常に高い点です。
その反面、バッテリー容量が12800mAhと少し低めなのが少しデメリットですが、スタート電流が500mAと十分あり、軽自動車から大排気量車まで対応できるオールラウンダーなジャンプスターターとなっています。
モバイルバッテリー機能ですが、2つのUSB-Aポート (Power IQ対応) とUSB-Cポートを搭載しており、緊急時でもスマートフォン、タブレット端末等をフルスピード充電することが可能です。
モバイルバッテリー機能はさすがのAnkerなので、申し分ありませんね。
4位:【日立製】PS-16000
「コンパクトさと機能性」が特徴の「PS-16000」。
ジャンプスターターを出力するときに発生する瞬間的に高い電圧(サージ電圧)は、最悪車両の電装部品やジャンプスターターの回路を破壊する場合があります。
PS-16000にはコントロールボックス内にサージ電圧(電流)を抑える機能を搭載し、クルマおよび本体を保護します(サージプロテクト機能)。
さらにホコリと水滴に強く、IEC(国際電気基準会議)およびJIS規格に基づいた保護等級IP63※(防塵等級:6、防水等級:3)に適応していますので、さまざまなシーンで使用することが可能になっています。
リチウムイオン電池は使い方を誤ると大変危険ですが、この製品は安全性に優れたリン酸鉄リチウムイオン電池を採用しているのも大きなポイントです。
さらにさらにOBD接続でバックアップ電源も確保できます。
バッテリー交換などに配線を単純に外してしまうと、電装品に常時供給されていた電源が遮断されてしまうため、メモリーが消去されてしまいます。
時計やカーナビの設定が消えるだけではなく、アイドリングが不安定になったり、燃費の悪化、パワーウインドウやアイドリングストップ機能などに不具合が発生することもあったりします。
この機能はどちらかというとプロユースの人向けになりますが、いざという時に使えたりします。
とはいえ、ここまでの機能を備えているにも関わらず容量が16000mAhというのが少し物足りなさを感じます。
3位:【カイセ】KG-106
「始動性・安全性・汎用性」に優れたジャンプスターター「KG-106」。
カイセは、プロ用のデジタル計測器などを製造・販売している会社で、一般の方からプロユースまで扱いやすい製品が多いのが特徴です。
ジャンプスターターの性能、モバイルバッテリー、OBD接続でのバックアップ電源も搭載されており機能性は十分。
ポイントしては、キャンプや災害時にも使いやすい形状であるところです。
見た目からしても誰もがパッとみて持ちやすく、LEDライトの位置も分かりやすく、いざという緊急時に誰でも使用がしやすいように設計されています。
ただ、PS-16000と同じく、ここまでの機能を確保しながらもバッテリー容量に少し物足りなさも感じます。
ただ、PS-16000と同じく、ここまでの機能を確保しながらもバッテリー容量に少し物足りなさも感じます…。値段もかなり跳ね上がりますし….
ただカイセ品質なので信頼性を買うと思えば、決しておかしい価格設定ではないです。
2位:【スナップオン】EEJP201MBK-J
超プロユース向けの我らがスナップオン「EEJP201MBK-J」。
スナップオン製品なので、一般の人が手に入れようと思うと難易度が上がってきますが、自動車整備士目線でジャンプスターターのランキングを書こうと思うとどうしてもこちらの商品は外せませんでした。
こちらの性能は誰もが認めるスナップオン品質。モバイルバッテリー機能やOBD接続機能ももちろん搭載されています(OBDはオプション)。シガーソケットからバックアップも取れます。
EEJP201MBK-Jの最大のポイントは、幅193×奥行85×高さ75mmというコンパクトさに対してバッテリー容量が28800mAhという携帯性と性能のバランスがいい意味でズレているところです。
ここまでの容量になるとバッテリーサイズの関係で、本体が大きくなりがちですが、非常にコンパクトなので工具箱にもしっかり収納することが可能になります。
ネックなのはお値段ぐらいですかね(37420円)。
1位:【酒井重工業】PB-1200GX
JAFでも採用されている酒井重工業のプロ仕様ジャンプスターター「PB-1200GX」です。モバイルバッテリー製品とは異なり発火等の心配もなく確実な始動を発揮してくれます。
バッテリー容量は、50000mAhでピーク電流が570Aと最強スペックになっています。
ちなみにこれだけの容量が確保されているので満充電から1年の無充電期間があってもジャンプスタートが可能だそうです(半年に1回程度の充電は推奨)。
ゴリゴリのプロユース向けなので一般な人にはオーバースペックなのですが、「一番良いジャンプスターターが欲しい」という人に向けて1位にしました。
ちなみにモバイルバッテリーやLEDライトなどの装備はありませんのでご注意を。
最後に:個人的おすすめは「PS-16000」
ジャンプスターターの選び方やおすすめ商品などを紹介してきました。
「車のエンジンがかからない!」という状況は、実際に直面したときには非常に困ってしまうもの。
毎日の通勤時や緊急の用事の時にクルマのバッテリーがあがってしまったときなどに、慌てないためにも、ぜひジャンプスターターを1つ用意しておくと精神的にも安心ですよ。
この記事の1〜3位はどちらかというと「プロ用」といった要素が強めなので、クルマ好きでご自身で整備を楽しまれている人向けです。
一般ユーザーで、なおかつ「たまに使えて普段はモバイルバッテリーとして使いたい」という人は日立の「PS-16000」が性能と品質、コストのバランスがうまく取れている商品だと考えます。
しかもOBD接続も可能ですからね。
なので、もしジャンプスターターの購入に悩まれている人がいたら迷わず「PS-16000」がいいのではないでしょうか。
あくまで個人的な感想なので参考までに。
今回は以上になります。
予算がキツい人はブースターケーブルもあり
そもそもブースターケーブルとは何でしょうか。
世にある多くのクルマは、スターターモーター(セル)によってエンジンを始動させます。
スターターモーターはバッテリーに蓄えられた電力によって動作する装置ですが、バッテリー上がり(電気容量の低下)など何らかの原因によりバッテリーの能力が低下していると、エンジンを始動させることができません。
こうした場合にエンジンを始動させるためにとられる方法のひとつとして、他の自動車から電力を分けてもらう方法(ジャンプスタート)があり、それに用いられるのがブースターケーブルです。
ブースターケーブルは、両側にワニグチのクリップが付いた2本1組セットの太いケーブルです。
配線の誤りを防止するため、+極用に赤色、-極用に黒色に塗り分けられています。
家電などの配線と比べてケーブルが太い理由は、エンジン始動時に大きな電流が流れるためにケーブルがそれに耐えるよう断面積が太く作られていることが理由になります。
エンジン始動時に流れる電流は、クルマによってさまざまなので、ブースターケーブルには流すことができる電流の許容最大値が記載されています。
ジャンプスタートは、バッテリーが上がってしまった車と同じ電圧の救援車が1台とブースターケーブルさえあればOKです。
ジャンプスターターと比べて、ケーブルのみなので比較的安く購入が可能です。
ブースターケーブルのおすすめについては以下の記事で解説しています。