このようなご要望にお答えします。
※現在愛用されている人は不快な記事になるのでお控え下さい。
KTCのラチェット「BR3E」は、日本を代表する総合工具メーカーであるKTC(京都機械工具)のオフィシャル工具としても有名で、全国の自動車生産現場や自動車整備現場で多く使われています。
私の働いている整備工場では、新人の時にKTCの工具一式が支給されており、プロの現場では、高い耐久性と使いやすさから圧倒的な人気を誇っています。
KTCのラチェット「BR3E」は、わたしが新人メカニック時代に支給され、お世話になった工具のひとつ。
新人時代から10年経って改めて思う、KTCのラチェット「BR3E」について、レビューしました。
もくじ
KTCのラチェット【BR3E】のレビュー
さっそく結論ですが、正確性とスピードが重視される今の現場では非常に使いにくいです。
こちらのラチェットは、専門学校時代にも授業で使用しており、そちらで使用する分には問題なかったですが、効率化を重視する今の現場には向いてないですね。
ちなみにスペックはこちらの通り。
メーカー | KTC |
品番 | BR3E |
差し込み角 | 3/8 |
ギヤ歯数 | 36枚 |
振り角 | 10° |
推奨最大トルク | 不明 |
多くのメカニックの声を反映して作られており、より小さく薄くを追求、滑りにくく握り易いグリップ形状を採用するなど、メカニックの手の動きを研究しつくしたフォルムなんだそうです。
「手になじんだツールを末永く愛用してほしい」というKTCの思いが強く込められています。
さらにこのラチェットは2002年にグッドデザイン賞を受賞しています。
KTCのラチェット「BR3E」のメリットは2つ
KTCのラチェット「BR3E」を選ぶメリットとしては2つあります。
メリット1:ソケットの着脱が容易(ユニオン機構)
KTCのラチェットにはユニオン機構という機能があります。(なしモデルもあります。)
プッシュボタン操作によりソケットレンチの脱着と不意にソケットが落ちないように確実に保持する機構です。
本来ラチェットの差し込みには、ソケットを保持する為にボールが仕込んであります。
このボールがソケット内側にある溝にハマり、ソケットを保持してくれるのが一般的なラチェット。
一方でソケットの着脱をワンタッチでできるプッシュキャンセル機構という技術があります。
ラチェットヘッドの中央にあるプッシュボタンを押すと、ボールがフリーになりソケットを容易に取り外すことが可能になります。
ここまでは、一般的なプッシュキャンセル機構搭載のラチェットなのですが、KTCのユニオン機構の場合だとさらに保持力が違います。
一般的なプッシュキャンセル機構は、ボールがプッシュピンのテーパー面で保持されているため、ソケットの保持力が弱いです。
しかしユニオン機構の場合は、ボールをテーパー面でなく平面で保持しているため、プッシュボタンを押さずにソケットを無理やり外そうとしてもボールは押し込まれず、ソケットは外れません。
ソケットを絶対に外したくない場面(高所での作業など)では、重宝できます。
ソケットが不意に外れてしまい、ソケットを無くしてしまったりすると余計に手間が増えますからね。
メリット2:リペアパーツの設定がある
リペアキットが用意されており、アフターメンテナンスに役立ちます。
+ドライバー1本で分解・組み立てまでできてしまうので誰でもできちゃいます。
交換方法は公式ページにて公開されています。
KTCのラチェット「BR3E」のデメリットは3つ
KTCのラチェット「BR3E」のデメリットは3つあると考えます。
デメリット1:レバーが重い
切り替えは、他のメーカーに比べると重く感じます。
軽すぎると、ラチェットを振っている時に不意に切り替わってしまうのでストレスになりますから、重めの方が良いという意見もわかります。
レバーに滑り止め用の溝が彫られていますが、手にグリスやオイルが付着している場面では、レバーが滑ってしまってうまく切り替えれない時があったので、あまり意味はないかなーと。
あとは、レバーが重くて不便な時は、狭いところで容易に切り替えができなくてイライラすることです。
昨今のクルマは、複雑化しており、極小スペースで整備をする場面は多々あります。
このレバーの重たさでは厳しいかなと思います。
デメリット2:ハンドルが滑りやすい
スナップオンのハンドルの場合だと、刻印と溝が彫ってありますので滑りにくいですが、KTCのラチェット「BR3E」は、ツルツルして滑りやすいのが難点です。
手にグリスやオイルが付着している場面でトルクをかけたい時は不安ですね。
親指をかけやすいように窪みがありますが、デザインを意識した美しい曲線が故に滑りやすさを感じます。
デメリット3:空転トルク重すぎる
ほぼ同じく価格帯のコーケンジールのラチェット「3725Z」に比べると、同じ36枚ギヤのラチェットにしては、空転トルクの違いがありすぎます。
発売された時代が違うので仕方ありませんが、そろそろアップデートしても良いんじゃないかと。
空転トルクは、ラチェットを早回しすることにおいてはかなり重要な要素です。
KTCには「ネプロス」という存在があるので「まぁそういうことか…」とは思いますが…。
個人的には「正直使いずらいです」
現在のプロ向けにしては「んー」といった印象。
36枚ギヤ、空転トルクの重み、デザイン…、微妙です。
自動車整備士にとってラチェットは毎日使うモノであり、正直このクオリティでは使いづらさを感じます(耐久性は地味にあるので、パワーが必要な場面で利用する時あり)。
コーケンのようにスタンダードラチェットも時代に合わせて進化してくれたらなぁと思います。
しかし、初めてラチェットを買うような人には全然問題ありません。
KTCのユニオン機構は優秀ですし、シンプルに使う分には必要十分なスペックです。
ほぼ同じ価格帯で買うなら「コーケン」推し
コーケンでは、より自動車整備を意識したコンパクト設計の「Z-EAL(ジール)」というシリーズをラインナップしています。
その中でもスタンダードラチェットである「3725Z」は、これから工具を集めていく人には最適です。
コーケン伝統の「空転トルク」。
空転が軽いことで、緩め途中や締め途中のボルトナットと一緒にソケットが戻ってしまうことがなく、最初から最後までラチェットハンドルを使ってボルトナットを回すことができます。
24歯の2枚爪や36歯の同社製「Z‐EAL」シリーズの1体爪は、歯数という分かりやすいスペックでは表現しにくいのですが、ラチェットハンドルの使い勝手を大きく左右する空転トルクの軽さがとても魅力的なスタンダートラチェットハンドル。
これまでは「空転トルク」×「36枚ギヤ」を一貫してこだわり続けてきたコーケンですが、2021年には「72枚ギヤ」へとマイナーチェンジしています。
ギヤ数を増やせばハンドル振り角が小さくなりますが、本質的にラチェットの多ギヤ化と空転トルクの軽さは相反します。
ただ、Z-AELの場合は、多ギヤ化と空転トルクの軽さを両立するための研究を5年費やし、「コーケンも多ギヤ化すればもっと使いやすくなるし、買います」というユーザーの声に応え、史上最高のラチェットハンドルを完成させました。
Z-EAL(ジール)については下記のページでも詳しく解説しています。
KTCのラチェット「BR3E」について、現役メカニック視点で見たレビュー記事が見てみたい。