国家自動車整備士の種類別「できること」まとめ|主な仕事・役割・手当てなどを解説します。

自動車整備士1・2・3級で「できること仕事の内容手当て」について知りたい…。

このような疑問にお答えします。

この記事で分かること
  • 自動車整備士の資格の種類
  • 自動車整備士の資格別の仕事内容
  • 自動車整備士の資格別の手当て(参考)

このような構成で書きました。

本業で自動車整備士として働いている筆者は、各種資格手当を会社から頂きながら、特定整備・検査業務を日々こなしています。

自動車整備士の国家資格には大きく分けて3級から1級まであり、会社によってそれぞれに手当が設定されているところが多いです。

自動車整備士の資格は、個人のスキルの指標になる重要なカテゴリーです。

そこでこの記事では、自動車整備士の資格の種類や仕事内容、参考程度になりますが資格別の手当てについて解説します。

自動車整備士の種類・資格別「できること」まとめ

まず最初に自動車整備士資格の種類について解説します。

自動車整備士に関する資格は大きく分けて3つ

自動車整備士として働く上で関わる資格は大きく分けて3つあります。

  • 国家自動車整備士資格
  • その他の資格
  • メーカー系資格(ディーラーの場合)

この中でもっとも重要なのが国家資格です。

自動車整備業界のルールは、法律の基作られているため「できること・できないこと」がこれで決まってきます。

国家自動車整備士の国家資格は5つ

ここでは5つの国家資格が、それぞれがどのように分けられているのか確認をしていきます。

1級自動車整備士1級大型自動車整備士
1級小型自動車整備士
1級二輪自動車整備士
2級自動車整備士2級自動車シャシ整備士
2級ガソリン自動車整備士
2級ジーゼル自動車整備士
2級二輪自動車整備士
3級自動車整備士3級自動車シャシ整備士
3級自動車ガソリン・エンジン整備士
3級自動車ジーゼル・エンジン整備士
3級二輪自動車整備士
特殊整備士自動車車体整備士
自動車電機装置整備士
自動車タイヤ整備士
その他自動車検査員

「1・2・3級」と呼ばれている自動車整備士資格の中でも、種類が細かく分けられています。

仕事に直結してくる資格でいうと、2級以上に価値があります。

単独で分解整備作業ができるようになり、ハイレベルな整備も可能になる資格だからです。

国家自動車整備士資格別の「主な仕事」

国家自動車整備士が取り扱うパーツ

1・2・3級別の主な仕事について解説します。

国家1級自動車整備士

1級整備士は自動車整備士のなかでも最も難関な資格として位置づけられています。

該当する車・箇所
1級大型自動車整備士総重量8t以上で最大積載量が2t超える車両(トラック)
1級小型自動車整備士総重量8t未満で最大積載量が2t以下、定員10名以下の普通自動車と四輪、三輪の小型自動車、軽自動車
1級二輪自動車整備士二輪自動車

2級自動車整備士の資格があればほとんどの仕事を担当できるのが現状です。

ただし、電気自動車や自動運転車などの新技術が使われている車の整備に対応するために、今後ニーズが高まっていく可能性があります。

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現状メリットが少ない1級整備士ですが、現在1級の優位性を見直すことが検討されています。詳しくはこちらの資料をご覧下さい。

国家2級自動車整備士

2級自動車整備士は、自動車の定期的なメンテナンスや点検、分解整備(特定)なども可能な資格。

整備士として食っていくためには必須の資格です。

該当する車・箇所
2級自動車シャシ整備士自動車のシャシ(エンジンとボディを除いた部分の総称)
2級ガソリン自動車整備士ガソリン・エンジンを搭載した普通自動車および小型自動車の四輪、三輪、軽自動車
2級ジーゼル自動車整備士ジーゼル・エンジンを搭載した普通自動車および小型自動車
2級二輪自動車整備士二輪自動車や原動付自転車

2002年に1級自動車整備士試験が新設されるまでは、最上位の資格でした。

全国の整備工場で働く整備士の多くが所有しており、ほぼすべての整備業務が可能な資格です。

国家3級整備士

国家3級整備士は、上級整備士の指示に従って一般的な整備を行うことができる資格です。

すべての整備を単独で行うことはできません。

例えば、エンジンを分解するほどの整備や足回りに関わる大がかりな整備は範囲外になっています。

※分解整備の定義はこちらのページをご覧下さい。

該当する車・箇所
3級自動車シャシ整備士自動車のシャシ(エンジンとボディを除いた部分の総称)
3級ガソリン自動車整備士ガソリン・エンジンを搭載した普通自動車および小型自動車の四輪、三輪、軽自動車
3級ジーゼル自動車整備士ジーゼル・エンジンを搭載した普通自動車および小型自動車
3級二輪自動車整備士二輪自動車や原動付自転車

自身が整備士としてどのような対象を整備していくのかを決める最初のスタート地点になります。

特殊整備士

特定のパーツを専門とする資格取得者を特殊整備士といいます。

1・2級資格を取得すればほとんどの整備ができます。

ただ、特殊自動車整備士資格があると、特定のパーツを専門的に整備することができるようになります。

該当する車・箇所
自動車車体整備士フレームやボディ部分の整備や修理、板金塗装などを行うにあたり役立つ資格。
自動車電機装置整備士電子制御部やバッテリー、冷暖房装置など電子回路にかかわる整備を行う資格。
自動車タイヤ整備士自動車のタイヤに関する唯一の国家資格。タイヤの点検や修理・整備の専門家。

