このような疑問にお答えします。
先日DEENのメガネレンチを購入しました。
DEENの工具初めて買ったけど、
— しー@メカニック×ブロガー (@c_mechalog) August 22, 2021
まずパッケージがカッコ良くて好き☺️ pic.twitter.com/6TNOxcTKW5
DEENというメーカーは、メーカーが開発する工具ではなく、ユーザーの声を集めユーザー目線で工具を企画開発するというコンセプトで2000年に生まれた工具ブランド。
最近では、工具系YouTubeチャンネルではもうお馴染みの「ファクトリーギヤ工具好き」で、よく紹介されていることでも有名ですね。
DEENは、世界の工具メーカーの中でも日本車が多く普及するアジアやアメリカでも注目を集め、今では世界へと広がっています。特に、日本車を取り扱う自動車整備士(メカニック)さんには持ってこいのメーカーです。
そこでこの記事では、工具脱初心者に向けた、DEEN メガネレンチのレビューを書いていきます。
「日本車をメインに触るけど、スナップオンなどの有名ブランドは手が出しにくい!」という人は要注目です。
【脱初心者】DEEN メガネレンチ(セット)のレビュー【ナローオフセット】
もくじ
DEEN メガネレンチ(セット)のレビュー
メーカー | DEEN |
品番 | 4562434459466 |
商品名 | DEEN 45°ナローオフセットメガネレンチ10PCセット |
内容 | 8×10 10×12 11×13 12×14 13×15 16×18 14×17 17×19 19×21 22×24mm |
価格 | 17,160円 |
※6ピースモデル(8×10、10×12、12×14、14×17、17×19、22×24mm)は現在廃盤になっています。
8〜24mmまでのサイズに対応しており、日本車から輸入車まで対応できるラインアップになっています。
オフセット角度は、45°となっており、主力となるメガネレンチになるでしょう。
価格帯は、10ピースで20,000円以下なので、わたしの感覚的には「高くすぎるわけでもなく決して安くもない」、数ある工具メーカーの中でも中間ぐらいの価格設定となっています。
ここからはDEENのメガネレンチセットの特徴について順に解説します。
デザイン面
デザイン面は、なんといってもメッキ仕上げがとても綺麗。上級ブランドのスナップオンやネプロスを意識されたんじゃないかと思います。
これは欧州の有名ブランドのOEMをしている台湾の職人さんの技術であり、上級ブランドのメッキ技術を担当しているだけあって、国産ブランドのレンチの中でも他メーカーにはない高級感を漂わせています。
機能面
ボックスエンドの内側のザグリをなくし、薄型のボルトナットへの掛かり面を増やしたりと見た目だけではない、機能面にも優れているレンチとなっています。
ソケットやレンチには、「ザグリ」加工と呼ばれる内側の面取りが施されているのが一般的です。
ザグリがあると、少し開口部が広がるのでソケットがはめやすくなり、ボルト・ナットの付け外しがとてもスムーズに行うことができますが、ボルトナットへの接触面積が少なくなってしまうので伝達トルクが少なくなってしまいます。
近年では、「低頭ボルト」と言われるボルトの頭(六角部分)の厚みが軽量化やコストの削減によって厚みの薄いタイプが出てくるようになりました。
低頭ボルトの場合、レンチやソケットにザグリがあるとそれだけ接触面積が減ってしまいますので、接触面積が減ってしまい、ボルトナットを舐めてしまうリスクが高くなってしまいます。
そこで、DEENのメガネレンチはほぼザグリを無くし、近年のボルトナットに対応できるように設計されています。
サイズ感
14×17mmでサイズ感を比較してみました。
左側がバンザイ製、中央がスナップオン、右側がDEENになります。長さはスナップオン製とほぼ変わりません。横幅はDEENのほうが数mm広いです。スナップオン製に比べると厚みもありますし、重量も少しありますね。
重量は、スナップオン製で154g、DEEN製で174gでした。持ってみた感じは、「少し重いかなぁー」程度なのであまり気にはなりませんでした。
DEEN メガネレンチ(セット)のデメリット
デメリットは2点ほど感じました。これは「DEENのメガネのデメリット」というよりかは、鏡面仕上げのメガネに対するデメリットです。
傷、汚れが目立つ
上級ブランドのメガネレンチは、強度や耐久性、防錆性の向上のためにメッキ処理がなされています。
主に「鏡面仕上げ」と「梨地仕上げ」に分かれます。
DEENのメガネレンチは画像の通り、「鏡面仕上げ」のメガネレンチです。この鏡面仕上げはその美しさの反面、傷が目立ってしまうのと指紋がつきやすいといったデメリットがあります。
滑りやすい
鏡面仕上げのメガネレンチは、オイルやグリスが付着すると滑りやすいです。わたしも何度も床に落とした経験があります。
刻印が滑り止めにもなりそうな気もしますが、あくまで気持ち程度。
傷が入りやすく、滑りやすいので、最初のうちは気を遣うと思います。
DEEN メガネレンチ(セット)のメリット
ここからはメリットについて解説します。
メリットをまとめると以下の通り。
- 安心の面接触
- メッキ仕上げが上品
- 価格も抑えめ
こんな感じ。
順番に解説します。
安心の面接触
「面接触」とは、メガネレンチでボルトナットを緩める際に、メガネ部とボルトナットとの接触を増やしてあげること。線や点ではなく、「面」で工具を当ててあげることでボルトナットをできるだけ舐めないようにします。
強いトルクが点や線で伝わってしまうと、ボルトナットの端部が変形してしまったり、最悪破損してしまったりして、次回整備時に外せなくなってしまいます。
わかりやすく説明すると、ヒールで踏まれるのと、スニーカーで踏まれるのどっちが痛いですか?
