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【前編】EJ20エンジン|スバル水平対向完全ガイド【現役社員が徹底解説】

【永久保存版】EJ20|スバル水平対向エンジン完全ガイド(前編)【現役社員が徹底解説】

さっそくですがこの記事にたどり着いた人は、こんな感じではないでしょうか?

  • EJ20エンジンってどんなエンジンなの?
  • EJ20エンジンについて深掘りしてほしい
  • EJ20エンジンの歴史について知りたい

EJ20エンジンについてはネット上にたくさん記事があります。
しかし、もっとマニアックな詳細が書かれている記事ってそんなにないんですよね。

しー

この記事では、現役社員である私がEJ20スバル水平対向エンジンについて徹底解説します。

主に「EJ20の誕生〜GDB型インプレッサWRX STI搭載モデル」までを書いた記事になっています。

興味のある部分だけでもご覧ください。

本記事のテーマ

【前編】EJ20エンジン|スバル水平対向完全ガイド【現役社員が徹底解説】

1989年に初代レガシィに搭載されたEJ20型エンジンは、SOHCの1800cc、2200cc、DOHCの2000ccから始まり、排気量バリエーションを増やしながら進化し続けます。

中でも、EJ20型ターボエンジンは、1996年にMASTER-4エンジンとして2000ccで世界初となる280psを達成し、2代目レガシィ(BD5、BG5型Bタイプ)、インプレッサWRX-STIバージョンⅢ(GC8、GF8型Dタイプ)に搭載されました。

【前編】EJ20エンジン|スバル水平対向完全ガイド

この記事では、MASTER-4エンジン以降の開発をメインに約30年もの間生産されたEJ20型ターボエンジンについて解説します。

EJ20型エンジンの開発(1984年〜)

スバルは、1958年に販売された軽自動車スバル360のアップグレード車として、1966年5月に小型車であるスバル1000を販売します。

搭載されるエンジンは、スバル360と同様に広い室内が得られるFF車として当時は一般的な水平対向エンジンが選ばれました。

スバル1000に搭載されたエンジンはこちら↓

EA52型(OHV)EA53型(OHV)
気筒数
ボア×ストローク72×60mm72×60mm
圧縮比9.010.0
総排気量977cc977cc
馬力55PS67PS

ボア、ストローク、ボアピッチの拡大を繰り返し、1984年にレオーネに搭載されたEA82型では、ボア×ストローク:92×67mm、総排気量1781ccとなり、さらにはSOHC化し、ターボチャージャーが搭載されました。

EA型エンジンに続く後継エンジンとしてEJ型エンジンの開発が1984年から始まり、初代レガシィに搭載され1989年に販売されます。

車体の搭載条件からストロークアップを抑え、国内では1800ccと2000cc、アメリカなどへの輸出を想定した2200ccへはボア径の拡大で対応されました。

出力向上のために全機種4バルブ化、スタンダード仕様の動弁系はSOHC(EJ18型:1800cc、EJ22型:2200cc)、高出力仕様にはDOHC(EJ20型:2000cc)を設定し、クランクベアリングはEA型の3ベアリングから5ベアリングとし出力向上に対応しました。

EJ20型はNAエンジンと水冷インタークーラー付きターボエンジン(水平対抗4気筒DOHC、総排気量1994cc、220PS)が展開されます。

特にターボエンジンは、レガシィセダン(BC5型)のフラッグシップモデル「RS」に搭載され、10万km世界速度記録(平均速度220.358km/h)を樹立。

しー

1993年にはスバルにとって初であり、レガシィにとって最初で最後のWRC優勝を飾ります。

レガシィのEJ20型エンジンは、第一線の性能を有したまま、その座をインプレッサに譲ることになります。

インプレッサWRX-STIとともにEJ20型エンジンは、操る愉しさを感じさせるだけでなく、数多くのモータースポーツの場において活躍し、歴史に残るエンジンとなっていきました。

