【保存版】スバル車のホイールナットの適合・トルク一覧表

スバル車のタイヤ交換をしたい。ホイールナットの適合とトルクを一覧で見たい。分かりやすいサイトはありますでしょうか。

このような疑問にお答えします。

この記事で分かること
  • スバル車のホイールナットの適合・トルク一覧
  • ホイールナットとは
  • ホイールナットのトルクとは
  • なぜ車種ごとにトルクにバラツキがあるのか

この記事を書いている筆者は、本業で自動車整備士として働いています。

この記事では、スバル車の足回り点検やタイヤ交換・ホイール交換などを実施予定の人や、それに合わせてホイールナットを新品に交換予定の人に向けた記事です。

ネットでタイヤを検討中の人は、以下の記事も参考にして下さい。

タイヤをネットで買う

スバル車のホイールナットの適合・トルク一覧表

トルクレンチ

※この記事で掲載しているデータは、取扱説明書を参考にしています。

インプレッサ・XV系(G系)

型式ホイールナットトルクネジ径 × ピッチサイズ
GD系以前9kgmf ± 1kgmfM12 × P1.25
GE・GH・GR・GV100Nm(10kgfm)M12 × P1.25
GJ・GP100Nm(10kgfm)M12 × P1.25
GPE120Nm(12.2kgfm)M12 × P1.25
GT・GK120Nm(12.2kgfm)M12 × P1.25
GU120Nm(12.2kgfm)M12 × P1.25

フォレスター系(S系)

型式ホイールナットトルクネジ径 × ピッチサイズ
SG系以前9kgmf ± 1kgmfM12 × P1.25
SH100Nm(10kgfm)M12 × P1.25
SJ120Nm(12.2kgfm)M12 × P1.25
SK120Nm(12.2kgfm)M12 × P1.25
SKE120Nm(12.2kgfm)M12 × P1.25

レガシィ系(B系)

型式ホイールナットトルクネジ径 × ピッチサイズ
BH以前9kgmf ± 1kgmfM12 × P1.25
BP・BL100Nm(10kgfm)M12 × P1.25
BM・BR120Nm(12.2kgfm)M12 × P1.25
BN・BS120Nm(12.2kgfm)M12 × P1.25
BT120Nm(12.2kgfm)M12 × P1.25

レヴォーグ・WRX系(V系)

型式ホイールナットトルクネジ径 × ピッチサイズ
VM・VA120Nm(12.2kgfm)M12 × P1.25
VN・VNH120Nm(12.2kgfm)M12 × P1.25

エクシーガ・クロスオーバー7(Y系)

型式ホイールナットトルクネジ径 × ピッチサイズ
YA(#A〜H)100Nm(10kgfm)M12 × P1.25
YA(#J)120Nm(12.2kgfm)M12 × P1.25
#は年次改良

BRZ系(Z系)

型式ホイールナットトルクネジ径 × ピッチサイズ
ZC120Nm(10kgfm)M12 × P1.25
ZD120Nm(12.2kgfm)M12 × P1.25

ソルテラ

型式ホイールナットトルクネジ径 × ピッチサイズ
EW140Nm(14.4kgfm)M14 × P1.5
(形状:ボルトタイプ)

ホイールナットとは

ホイールナットの写真

そもそもナットとは、「雌ねじ(めねじ)」のことで、筒状になった部品の内側にらせん状の溝があります。

なお、外側にらせん状の溝があるものを「雄ねじ(おねじ)」と呼びます。

車や家具などの組立では、雌ねじと雄ねじの結合によって部品を固定していきます。

ホイールナットは、タイヤのホイールと車のボディを固定する際に使う雌ねじのことです。

車のタイヤを固定するときは、ハブボルトにホイールの穴を通じてハブという金属面を押し付け、その状態で雌ねじであるホイールナットを締めていきます。

1:ホイールナットの各部の名称

ホイールナットの各部名称

車のホイールナットには、一般的に以下のような表記がされています。

M12×P1.25 19HEX

それぞれの記号と数字の意味は、以下のとおりです。

M12ネジの直径。M12なら12mmです。
P1.25ネジの山と山の間の距離。P1.25なら1.25mmです。
19HEX数字でナットの平行な2つの辺の距離(二面幅)
HEX六角形=hexagonの最初の3文字

つまり、M12×P1.25 19HEXというのは、直径12mm、ネジのピッチが1.25mmのハブボルトに適合する、ナットの形状が六角形で、ナット径19mmのホイールナットであることがわかります。

