2020年現在、新型アウトバック(北米モデル)が非常に好調だそうです。
2020年9月の北米スバル(Subaru of America)の販売台数は、前年同月と比べて16%の増加となった。6万0103台という販売台数は、11年連続で販売記録を更新し続けてきた北米スバルにとって、9月の最高記録だ。北米スバル(Subaru of America)が発表した2020年9月の販売台数は、6万0103台。2019年の同月と比べると16.4%増で、営業日数が多かったという要因はあるものの、久しぶりに前年実績を上回る月となった。北米スバルの販売台数が6万台を超えるのは、実に2019年12月以来である。
Motor-Fan.jp調べ
新型アウトバックの北米モデルは、2021年に日本に導入されるコトは濃厚です。
【室内・外装編】新型アウトバック北米モデルまとめ【現役社員が徹底解説】

この記事では自動車整備士10年目。スバル歴12年目の私が、新型アウトバック(北米モデル)がどのように進化したのか、徹底解説します。
もくじ
【室内・外装編】新型アウトバック北米モデルまとめ
「歴代のアウトバックが築き上げてきた価値とは何なのか。」
「さらに何を造っていくべきなのか。」
こういった部分から新型アウトバック開発がスタート。どこまでも走り続けられるような安心感と、快適性、荷物を効率的に積める積載性、質感の高い内装などはしっかりと受け継ぎ、時代を追うごとに確信を続ける先進技術を取り入れ進化しています。
アウトバックの根底には、スバルの共通思想である「安心と愉しさ」を提供したいという想いが息づいています。
アウトバックのポジション
アセントとフォレスターによる「SUVカテゴリー」。
アウトバックによる「クロスオーバーカテゴリー」。
これらを差別化。それぞれのモデルの個性がより発揮できる構成として、アウトバックの独自性を武器に新しいユーザーを考えた開発に臨んでいます。
アウトバックは、技術に裏付けされた機能性により、活動的なライフスタイルを提案しています。「スマート」なデザインとレガシィの個性である「ソリッド感(しっかりとした)」を際立ています。
グレードの展開
グレードは、「2.5L 直噴エンジン搭載モデル」と「2.4L 直噴ターボエンジン搭載モデル」の2パターンあります。
- Outback(ベースグレード)
- Premium(プレミアム)
- Limited(リミテッド)
- Touring(ツーリング)
- Onyx Edition XT←(国内ではX-BREAK相当のグレード)
- Limited XT
- Touring XT
多彩なグレード展開によって、ユーザーの多様なライフスタイルに対応しています。
パッケージングとユーティリティ
新型アウトバック(北米モデル)は、フロントガラスを前方に、フロントドアガラスを外側に広げるコトで前席の室内空間を拡大し、クラストップレベルの広々とした空間を生み出しています。
また、全長を伸長するコトでアウトバックの強みである後席空間や荷室スペースをさらに拡大させ、全ての乗員が快適に過ごすコトができます。
現行アウトバック | 新型アウトバック(北米モデル) | 現行比 | |
フロントショルダールーム | 1472mm | 1479mm | +7mm |
フロントヒップルーム | 1381mm | 1411mm | +30mm |
カップルディスタンス | 942.8mm | 953.6mm | +10.8mm |
リヤレッグルーム | 967.1mm | 973.2mm | +6.1mm |
荷室長 | 1061.6mm | 1085.5mm | +23.9mm |
現行アウトバックと同様にルーフレールにはクロスバータイプを採用。サーフボードやカヌーなどを搭載しやすいルーフレール形状にするだけでなく、前後部分に穴を開けるコトで、ロープを通して固定しやすいように工夫しています。
また、荷物を積まない時には収納するコトで、風切り音の低減、燃費向上を実現。

SUVなどの競合車と比べ、ルーフの位置が低く、荷物が搭載しやすいのもアウトバックの特徴です。
アウトバックの内装
従来からアウトバックにある安全性や視界の良さ、実用性の高さを継承・強化しながら、新しいアウトバックの価値として、先進装備を融合。
収納性
収納性は以下6点の改良があります。
- インパネ中段トレイ→スマホ、ペン、小物類の収納に便利
- コンソール横ポケット→助手席側シフトパネル側面
- コンソール中段リッド→コンソールリッド内部を上下に分けれる
- コンソール大型カップホルダー→カップホルダーの形状を大型化
- ドアトリム収納→ポケット形状を拡大