EJ20型 2.0L 「280PS」開発

【永久保存版】EJ20|スバル水平対向エンジン完全ガイド(前編)【現役社員が徹底解説】EJ20型 2.0L 「280PS」開発
出典:AUTO PROVE

EJ20型ターボエンジンは初代レガシィのセダンRS(BC型 1989年1月〜、220PS)につづき、ツーリングワゴンGT(BF型 1989年9月〜、200PS)に搭載されました。

ツーリングワゴンへの搭載と同時にATが展開され、エンジンは実用域での扱いやすさや静寂性の向上を図るために、ピストン、カムシャフト、バルブスプリング、ターボチャージャーなどを専用化。

このツーリングワゴンGTは当時のレジャーブームと相まって販売が好調であり、EJ20型ターボエンジンの地位を確立します。

さらにこのエンジンは、シリンダーヘッド、ターボチャージャーの仕様変更、空冷式インタークーラーが採用され240PS化、初代インプレッサWRC(世界ラリー選手権)参戦のベース車両として引き継がれます。

2代目レガシィ(セダンBD型 ワゴンBG型 1993年)においては「ハイパワーワゴン」の地位を確実なものにするべく、過給システムの進化に取り組み、「2ステージ・ツインターボ」を採用、出力を250PSへ引き上げました。

大排気量NA並みの低速トルクと伸びのある加速性能を得るため、プライマリーターボをセカンダリーターボより小さくしました。

1996年のビックマイナーチェンジでレガシィ(BD5、BG5型Bタイプ)、インプレッサ(GC8、GF8型Dタイプ)に搭載されるEJ20型エンジンは量産2000ccエンジンとして世界初となる「280PS」を達成。

レガシィの高出力化は、

  • BMW M3(L6-2990cc、NA、286PS)
  • スカイラインGTR(L6-2568cc、ツインターボ、280PS)

こちらをベンチマークとして、明確に体感できる性能向上を実現するために「280PSにこだわり、エンジンが280馬力を出して他がどうすべきかを考える」車両開発を行います。

その結果、レガシィに搭載されるEJ20型エンジンは、(280PS:MT)、(260PS:AT)の2仕様で構成され、高出力と実用性の差別化を明確にし、ツーリングワゴンとしては当時は驚異的な1万台/月の販売実績を残しました。

しー

ちなみに、2代目レガシィ(セダンBD型 ワゴンBG型)は、バブル崩壊後の不景気が続く中、スバルの販売記録を全て塗り替える程の大ヒットとなります。

エンジンの概要

2ステージ・ツインターボシステムのレガシィ用と、シングルターボシステムのインプレッサ用EJ20型ターボエンジンの280馬力開発は並行して行われます。

しー

2ステージ・ツインターボシステムとは、大小2個のターボチャージャーを用途ごとに使い分けて、エンジンの回転域に合わせた酸素量を供給することができるシステムのことです。

簡単に言うと、低回転時と高回転時にそれぞれ使い分けることで燃費改善・排気ガスのクリーン化を狙えます。

両者のターボシステムは異なりますが、出力向上のアプローチはこちらの通り。

  • 吸入空気量増
  • 吸入空気温度低下
  • ガス交換能力向上
  • 吸排気効率の向上コンセプト
  • 高出力化に対応した吸気系、
  • EMS部品(エアフロメーター、スロットルバルブ、インジェクター)
  • 主機部品(シリンダーブロック、シリンダーヘッド等)

こちらの共用化を図ります。

吸気能力の向上

吸気能力向上のため、バルブリフト量の増加、高過給圧化を行いますが、背反となるのは低速トルクの低下とノック限界の低下です。

低速トルクに対しては低速域のフリクション低減、ノック限界の低下に対しては、吸気系圧損、ターボチャージャーのコンプレッサ効率、シリンダーヘッド冷却などの改善で対応しています。

動弁機構

ダイレクトプッシュ式バルブリフタをハイドロリックアジャスタタイプからソリッドタイプ(アウターシム)に変更。外径をΦ30→Φ33とし、軽量化とカムプロフィール変更(高リフト化)に対応しました。