しー

スバル車は、M12×P1.25を選んでおけば間違いないです(ジャスティ、レックス、ソルテラを除く)。

2:60°テーパー座のホイールナット

60°テーパー座のホイールナットは、日本では最もポピュラーなタイプのホイールナットで、日本国内で流通しているホイールとナットの多くに採用されています。

トヨタとホンダを除く大半の国産自動車メーカーでは、純正ホイールにテーパー座を採用しており、ホイールナットにも底面が約60度のすり鉢型になったテーパー処理がしてあります。

なぜこのような形状なのかというと、「ホイールナットを面接触させる」「ホイールナットのセンターを出す」ためです。

これによって、ナットの力をホイールに均等に掛けることができます。

もっと言うと、ホイールのセンター軸とハブユニットの軸をぴったりに合わせ、ホイールとハブユニットをしっかり固定する事ができるので、タイヤ・ホイール・ハブユニット・サスペンションが想定通りに可動し、自動車を支える事が出来るのです。(ナットとハブボルトだけで車重を支える訳ではありません)

しー

ここで注意なのが、社外品ホイールに交換した場合、純正のナットは使えない(使わない)ということです。

社外品ホイールにはテーパー座面が深い商品、浅い商品など様々な種類があります。

ホイール側のテーパー部分が深い社外品ホイールに、テーパー面が浅い純正ホイールナットを使用すると、ホイール側の座面が削れてしまいます。

上記のように、他の整備士さんのアカウントでもアナウンスされています。

社外品ホイールに交換される人は、あわせてホイールナット交換も忘れないようにしましょう。

ちなみに社外品のホイールナットでも座面は削れていくので、カラー付きのナットがおすすめです。

3:ホイールナットのタイプ

ホイールナットのタイプ

ホイールナットのタイプには、主に2種類あります。

  • 貫通タイプ
  • 非貫通タイプ

貫通タイプは、文字通り、穴が貫通しているタイプのナットです。

メリットは、袋タイプがボルトの長さに合わせてナットを選ばなければならないのに対して、ボルトの長さに関係なくきちんと閉められることです。

ただ貫通タイプのナットは、ホイールキャップなどのカバーが無いとボルトとナットの間に水が入り、サビで固着してナットを緩める時に回しづらくなったりします。

ハブボルトをサビから守る為には、非貫通タイプが断然有利です。

4:ホイールナットの素材

ホイールナットの素材

ホイールナットの素材には主に4種類があります。

①スチール製

スチール製は、多くのホイールナットに使用されており、流通量が多い素材です。

その理由としては、他の素材に比べて価格が手頃なところ。

それでいて耐久性が高く、頑丈で壊れにくいため、多くの純正ホイールに使用されています。

一方、塗装の表面処理具合によっては、経年劣化を起こして錆びやすい素材でもあります。

②ジュラルミン製

ジュラルミンは、アルミニウム合金の一種で、アルミの強度を高めたものです。

ジュラルミン素材は「軽い」という特徴をもっており、重要な書類を入れたり、現金輸送に使用されたりもしています(ジュラルミンケース)。

ジュラルミン素材のホイールナットはカラーが豊富で、シルバー色以外のホイールナットをお探しの人には、必見の素材。

ただしデメリットもあって、それでもボルトやナットとして使用するのであれば、その強度は鉄に劣ります。

ご存じの通り、ジュラルミンは単純に鉄と比べて比重が軽いので、「同形状であれば」確かに軽いです。

ただし これは「同形状であれば」の話です。

鉄と比較して軽くもろいアルミ合金に、鉄と同じ部品強度を持たせようとすると、大きく分厚くなりますよね。

使用する場所を考えたとき、ホイールナットを大きく・分厚くすることは難しいと思いませんか??

しー

強度の足りない部品を使っての軽量化はおすすめしません。本末転倒です。

③クロモリ製

クロームモリブデン鋼の略称であるクロモリは、通常の鉄に比べてサビにくく、軽くて丈夫な素材として知られており、耐熱性や強度に優れている点が大きなメリットです。

走行時の熱による膨張も少なく、外すときにかじりにくいです。

その分価格は高くなりますが、ホイールナットにこだわりたい方、高い安全性と使い勝手の良さを求める方におすすめです。

④チタン製

チタン素材のホイールナットは、最も軽量かつ強度が高く、そしてサビにくいのが特徴です。

レースにも採用されるほど高性能で使い勝手が良く、まさに「最強のホイールナット」と言って良いでしょう。

ただし製造にかかるコストが高く、非常に高価なナットになっています。

ホイールナットのトルクとは

トルクレンチでホイールナットを締める

ホイールナットを締める際のトルクとは、回転軸に対してねじる力の強さのことを言います。

現在、締め付けトルクの単位には「Nm(ニュートンメートル)」が使われ、「1メートルの長さのレンチの先に100gのウェイトを吊るした状態」のことを「1Nm」と表します。