スバル車の収納性ってちょっとイマイチなんですよね。
新型アウトバック(北米モデル)では、現行アウトバックのユーザーの意見や生活スタイルの変化による新しい使用方法を研究し、便利に使える収納を増やしています。
シート
ウレタンパッド形状や部位ごとに硬度の切り替えを行い、疲れにくい長時間安定して座れるシートを開発。また、運転手の好みや体型に合わせて座面を前後に最大60mm調整できるクッション長調整機構を採用しています(Limited、Touring)。
さらに以下3点の改良があります。
「Onyx」には、「ポリウレタン人工皮革」を採用し、防水性とムレにくさを兼ね備えながらスムーズな敏感による高い質感を実現しています。また、「Touring」には「ナッパーレザー」をスバルで初採用。通常の革に対して、高級車にも使用されるソフトな風合いのフルグレイン原皮を採用しています。
エアコンの冷気を吸い込み循環させ、夏場のムシ暑さを軽減する前後ベンチレーションシートを採用(Touring)。また、シートヒーターの適用範囲を肩部まで拡大すると共に、ユーザーが暖かさを感じやすい部位に発熱部を重点配置し、冬場での作動効率を高めています。
また、助手席にも電動のシートリフターを採用し、快適に感じる高さの調整も可能です(Limited、Touring)。
前席と後席の距離を拡大し、スペース向上を図ると共に、後席チャイルドシートを積載しやすく、固定用アンカーを4点から5点に増加するコトで、ロアーアンカーを使用した後部中央席の固定も可能としています。
空調性能
大型コンデンサーとエバポレーターを採用し、熱交換率を向上する共に、空調通路の形状を改善。低圧損化を図り、充分な風量を確保しながら送風騒音を低減し、クラストップレベルの静音性を実現しています。
快適性と燃費向上のために、湿度センサーを車内へ設定し、空調切り替え制御・時間を最適化し、暖房性能向上と省動力化を実現。
また、始動直後時に効果的な補助暖房PTCヒーターを搭載(2.4Lターボモデル)し、低燃費エンジンであってもアメリカ北部・カナダなどの寒冷地域にて従来同様の暖房性能を確保。
前席は足元を均一な温度にするためにフットダクトを大型化し、足元配風面積を大幅に向上させています。
後席空調は風量の増加(165%アップ)と配風角度の調整域を拡大し、快適性を向上しています。
室内静寂性
床面のカーペット裏面全体にフェルトの吸音材を採用するとともに、内装とボデイの間にも広い面積で遮音表皮と吸音材を配置。
ボディやガラスを透過し、室内側に侵入する騒音については、発生する周波数帯域に応じて遮音と吸音をうまくバランスして、発生源に近い場所での抑え込みを行うコトで静寂性を向上させています。
荷室
長さ、幅を拡大。よりスクエアな開口形状と荷室内レイアウトを採用し、積載性を向上。ストローラーのタテ積みが可能になっています。
また、利便性装備についても、窓肩フック、ポケットネット、ポップアップトノカバー機構を採用し、多用な荷物の保持機能や積載時の使い勝手を大きく向上させています。
コックピットシステム
4代目インフォテイメントシステムは、CPUの処理能力を向上させた新システムを採用するとともに、大型の縦型ディスプレイを設定、大画面に集約されたさまざまな情報を、スマートフォン扱うように快適に操作できます。
新型インフォテイメントシステムでは、個別のプロセッサで動作していた複数のHMI(Human Machine Interface)を、スバル初となる「ハイパーバイザーシステム」の採用により、メーター液晶とセンターインフォメーションディスプレイを通信遅れのないスピーディーな連携表示を実現しています。
従来から採用している「Apple Car Play」、「AndroidAuto」、「SUBARU STARLINK」を継続、刷新しつつ、新しくスマートデバイスリンク(SDL)を導入し、多様なアプリに対応できるようにした。機能向上した音声認識とスマートフォンと連携した音声操作により、ハンドルから手を離すコトなく、快適に情報を得られるようにしています。
緊急を要しないハードスイッチをインフォテイメントシステムに組み込むコトで、使い勝手を損なうコトなく、インストルメントパネルからハードスイッチを省いています。

ハードスイッチはほぼ無くなってます。
このへんは、新型レヴォーグとほぼ同じですね。
センターインフォメーションディスプレイ
中上級グレードにはスバル初となる「11.6インチ FullHDディスプレイ」をインストルメントパネル中央部に配置。
スバル初のスプリット表示により、ナビやオーディオといった2つの情報を同時に表示するコトを可能。常時表示させたい情報や、必要に応じて確認・設定したい情報などを、分かりやすさと操作しやすさに配慮した表示内容としています。
ベースグレードには、スバル初となるデュアルディスプレイ(7インチWVGA×2)を採用しています。
車両カスタマイズメニューを集約し、大画面でのタッチ操作にするコトで、簡単かつ分かりやすい操作を実現しています。各アイコンは、スマートフォン同様の操作で移動を可能にしています。また、使用頻度の高い機能はユーザー好みに応じてアイコンとして追加可能とするコトで利便性を高めています。