バルブはインテークを中空化し、エキゾーストはNa封入化し、軽量化とノック改善を図っています。

これらにより、バルブスプリング荷重が下がり、2000rpmでの動弁系フリクションは約40%低減しました。

シリンダーヘッド

点火プラグ周りの冷却を改善すべく、燃焼室肉厚の低減とウォータージャケット内への整流リブ追加を行います。

可視化によって主流を燃焼室壁に沿わせ、淀み(よどみ)をなくすことで流速は2.7倍となり燃焼室壁温は29℃低下、全負荷時の点火時期は2〜3°進角に成功。

ピストン

スカートの短縮、ピンオフセット縮小、モリブデンコーティングを採用しフリクション低減を図っています。

背反となるピストン打音に対してはスカート剛性のチューニングで対応。

その結果、高回転側(5000rpm)で約2%のフリクション低減となりました。

吸気系

ターボチャージャーのコンプレッサ効率改善のため、コンプレッサ上流側の吸気系通気抵抗を低減。

上流側の通気抵抗を下げることでコンプレッサの圧力比を低下させ、吸気温度を下げることで出力性能が向上します。

レゾネータの通気抵抗減とエアフロメーター、吸気ダクト、スロットルの内径拡大を行っています。

また、インテークマニホールドのブランチ径も拡大されました。

ターボチャージャー

高出力化とシングル→ツインターボ切り替え時のつながり改善のために行われたのはこちらの通り。

  • 大風量コンプレッサホイールの採用
  • 高過給化と吸気温度上昇抑制
  • 最高出力ポイントでのコンプレッサ効率4%向上
  • タービンローター径の縮小
  • 軸受けにボールベアリングの採用

コンプレッサ効率を上げたことで、シングルターボ領域のセカンダリーターボへの排気ガス供給余裕ができ、これらが相まって予回転領域の拡大が可能となり、シングル→ツインターボ切り替え時のつながりが改善されています。

排気能力向上

レガシィにおいては高出力化と同時に静寂性も求められるため、電子制御式の可変マフラーを採用。

このマフラーは分岐したインレットパイプを持ち、その一方に制御バルブがあります。

制御バルブはエンジンコントロールユニットで制御されるモーターアクチュエーターにより開閉駆動されます。

通気抵抗は高背圧モードで6.5%低減、体積効率で2〜3%向上しました。低背圧モードで63%低減され、体積効率で2〜3%向上しました。

先ほど書いた、吸気能力向上策と合わせると12%の体積効率向上が得られています。

エンジン各パーツの高出力対応

高出力であっても日常使いができることが量産車では不可欠であり、以下の対応が図られました。

シリンダーヘッドガスケット

高燃焼圧への対応として3層メタルガスケットを採用し、ガスシール性能を確保。

クランクプーリー

デュアルマスダンパープーリーを採用することでクランクシャフトの応力を低減し、高出力化対応。

バルブおよびバルブシート

バルブフェースへのステライト盛り、バルブシートの材質変更を行い、バルブリフターのソリッド化においても、バルブクリアランスをメンテナンスフリーとしています。

エンジンパフォーマンス

2000cc、280馬力という出力開発の中で得られた技術は、このあとにつづく高出力エンジンにも継承されます。

西暦車両型式↓EJ20GEJ20HEJ20REJ20K
1989BC5220PS
1992GC8240PS
1993BD5/BG5250PS
1994GC8260PS
1996BD5/BG5260PS280PS
1996GC8/GF8260PS280PS
EJ20型エンジン280PSへの系譜

2ステージ・ツインターボシステムを採用したEJ20H、Rはいわゆるダウンサイジングターボの先駆けとなり、3代目レガシィ(BE、BH型)まで採用されました。

4代目レガシィ(BL、BP型)からは、

  • 吸排気デュアルAVCS(可変バルブタイミング)
  • 等長等爆エキゾーストマニホールド
  • ツインスクロールターボ(タービンホイールはチタンアルミ製)

