こういったご要望にお答えします。
「スナップオン」というメーカーは、自動車整備士(メカニック)だけではなく、車好きの人でも知られている世界的工具メーカーであり、工具界の頂点といっても過言ではないメーカーです。
世界でもこだわりの工具ファンの数が圧倒的に多いアメリカで、ナンバーワンのブランドとして人気を集め続ける工具メーカーが「スナップオン」。
自動車整備士になる前の私にとっては憧れの工具であり、わたしが自動車整備士になって初めて買ったラチェットがスナップオンの【F80】でございます。
「とにかくカッコイイ!永久保証のラチェットとか最強じゃん!」
10年前にこんなテンションで購入したことを覚えています。
この記事では、わたしの自動車整備士人生をともに歩んできたスナップオンのスタンダードラチェット【F80】についてレビュー&解説していきます。
複雑化してきている最近のクルマでは、スタンダードラチェットを使う頻度は落ちてきましたが、今でも大好きなスナップオンのラチェットです。
スナップオンのラチェット【F80】のレビュー|世界の見本となった工具
スナップオンのラチェット【F80】のレビュー
スナップオンのラチェット【F80】って、
普通のラチェットに見えるけど何がそんなに良いの?
はい。結論ですが、スナップオンのラチェット【F80】は、「耐久性」×「多ギア」×「質感」のバランスが絶妙なスタンダードラチェット界の名器です。
そしてこの【F80】は、2000年代後半に驚きの「80枚ギアのラチェット」として衝撃デビューします。
ちなみにスペックはこちら。
メーカー | スナップオン |
品番 | F80 |
差し込み角 | 3/8 |
ギヤ歯数 | 80枚 |
振角 | 4.5° |
推奨最大トルク | 108N・m |
今では当たり前のように、各メーカーから多ギアラチェットが販売されていますが、当時80枚ギアというのは歴史的なことで、のちに世界の見本となったスタンダードラチェットなんです。
それまでのスナップオンでは、小判型ラチェットの完成形と言われた36枚ギアのヘッド【F936】というラチェットがメインでした。
これを80枚ギヤにフルモデルチェンジさせたのが【F80】であり、かつてのラチェットのイメージを大きく変える、柔らかな使用感と汎用性が高いラチェットが完成します。
【F80】は、サイズさえ合えばほかのメーカーのソケットを装着することもでき、サイズ感も大きすぎず、小さすぎない汎用性の高いラチェット。
80枚のギアが滑らかな動きを可能で、クローム仕上げで美しく、スナップオンの工具の中でもラチェットの先駆者と呼ばれる最高級のスタンダードラチェットになっています。
耐久性がダントツ
80枚もギヤがあるので耐久性に心配がありますが、推奨最大トルク108N・mです。
これは一般的なホイールナットの締付けトルクと同じ。
3/8ラチェットでこんなトルクをかける人はいないと思いますが、それだけのトルクをかけても壊れない耐久性があるということです。
一般的なラチェットには、最大トルクの記載は無いです。
基本的に早回しがメインとなるので過度なトルクは控えるように注意書きがあります。
ですが、スナップオンの場合「推奨最大トルク」の表記があるので、耐久性にはかなりの自信があることが分かります。
ちなみにこのラチェットは、10年間ノーメンテナンスで毎日ガシガシ使ってます。今も全く問題なしです。マジで壊れません。
絶妙な切り替えレバー
切り替えレバーに「ON」「OFF」と刻印されてあり、誰でも「緩める」「締める」がわかるようになっています。
個人的に気に入っているのは、切り替えレバーの絶妙な硬さ。
柔らかすぎるとボルトを締めている時、レバーに触れて逆転してしまったり、硬すぎると切り替えしづらくてストレスになります。
これは、スナップオンのラチェット全てに言えます。
さらにレバーの絶妙な位置にも評価したいです。
この位置にレバーがあるのと、このレバーの長さが本当に絶妙です。
わざわざラチェットを見なくても手の感覚だけで切り替えができるんです。
80枚ギヤ
一般的なラチェットはギアの数が30枚から40枚程度なので、使うとカリカリと荒い音がし、滑らかさにかけてしまいます。
ギヤが少ないと何度も往復してラチェットを振らないといけません。