縦型ディスプレイは最近のトレンド。スマートフォンに近い感覚で操作できます。
コンビメーションメーター
車両グレードに合わせて標準仕様/上級仕様のコンビメーションメーターを設定。上級仕様ではメータリング照明、シームレス文字盤を採用しています。
メーター中央部には、ドライバーに適切な情報を提供するため、分かりやすさと瞬読性を追求。画面意匠を刷新した4.2インチのマルチインフォメーションディスプレイを採用しています。
クルーズコントロール時には、セット車速の上にデジタルスピードメーターを常時表示させるコトで、実車速との比較を少ない目線移動で行えます。従来のECOゲージ領域を、カスタマイズでECOゲージ・外気温/時計・方位計(ナビ付きのみ)・航続可能距離から選んで表示可能。
その他、現行車と同様にアイサイト使用時の走行状態や警告表示のほか、ドライビングに関するさまざまな情報を表示します。
スマートデバイスリンク
車載インフォテインメントシステムとスマートフォンを連携するスマートデバイスリンク(SDL)に対応。
SDL対応アプリは、スマートフォンのOSに依存するコトなく、インフォテインメントシステム上で利用可能となり、以下のメリットがあります。
- スマートフォンにインストールした多くのアプリを利用可能
- 車載インフォテインメントシステム上のインストール等が不要でアプリの追加やアップデートはスマートフォン上で実施
- 車載インフォテインメントシステムの音声認識機能やタッチパネルを利用した安全な操作が可能
Harman/Kardonオーディオシステム

Harman社の圧縮音源復元技術【Clari-Fi】を採用。圧縮により失われた音楽成分をCD相当の音質まで復元可能としています。リアルタイムの演算処理によって、MP3やAAC、また異なる圧縮率の音源をそれぞれ適切な補正量で復元可能としています。
さらにHarman社の【GreenEdge】システムを採用。高能率のスピーカーとそれに合わせ最適に設計されたパワーアンプとの構成により、車両配線や回路内部でロスしていた電力を極限まで排除。中小音量時は低消費電力であり、かつ大音量は状況に応じて従来システムより大きな音量を出力可能。
10L Boxタイプのサブウーファーを搭載し、周辺の車体設計による音響性能の低下を回避し、ウーファー本来の性能を確保。迫力ある重低音の再生を可能としています。
CDデッキ
インフォテインメントシステムからCDデッキを分離し、センターコンソールボックス内に設置しています。
USB入力端子
USB端子を電源とするスマートフォンや電子機器の車内での使用増加に対応するため、インストルメントパネル下に前席乗員用、センターコンソール部後端に後席乗員用のUSB端子を配置。それぞれ最大定格2.1Aとし、2台同時に急速充電可能とするとともに、前席乗員用はスマートフォン、タブレット端末等とインフォテインメントシステムとの通信ポートとするコトで「Apple CarPlay」「Android Auto」にも対応可能としています。

USB入力端子は、現行フォレスターとほぼ同じですね。
ドライバーモニタリングシステム
SK系フォレスターで初採用したドライバーモニタリングシステムを新型アウトバック(北米モデル)にも採用しています。
ドライバーの安全を常に見守るだけでなく、「おもてなし機能」としても活用します。
ドライバーが乗り換えた時の利便性を高めるとともに、自動的なポジション調整・空調設定に加えて、マルチインフォメーションディスプレイ・センターインフォメーションディスプレイでの「おもてなし演出」を実施しています。
アウトバックの外装
旧型アウトバックから外装の利便性が向上しています。
ワイパーシステム
ワイパーシステムは以下4点の改良があります。
フラットブレードを採用して高さを旧型から約11mm低くし、室内から見た時のワイパーの突出量を低減しています。
助手席側のワイパーアームにウォッシャーノズルを装着し、アイサイトのステレオカメラ前のガラス面にウォッシャー液を直接噴射させるコトで洗浄性を向上しています。
アームを旧型から50mm延長し、払拭範囲を拡大しています。
リヤゲートガラスの広範囲にウォッシャー液がいきわたるように、同時に2方向へ噴射するウォッシャーノズルを採用しています。
リバース連動チルトダウンミラー
シフトポジションのリバースへの操作と連動して、助手席側のドアミラー鏡面を自動で下方に向けるコトで、後退に必要な視界を補助的に確保。
リヤタイヤ付近の地面を映すコトで、駐車しやすい視界を確保できます。