これらによって、280PS/6400rpm、343Nm/2400rpmを発生させ、それまでの2ステージ・ツインターボ以上のパフォーマンスを発揮しています。

EJ20型ターボの戦闘力アップ開発(2000年〜)

初代インプレッサWRX STI-Ver.(GC8型)が培ってきたハイパフォーマンスカーとして系譜を引き継ぐため、さらなるパフォーマンス向上を図るべく、2000年10月に2代目インプレッサWRX STI(GDB型)を発表します。

ボクサーPHASE-Ⅱエンジンをベースとし、セミクローズドデッキシリンダーブロックや新設計ピストン・コンロッド、吸気AVCS、大容量ターボ、大型インタークーラーによって、280PS/6400rpm、343Nm/2400rpm、平成12年排ガス規制対応、燃費性能向上を図られています。

しかし、同時期に市場投入されたライバル車両に対して、大きく運動性能が劣っており、エンジンスペックでは表現できないパフォーマンスが不足していました。

そこで、2001年2月、インプレッサWRX STIの戦闘力強化スペシャルプロジェクトチーム(S-PT)が発足します。

目標性能

エンジンの目標性能の代用指標としては「筑波サーキット」のラップタイムを活用。

使用エンジン回転数、負荷、ギヤ位置や、アクセルの応答性などを数値化し、徹底的にポテンシャルアップを図ります。

特にインプレッサは、モータースポーツベースのベース車両として扱われることが多いので、日本国内で行われる市販車両ベースとして行われていた「スーパー耐久」も視野に入れたエンジンポテンシャルを検討されました。

これらを踏まえて、エンジントルク441Nmに耐えれるベース設計、レース車両として426Nm/330PS、生産車両として411Nm/295PSを目標値とされました。

開発にあたっては、WRC参戦車両に搭載されていたEJ20型エンジン:529Nm/3500rpmをもとに「レース用エンジンを量産化する」を意気込みの開発を行うこととなります。

しー

戦闘力強化エンジンの搭載車両は、GDB型マイナーチェンジ(Cタイプ2002年11月発売)であり、約1年半の開発期間がありました。

エンジンの概要

【永久保存版】EJ20|スバル水平対向エンジン完全ガイド(前編)【現役社員が徹底解説】エンジン概要
出典:webCG

エンジン開発は、大きく「性能向上アイテム」と性能向上にともなう「耐久性向上アイテム」の2種を並行して行われます。

エンジン性能は、内燃(爆発)の圧力をピストンが受けることによるクランクを回転させる力を増加させること(トルク向上)と、仕事量として単位期間内により多くのピストン運動させる(馬力向上)があります。

当時は、国内で販売される国産車は、最高馬力の自主規制(上限280馬力)があるため、トルク向上を中心とした開発が行われてきました。

しかし、モータースポーツユースでは、仕事量の向上(馬力向上)が勝敗のキーになります。

これらを踏まえて以下のアイテムについて検討が行われます。

性能向上アイテム

【吸気効率向上】

  • カムプロフィール
  • インテークマニホールド
  • 吸気ダクト
  • ターボチャージャー
  • インタークーラー

【排気効率向上】

  • エキゾーストマニホールド
  • 排気管+触媒
強度・耐久性向上アイテム

【構造系】

  • シリンダーブロック

【主運動系】

  • ピストン
  • コンロッド
  • クランクシャフト

その他

  • シリンダーヘッド
  • ヘッドガスケット
  • コンロッドメタル
  • オイルパン
  • オイルクーラー

シリンダーブロック

WRX STIのエンジンは、Aタイプより燃焼筒内圧力による発生応力とシリンダーボアの動き量を低減できるアルミダイキャスト製セミクローズドデッキシリンダーブロックを採用。

