このような疑問にお答えします。
ウレタン製モールとはこのようなものです。
フェンダーの端に両面テープで貼り付けれるゴムですね。
ドレスアップ目的で装着されている人をよく見かけます。
そこでタイヤのはみ出し対策でウレタン製モールを装着されている人もいるのが現状。
- ツライチにしたらタイヤはみ出し(ハミタイ)と言われた
- 他車のホイールを流用したらハミタイになった
- ネットで購入したホイールがハミタイしたけど返品ができない
このような状況になったらどうしますか?
タイヤがはみ出してしまったらフェンダーをどうにかしたいと思いますよね?
そこで簡単に手軽にドレスアップできてはみ出しタイヤに対応できるウレタン製のモールを貼り付ける人がいます。
たしかに「はみ出しタイヤ対策!」と謳われている商品がありますが、本当に大丈夫なんですかそれ?
そこでこの記事では、自動車検査員として働いている私が、タイヤはみ出し対策にウレタンモールでごまかすのは大丈夫なのか解説します。
【タイヤはみ出し】ウレタン製モールでごまかすのは違反なのか?
もくじ
【タイヤはみ出し】ウレタン製モールでごまかすのは違反?
さっそく結論ですが、
はみ出し防止用にウレタン製の貼り付け物を取り付けるのは単なる装飾品であり、フェンダーの一部にはなりません。
なので、もともとのフェンダーからはみ出しているのか。そうではないのか。となります。
ツライチでタイヤやホイールを装着されている人で、計測が困難な場合はモールを外さないのと正しい判断ができないので、ディーラーの場合は取り外しを要望される可能性があります。
「車体」に関する保安基準
第 178 条 車枠及び車体の強度、取付方法等に関し、保安基準第 18 条第1項第1号の告 示で定める基準は、次の各号に掲げる基準とする。
一 車枠及び車体は、堅ろうで運行に十分耐えるものであること。
二 車体は、車枠に確実に取り付けられ、振動、衝撃等によりゆるみを生じないようになっていること。
三 車枠及び車体は、著しく損傷していないこと。2 .車体の外形その他自動車の形状に関し、保安基準第 18 条第1項第2号の告示で定め る基準は、車体の外形その他自動車の形状が、鋭い突起を有し、又は回転部分が突出す る等他の交通の安全を妨げるおそれのあるものでないこととする。この場合において、 次に該当する車枠及び車体は、この基準に適合するものとする。一自動車が直進姿勢をとった場合において、車軸中心を含む鉛直面と車軸中心を通り それぞれ前方 30 °及び後方 50 °に交わる2平面によりはさまれる走行装置の回転部 分(タイヤ、ホィール・ステップ、ホィール・キャップ等)が当該部分の直上の車体 (フェンダ等)より車両の外側方向に突出していないもの。
出典:道路運送車両の保安基準の細目を定める告示 第 178 条(車枠及び車体)
なのでウレタン製モールなどの単なる貼り付け物は、車体の一部としては取扱いません。
ボルトやナットで取り付けられているものより堅ろうでもないですからね。
「タイヤはみ出し」に関する保安基準
保安基準の改正(2017年6月)で、タイヤのはみ出しに関する変更があったのはご存知でしょうか?
一番外側にはみ出している部分(最外側となっている部分)がタイヤのゴム部分であれば、外側方向への突出量が10mm未満の場合には適合となります。
- タイヤのゴム部分が接触→フェンダーまでの距離が10mm未満は適合
- ホイールのリム部orスポーク部が接触→不適合
補足ですが、その内側にあるホイールのリム部分は考えません。
例えば、タイヤの突出量が9mmでホイールが8mm突出していてもOK。
※私の住んでいる地域の陸運局での見解です。
なので、最外側となっている部分がホイールのいずれかの部分ですと、フェンダーの内側でなければ不適合となり、タイヤのゴム部分ですと、10mm未満であれば適合とみなされます。
ホイール部分とタイヤのゴム部分の出しろが同等であって判断がつかない場合や、キャンバー角が大きいクルマなどは、陸運局に持ち込みをお願いする可能性があります。
少しのハミタイ対策
ここからは少しのハミタイで保安基準不適合になってしまった場合の対策を少し解説します。
空気圧を高めにしてみる
タイヤの空気圧が低いとタイヤがペシャンコになることでタイヤの幅が大きくなり外側にはみ出してしまいます。空気圧を高めにすることでタイヤのはみ出しに対応できたケースを聞いたことがあります。
ほんの少しの誤差なのであまり期待はしないほうがいいです。
フェンダーを引っ張ってみる
これは一番オーソドックスなやり方ですが多くの人がしている?のではないでしょうか。
フェンダーを引っ張りタイヤとホイールを車枠の中に入れてしまう方法です。
方法は想像通りです。
フェンダーをつかんで引っ張るだけ。
ただし、引っ張りすぎたり、つかみ方次第ではボディが変に歪んでしまい見た目が悪くなる可能性があります。
最近のクルマのボディは非常に柔らかいので絶妙な力加減が重要。
神経質な人はオススメしません。
足回りのたてつけを調整してみる
右側はタイヤがはみ出ることなく収まっているのに左側がダメなどの場合は、車の立てつけによる誤差によるものです。
前の車検の時はハミタイじゃなかったのに、
今回の車検ではNGと言われた。足回りは2年前と一緒なのに!
このパターン結構ありますよね。
クレームになることもあります。
なぜこのような誤差が出てしまうのかというと、自動車はたくさんの部品をボルトやナットなどによって固定することで構成されています。
その他にも各種ブッシュのへたりの可能性もありえます。
すべての部品が1mmの狂いもなく完璧に取り付けれれば問題ないのですが、取付が容易になるよう少しの遊びがあります。この遊びによって数mm左右のズレが生じることがあります。
クルマの姿勢は走るにつれて姿勢が変わっていきます!
なので足回りのたてつけを少しだけ調整してタイヤを車枠におさめます。
一番簡単なのがアブソーバーとナックルを固定するボルト・ナット(2ヵ所)を緩めて調整する方法。
この方法はストラット方式のサスペンションに限ってできる方法です。
調整方法はストラットとナックルを固定するボルト・ナットを緩めて遊びの部分でタイヤが内側に入るように押さこんだ状態でボルトとナットを締め付けなおします。
※キャンバー調整用ボルトの位置を変えるとアライメントが狂う可能性があるので注意。
まぁまぁ大がかりなので、時間のある人はお試しあれ。
まとめ
よってウレタン製モールをハミタイ対策として使うのはできません。
ツライチにするのであれば既存のフェンダーの位置を目標に考えましょう。
それでは最後にまとめます。
- ウレタン製モールは装飾品であり、車体ではない
- タイヤのゴム部分の突出が10mm未満であれば適合
- 少しのハミタイなら「フェンダー引っ張る」のが一番早い
こんな感じ。
自動車検査員にとって、タイヤのはみ出しに関してはユーザーと一番揉めやすい事案です。
お互い適切な知識を持ってカスタムを楽しみましょうね。
タイヤのはみ出し対策にウレタン製のモールを取り付けたい。
これって保安基準不適合になるのでしょうか!?