現行フォレスターから採用されていますが、ドアミラーの角度が急に変わるのがイヤな人もいるので好みあります。
なお、設定変更できます。
ドア開口部の遮音性強化
ドアウェザーストリップに隔壁を追加し、遮音性を強化しています。
ドアショルダー部の構造変更
ドアトリムの内部を通過する雑音を遮断するため、ショルダー部の構造を変更。
ガラスからの透過音低減
ガラスの板厚を上げて、ガラスを透過する風切り音などの雑音を低減。効果の高い部位に絞り、重量増を最小限に抑えています。
ヘッドライト
薄型かつシャープな造形により、スポーティさを表現し、DRL・Hi/Loビーム・サイドマーカーランプにはLEDを採用して、配光性能と省電力・ロングライフを実現。さらに上級グレードにはSRH(Steering Responsive Headlight)を採用しています。
リヤコンビネーションランプ
Rフィニッシャーまで連続したCシェイプテールランプを採用。テールランプ・ストップランプをLEDとし、省電力とロングライフを実現しています。
ドアミラー
ショルダーモールと一体化した新意匠を採用。ステーを薄くするコトで、風切り音と空気抵抗を低減しています。
ルーフレール
ルーフレールの前後にロープやベルトを直接結びつけられるアルミバーを追加。クロスバーと組み合わせるコトで、長尺物の安定した積載など、多彩な積載方法が可能な機能的なルーフレールになっています。
サイドクラッデイング
新たに前後のアーチ部にもガーニッシュを採用し、プロテクション効果を高めてSUVらしい力強い外観を実現。また、パネルからの張り出しを抑えて空力の悪化を抑え、燃費性能も確保しつつ、フィン形状を設定し高速走行時の安定性を高めています。
サイドシルガーニッシュの張り出しを抑えるコトで、旧型車と同等の乗降性を確保。ドアガーニッシュ下端にリップを設けて、汚れの侵入を防止しています。
パワーリヤゲート性能の向上
パワリヤゲート以下5点の改良があります。
リヤゲートのスバルオーナメントに手や腕をかざすコトでリヤゲートを開けることができる、「ハンズフリーパワーリヤゲート」を採用し、利便性を向上。
安全性を確保しながらゲートの自動開閉時間を40%短縮しています。
スイッチ操作しなくても、ゲートを直接手で操作するコトによって、ユーザーによるゲート開閉の意図をセンサーが読み取り、自動でのゲート開閉動作に切り替えます。
リヤゲートロックスイッチを押すコトで、リヤゲートの自動閉作動と車両施錠を行います。スイッチにはLED照明を採用し、夜間でもスイッチを認識しやすくしています。
リヤゲートに、モーターを内蔵したゲートステーを採用。駆動ユニットが室内からなくなったコトにより、標準仕様と同等の荷室空間を確保。

ハンズフリーパワーリヤゲートは、手がふさがっている状況でも開閉できるのでアウトドアシーンでは便利ですね。
ドア操作フィーリングの向上
ドア操作については、以下3点の改良がなされています。
旧型では、前傾させていたフロントドアの開閉回転軸を垂直に近づけ、ドア開度によって変化していた操作力を一定に近づけるコトで、自然なフィーリングになっています。
ドアウェザーストリップ断面を拡大するコトで、オーバーラン許容値を増加。これによって不快な叩き音を低減し、ドア閉時の音質を向上させています。
乗員への細やかな配慮を感じられる洗練された動作を実現するために、オート作動時の速度制御機能を追加しています。
全閉/全開位置の少し前から上昇/下降速度が遅くなり、最後はゆっくりと静かに閉まる/開く制御により、耳障りな音をなくすとともに上質感を演出しています。

後部座席ドアの閉まり音に関しては、旧型ではよく指摘された経験あります。
アウトバックらしく高級感のある音質に期待しています。
まとめ:ワンランク上の高級SUVが「アウトバック」。
いかがだったでしょうか。
今回は、新型アウトバック北米モデルまとめ【室内・外装編】について書きました。
都会での普段使いには、「高級感」を与えてくれるインテリアデザイン。休日でのキャンプなどアウトドアシーンにもしっかり対応できるだけの利便性。

新型アウトバックの日本導入は、2021年秋頃になるかと思われます。
アウトバックは着実に先代のデメリットを改良し、利便性が上がってきています。
この記事の内容はあくまで「北米モデル」なので、国内モデルの情報まだ先になります。
2021年に日本に投入される新型アウトバックについて教えてほしい。