自動車電機装置整備士は、近年の電気自動車やハイブリット車の需要の高まりもあり、現場で役立てることができる資格と言えるでしょう。

その他の資格

代表的なその他の資格として自動車検査員があります。

自動車検査員は、車検の検査で最終チェックを行える資格です。

整備工場等で整備後の検査や車検を通す検査を行うために必要で、主に整備の正確性や不備がないかどうか、国の基準を満たしているかどうかを検査・判断をします。

自動車検査員は、みなし公務員として扱われるため、刑罰に関しても公務員と同様に扱われます。

公務員扱いであることから、法律から逸脱する不正車検を行うと、逮捕されることもあります。

それだけ責任のある国家資格です。

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自動車検査員は社会的ニーズも高いため、転職にも有利な資格です。

国家自動車整備士資格別の「主な役割」

国家自動車整備士の役割

実際に働くとなると、資格別でどのような役割となるのか。

わかりやすく、以下にまとめてみました。

未資格3級2級1級
軽作業(オイル交換等)
分解整備(特定)×単独×
整備主任者になる××
自動車検査員になる××

資格のない作業員は原則「軽作業のみ」

資格のない作業員(整備工)は、基本的には軽作業しかできません。

軽作業とは、エンジンオイル交換タイヤ交換等です。

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自分のクルマであれば問題ないですが、商売となるとできることは限られます。

3級は分解整備(特定)が単独で行えない

3級を取得していれば、自動車の基本的な整備を行うことができます。

ただし、エンジンやトランスミッションなどを外して整備または改造、それらの装置に影響を与えるおそれがある作業は単独で行えません。

整備工場で1人前として求められる整備士資格は、2級以上である場合が多いです。

※分解整備の定義はこちらのページをご覧下さい。

整備主任者になる

2級整備士以上になると整備主任者になることができます。

整備主任者とは、「特定整備完了車が保安基準に適合していることの検査」について責任を負う人。

エンジンの脱着、ブレーキの分解作業などの最終チェックを行う仕事をします。

また自動車整備主任者は、資格ではなく役職です。

目指すもの、というより責任が増えてくるとこの役職に就任することがある、そういった性質をもつので、自身で希望してなれるようなものではありません。

認証工場等を名乗るためには、整備工場に必ず1名以上、自動車整備主任者を選任する必要があるので、非常に重要なポジションであることが分かります。

※令和2年4月1日からは特定整備制度による整備主任者が主流になってきています。

1級自動車整備士は無条件でなることが可能です。

自動車検査員になる

2級整備士以上・整備主任者の実務経験1年以上で、自動車検査員になれます。

自動車検査員とは、車検において合否判断を下す大変重要なポジションです。

整備士は車検を合格させるための点検・整備はできますが、車検検査は許されていません。

つまり自動車検査員は、整備された自動車に不備が無いか、基準に適しているかなどの最終判断をおこなう役割を担っています。

整備士よりさらに重い責任を負う役割であることから、企業によっては手当てなどが支給されます。

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自動車検査員は、最寄りの自動車整備振興会で開催される講習を受講し、試験に合格することで取得できます。

国家自動車整備士の資格取得方法

国家自動車整備士の資格を取得する方法

自動車整備士の資格試験を受験するためには専門学校で取得する方法働きながら取得する方法の2つがあります。

専門学校で取得する方法

自動車整備士専門学校に通い修了することで、その課程に応じた受験資格が付与され、実技試験が免除(修了後2年)されます。

自動車整備士専門学校は日本各地に沢山あり、中には自動車メーカーが運営をしている専門学校も存在しています。

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メリットとしては終了課程を得ることで実技試験が免除になること専門のカリキュラムで合格しやすいことが挙げられます。

未経験から最短で国家資格を取得するなら専門学校はアリです。

各課程修了後の受験資格については以下の通りです

専門学校修了者
(一級整備士養成課程)
卒業と同時に1級整備士の受験資格を得られる。
専門学校修了者
(二級整備士養成課程)
卒業と同時に2級整備士の受験資格を得られる。。
高等学校の自動車科卒業者
(三級整備士養成課程)
卒業と同時に3級整備士の受験資格を得られる。

自動車整備士専門学校には、2年制の2級自動車整備士資格取得コース4年制の1級自動車整備士資格取得コース2年自動車整備士資格取得コースにプラス1年もしくは2年追加した自動車板金技術を取得するコース等が存在しています。

働きながら取得する方法

未経験から働きながら取得するとなると、整備工場で指定された実務経験を積んで、実技試験を合格しなければなりません。

ただ、全国の自動車整備振興会で開催されている自動車整備士講習を受ければ実技試験を免除することができます。

詳しくは下記のページをご覧下さい。

整備士資格

【参考】それぞれの資格の手当て

自動車整備士の手当て

各資格別の手当てに関しては会社によって違いますが、参考までに大手国産ディーラーを例にご紹介します。

国家資格別の手当て

3級整備士2000円
2級整備士3000円
1級整備士5000円
自動車検査員に選任5000円

「国家資格でこれだけ?」と思われるかもしれません。

自動車整備業界は、資格を持っているのが当たり前の世界です。

思うところはいろいろありますが、昔よりは良くなっています(泣)

メーカー資格別の手当て

サービス技術系資格4級4000円
サービス技術系資格3級6000円
サービス技術系資格2級9000円
サービス技術系資格1級12000円

正規ディーラーの場合は、社内資格制度を設けている会社がほとんどで資格別に手当が設定されています。

メーカーの専門知識・技術に長けている整備士は、ディーラーから重宝されます。

その分国家資格に比べて手当ても厚く、人事考課にも影響する重要な資格と言えます。

ただ国家資格ではなく、あくまで「社内資格」です。

転職時には実績として見られるだけにとどまります。

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