自動車のあらゆるボルトやナットには、それぞれ指定された適正トルクがあり、パーツを取り付ける際には重宝される単位です。

とくにホイールナットは、締付け過ぎると破損したり、緩すぎると事故につながりますのでしっかりトルク管理を行うようにしましょう。

1:規定トルクを守らないといけない理由

ここでは、締め方が強すぎる場合と、足りない場合に分け、それぞれ起こりうる現象について解説します。

①強いトルクで締めた場合(オーバートルク)

しー

ありがちなパターンとしては、クロスレンチで体重をかけてグイグイ締め込んで折ってしまうパターン。

ホイールナットは締めすぎると、最悪ハブボルトが切れてしまいます。

これはボルトそのものが伸びる性質を利用しているからです。

ボルトは締めていくと実際微妙に伸びていて、それが元に戻ろうとする力を活用してホイールなどを押さえています。

伸びる力と元に戻ろうとする力のバランスがとれていることが適正なトルクで締め付けられている状態です。

なので、引っ張られる力が大きければ大きいほど元に戻ろうとする力も大きくなり緩みやすくなるというわけです。

逆にこの特性を利用して、取れにくくなったボルトをあえて捻じ切って新しいのに交換するという荒技もあるほど。

クロスレンチで作業するとどれくらいの強さで締めたのかがわからないので、トルクレンチを使用しましょう。

②弱いトルクで締めた場合(トルク不足)

ホイールナットがしっかり締まっていないとどうなるのか。

  1. 足回りから異音がする
  2. ハンドリングに違和感
  3. 放置すると車体からホイールが外れる

ホイールナットが緩んでいると、最悪の場合は走行中にホイールが外れるおそれがあるなど大変危険。

周囲を巻き込む大事故へと発展しかねないため、規定トルクを守ることが大切です。

しー

たまに「緩んでから締め直す」という人がいますが、ナットの緩みそのものを防止するのがベストです。

ホイールナットの緩みを防止する方法としては以下の通りです。

  • ハブボルトのねじ山の痛み・サビがないか
  • ホイールナットのねじ山の痛み・サビがないか
  • ハブボルトに市販の潤滑油を使っていないか

最後の「ハブボルトに市販の潤滑油を使っていないか」についてですが、ハブボルトやホイールナットのねじ山を保護する意味で市販の汎用グリスを塗らないで下さいということです。