スナップオン ラチェット【F80】は、80枚のギアが滑らかで使い心地が良い。
空転トルクももちろん軽くなるので、ストレスなくラチェットを振ることが可能です。
ただ、36枚ギアで長年整備をしてきた人からすると、最初は少し慣れがいると思います。
これぐらい振れば、これぐらいボルトが動くという感覚があるので。
ギヤの滑らかさに関しては、わたしが説明するほどでもないですね。
プレーンハンドル
スナップオンのハンドルには「ハードグリップ」と「ソフトグリップ」と「プレーンハンドル」があります。
ほんとこれは個人的な意見なのですが、この「プレーンハンドル」が良いんです。
「ハードグリップ」は、ハンドルが少し大きくなるのと滑りやすいんですよね。
「ソフトグリップ」は滑りにくいですが、サイズが大きくなるので狭いところで若干使いずらさがあるのとオイルを扱う作業ではグリップにオイルが染み込んでしまうので使うのに気を遣います。
「プレーンハンドル」の場合、ハンドルがスリムなので狭いところでも使いやすいのと、ハンドルに掘られている溝と刻印が滑り止めの役割をしてくれます。
あと個人的に「プレーンハンドル」は、男らしさを感じて好きです。
なんといっても質感が良い
美しいクローム仕上げとズッシリとした重み。使えば使うほど味が出てきます。
作業中にキズが入ったとしても全てが愛おしいです。
私はこういった質感を非常に大事にしています。
所有欲を満たしてくれるのとなんといってもカッコよくないと使いたくないですよね?
ラチェットは整備において超基本工具。ここはカッコよく決めたいです。
こういった工具って持つことだけでも仕事のモチベーションアップにもなりますからね。
ラチェットは永久保証?
スナップオンのラチェットって永久保証なの?
スナップオンがプロの現場で長年愛され続けてきた理由の一つに「永久保証」と呼ばれるシステムの存在があります。
昔の公式では、「製造上の瑕疵によると認められる不具合が見られた場合、期限を問わずに保証いたします」という独自の保証システムとして長くユーザーに知られてきたもの。
昔は、「一度買ったら永遠に新品交換してもらえる」という認識があり、実際に私も過去に交換してもらったコトがあります。永久保証対象外の工具でもバンセーリングの人になんとかしてもらった経験もありました。
しかし、最新の製品保証規定には、「永久」、「無期限」、という文言はないです。
保証規定の文章もいつの間にか変わり、明確にスナップオンの保証が常識的なものとして運用されるようになってきたといえます。
未だに「永久保証」という言葉が残っていますが、基本は、「正規販売店より新品の商品を購入されたお客様に対して、製造過程ならびに材質による欠陥を保証いたします」となっています。
永久保証と勘違いして無茶な使い方をするのはNGです。
世界の見本となったラチェット
以上がスナップオンのラチェット【F80】のレビューとご紹介でした。
最後にまとめです。
- 耐久性がダントツ
→最大トルク108N・m - 絶妙な切り替えレバー
→位置と硬さのバランス - 80枚ギヤ
→発売から10年以上経つ今でも対応できる - プレーンハンドル
→グリップはお好みで - 質感がいい
→整備を楽しくしてくれる
個人的には、KTCのラチェットのようにプッシュリリースの有無に好みが分かれそうな気もしますが、とはいえ、どれをとってもピカイチなスナップオンのラチェット【F80】。
発売から10年以上経つ今でも、現場で活躍してくれる名器です。
あとは「スナップオンのラチェットは高い!」という人に、最後に補足します。
わたしは、良いもの長く使いたい派。メリットはたくさんありますよ。
- お金を使わない
→いちいち買い換える必要がない - 無駄な出費がない
→やっぱりあれが良かったということが頭の片隅から無くなる - 愛着が湧く
→お気に入りになれば大切に使う - 安物買いの銭失い
→実際に安くて同じ用途のものがありました。いまもそれを大事に使ってますか?
工具も一緒で良いものは長く使えます。
スナップオンの工具を始められる人は、まずは【F80】から手にとってみてはいかがでしょうか?
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