大半の人は力が一点集中するヒールのほうが痛く感じますよね。
一点集中してしまうということは、その箇所のダメージも大きくなってしまうんです。
良いことばかりの面接触のようにも思えますが、少しデメリットもあります。面接触を優先してしまうと、「ガタ」が出てきてしまうのでメガネレンチの振り幅がとれない狭い箇所での作業には少し不向きになってしまいます。
こことの両立が難しいんですが、上級ブランドのメガネレンチは、面接触を採用しているブランドが多いのが現状です。
もし、この「ガタ」が気になるようであれば、普段は「面接触」のメガネをスタンダードとして使用し、大きなトルクを要さない狭い箇所では「線接触」のメガネ(ショートメガネなど)を使用すると良いです。
メッキ仕上げが上品
メッキ仕上げとても上品で、スナップオン、ネプロスのミラーツールに匹敵するほどの輝きを見せています。
このメッキ処理には、もちろん装飾性も持たせていますが、メリットが他にもいくつかあります。
- 耐食性
→錆びにくくすることで金属の寿命を延ばす - 熱特性
→高温のエンジンでの作業に対応 - 摩耗性
→なるべく消耗を抑える
その他にもメッキには水を弾きやすくしたり光の反射を抑えることで眩しくないようにしたりと色々な性質を付与できます。
金属の特性や加工方法だけでは高品質な製品を作るのは限界がありますが、メッキ処理により様々な性質を付与できることができます。
価格も抑えめ
工具ショップであるファクトリーギアが企画したDEENブランドは、「ユーザーが考えた物を、メーカーが形にする」というポリシーで作られたブランドであり、価格もユーザー目線の設定になっています。
例えば、ネプロスのレンチセットは6ピースセットで24000円ほど。スナップオンのレンチセットになると、5ピースセットでも約25,000〜30,000円ほどになってきます。
DEENの場合は、10ピースセットでもそれ以下の価格設定です。
美しいメッキ仕上げに、ザグリのないフラットのメガネ部。上級ブランドメーカーのいいとこどりをした各部の機能。
恐らく実用上まったく不満がでることのないDEENのメガネは、お値段以上、といいますか格安といえます。あとは使うあなたが気に入るかだけです。
【番外編】75°オフセットレンチの存在
75°オフセットメガネレンチといえば、ドイツの「スタビレー」や「ハゼット」が有名ですね。フセットが深いレンチはヨーロッパでは主流なんです。
ですがレンチのサイズの組み合わせが、10×11、12×13など…日本車を整備するのに使いづらい組み合わせなんです。
そこにDEENは目をつけて、メガネ部もスタビレーの様にスッキリとした設計で、ザグリもなく、ボルトナットにしっかりとトルクを伝えれるDEEN特製の75°オフセットレンチがラインナップがあるんです。
実は浅い角度のレンチよりも部品が密集している作業シーンでは断然使い勝手がよく、近年の日本の整備シーンでもニーズが高まっています。「ディープでは長すぎるし、セミディープじゃ短いような…」といった微妙にアクセスしにくいような場面で、75°オフセットレンチが効果を発揮します。
なんといってもDEENの品質で、しかも日本車にも対応したラインナップ(14×17など)なので、国産メーカーのメカニックたちにはぜひ購入して頂きたい逸品です。
サイズは、もちろん日本車の整備で使いやすい、8×10、10×12、12×14、14×17、17×19。それにヨーロッパ車でも使う、9×11、13×15、16×18のサイズもあります。
もしファクトリーギヤのお店に行かれる方は、是非手に取ってみてはいかがでしょうか。
DEENのメガネレンチってどんな工具なの?