おそらく次回ホイールナットを回す時にスムーズに取り外しが出来るようにグリスを塗布しているものと予想できますが、実はこれが良くない事を引き起こします。

それは何かというと、下手な潤滑剤をホイールナットに塗布すると、規定トルク以上で締まってしまうからです。

そこでおすすめなのがトルクキープという商品。

トルクキープは、単純に潤滑ではなく「適正な摩擦係数をキープしつつ軸力を安定させて締めすぎや緩みを防止し、強力な被膜でサビを防止する」という特徴があります。

まさにハブボルトのために作られた専用の潤滑剤です。

>>トルクキープ公式はこちら

2:トルクレンチを使った正しいタイヤ交換

タイヤ交換

ここからは、現役の自動車整備士が教える「正しいタイヤ交換」について解説します。

①「クロスレンチ」「トルクレンチ」「車載ジャッキ」を準備する

この3つさえあればOKです。

クロスレンチとトルクレンチが一緒になっている商品もあるので参考に。

車載ジャッキは車に搭載されているので、取扱説明書を参照して下さい。

②車体を上げる前に十字レンチで少し緩めておく

クロスレンチを使って、反時計回りに力を加えて少し緩めておきます。

理由としては、完全に車体を持ち上げてから緩めようとしても、タイヤが空転して力がかからないからです。

③車体を持ち上げる

車載ジャッキを使って、車体を持ち上げます。

車載ジャッキを当てがうポイントは、取扱説明書を参照しましょう。

④クロスレンチでホイールナットを外す→手で外す

車体を上げたら、軽く緩めてあったホイールナットをクロスレンチですべて外します。

5本ある内の最後の1本を外すと、ホイールがガタンと傾くので手で緩めましょう。

コツとしては、右利きの人は左手でタイヤの下側を押さえながら、右手でホイールナットを緩めると良いです。

ホイールナットがすべて外れたら、ホイールのスポーク部を両手で持って地面にゆっくり降ろします。

⑤手でホイールナットを締める→クロスレンチで締める

取り付ける際は、ホイールと車体側のナットがはまる位置を確認して、向きを合わせてから取り付けるとスムーズです。

ハブボルトにホイールの穴が合わせれたら、ホイールの6時の方向のホイールナットから手で仮締めしておきます。

理由としては、地面側のホイールナットを先に締めておけば、ホイールが傾かずに取り付けしやすいからです。

ここで1つ注意なのが、すぐにクロスレンチは使わないことです。

しー

手で締まるところまで締めてからクロスレンチを使いましょう。いきなりクロスレンチを使うと、ねじ山が斜めにかかってしまう可能性があるからです。

手で締めてから工具を使う」というのはボルトナットを扱う作業の基本となります。

⑥タイヤが軽く接地したところでトルクレンチで締める

クロスレンチである程度ホイールナットを締めたら、タイヤが軽く接地するところまで車体を下げて、トルクレンチで締めます。

ホイールナットの締め付け順序は、基本的に対角線状に締め付けて下さい。

トルクレンチですべてのホイールナットが締め終わったら、車載ジャッキを下ろして作業完了です。

【余談】なぜ車種ごとにトルク値にバラツキがあるのか

スバル車のホイールナット

スバル車のホイールナットは、ほぼ同じモデルにもかかわらず、指定する締め付けトルクに違いがあったりします。

  • 9kgmf ± 1kgmf
  • 100Nm
  • 120Nm
  • 140Nm

上記のホイールナット一覧表を見ていただくと分かりますが、車種が新しくなるごとにトルクが上がっています。

とくに、2009年以前くらいまでに製作されたモデルに関してはトルクの表記も「Nm」ではなく「kgfm」で、9kgmf ± 1kgmfという比較的低い締め付けトルクになっていました。

スバルは乗用タイプの四輪駆動車にアドバンテージのあるメーカーで、スタッドレスタイヤとの入れ替えをユーザーが行うことも多いですから、「なんでこんなに締め付けトルクが車種ごとに変わるの?」と混乱していたかもしれません。

それにはいくつか理由があります。

理由1:日産との関係

スバルは、1968(昭和43)年から日産自動車と約30年ほど資本提携を結んでいた時代がありました。

この提携によって富士重工は、日産の傘下として一部のモデルの受託生産などを行っていました。

たとえば「レオーネ・バン」は日産のADバンのOEM車です。

この場合、ベースとなるのは日産車なので、ホイールナットの締付けトルクも日産車の基準に準ずることになります。

ホイールのPCDはスバルは100の4穴、日産の小型車は114.3の4穴という違いもありましたが、ハブボルトのサイズは日産と同じM12×1.25使用していたのにも関わらず「9kgmf ± 1kgmf」という比較的低い締め付けトルクに設定されていました。

この名残が長く続き「ホイールナットは、9〜10kgf·mの間のトルクで締め付けていればOK」という、アバウトなトルク設定でも大丈夫だった時代が続きます。

筆者が学生時代にアルバイトでガソスタで働いていたときも「だいたい10で締めとけばOK」とか「インパクトで締めとけば大丈夫や」とよく先輩から言われていました。

今では大問題ですが、それぐらいの認識だったんですね。

ただし現代は、ハイブリッド車やEVのようにモーターでの駆動をするとなると、ホイールナットの締め付けトルクにも厳しい管理が必要になります。

しー

同じGP系インプレッサでも、ハイブリッドモデルになるとトルク値は変わります(100→120Nm)。

モーターのみで駆動するEVは、低速から強力なトルクがホイールに加わることになるので、昔のようなトルク管理だと大事故になる危険性が上がります。

理由2:トヨタの影響

2000年代からスバルはトヨタと業務提携をしていますが、2012年に販売を開始したBRZ/86の共同開発なども行われており、関係性は強化されています。

両社は2019年に資本提携が締結されましたが、それ以前に製作されているモデルにもトヨタ色が見えるように感じます。

それはホイールナットの締め付けトルクの表記にも表れています。

2010年くらいまでは締め付けトルクは80Nm~100Nmといった具合に幅を持たせていた表記でした。

その後は「100Nm」「120Nm」といった、締め付けトルクの数値を明確にしているところも「トヨタに寄せた?」と思いました。

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