さらにCタイプでは、ヘッドガスケット形状を変更し、シール性能を向上させました。

強度・剛性関連では、クランクジャーナルを支えるジャーナル周りの強度、剛性向上。

また、冷却水通路形状を見直すことで、圧力損失を低減し、冷却性能を向上させました。

シリンダーヘッド

燃焼室温度を下げて、ノック限界を向上させるために燃焼室周辺のウォータージャケット形状を変更。

合わせて、点火進角による出力性能向上を図っています。

ヘッドガスケットについては、燃焼筒内圧力増加に対応するシール性を確保するために、シム、コーティング厚さを変更。

シリンダーブロック、シリンダーヘッドの剛性向上と合わせて、シール性能を向上させました。

ピストン

燃焼室冠面中央部を凸形状から凹形状に変更することで筒内ガス流動を促進させ、燃焼効率を向上させます。

また、強度向上のため鍛造ピストンから高強度アルミ素材を使った鋳造ピストンへ変更。

コンロッド小端部形状のテーパー化と合わせて、ピンボス形状をテーパー化することでピストン冠面強度を向上させつつ、ピンボス摩耗を低減させました。

クランクシャフト、コンロッド

クランクジャーナル、ピンの強度を確保するために、塩浴軟窒化処理クランクシャフトを採用。

ピンリセス形状を変更することでコンロッドメタル摺動面幅を拡大し、摺動面圧を低減。

コンロッドに関しては、ステム強度向上のために材料の管理精度を厳しくし、高硬度のもののみを使用することに。

ピストンピン摩耗を低減するため、小端部をテーパー形状とし、ピンブッシュの材質変更。

また、キャップ形状を小型化し、2500ccターボエンジンのボアストロークΦ 99.5×79mmにも採用可能な形状へ変更されました。

さらにコンロッドメタルには、増大した出力に対し、十分な軸受け強度を確保するためCu合金製メタルを採用。クランクシャフトピン形状変更と合わせ摺動面幅を拡大し、摺動面圧を低減させました。

AVCS、カムシャフト

Aタイプより採用している吸気AVCSに、BタイプSpec-C(GDB型Bタイプより設定されたモータースポーツユースを想定した軽量化車両)で開発した高開角、高リフトカムを採用。

等長等爆エキゾーストマニホールドによる排気脈動効果およびAVCSによるバルブ開閉タイミング調整を用いて、筒内残留ガスの掃気を促進させています。

体積効率を向上させることで、中低速トルクをさらに増幅。また、カムシャフトには耐摩耗性能向上のためリン酸マンガン被膜処理を行われています。

バルブリフタ、バルブスプリング

ダイレクトブッシュ式のバルブリフタを薄肉軽量化+選択組み付けによるシムレス式とし、レブリミット8000rpmまで安定した回転を可能としています。

オイルパン、ストレーナー

等長等爆排気システムに対応するためにエンジン前方を大幅に凹化した深低オイルパンを採用。

旋回走行時に発生する強烈なGの中でも安定したエンジンオイル圧送を可能とするため、オイルパン形状、バッフルプレート形状そしてストレーナー形状を見直されています。

しー

等長等爆エキマニに合わせたオイルパンに変更され、内部構造が変更されました。

オイルクーラー

高負荷時運転時のエンジンオイル温度上昇を抑えるために、水冷式オイルクーラーを採用。

また、モータースポーツユースを想定しているSpec-Cでは空冷式エンジンオイルクーラーを採用されます。

しー

空冷式オイルクーラーコアはフロントバンパーの後ろに装着されます。

余談ですが、アダプター部のOリングがよく漏れるので注意です。

インテークマニホールド

GDB型WRX STI(A/Bタイプ)のエンジンでは、WRXと共有するインテークマニホールドを使用していました。

WRX用エンジンは「平成12年基準排ガス25%低減レベル」を達成するために、インテークマニホールド内にTGV(タンブルジェネレーターバルブ)を採用していましたが、WRX STI用エンジンでは、TGVのバルブレスマニホールドによる3ピース構成のインテークマニホールドを採用していました。

Cタイプでは、吸気システムの低圧損化と最高出力発生回転数に合わせたディメンジョンの最適化を図るべく、1ピース構造のインテークマニホールドを新設。

GDB型Aタイプがポート径φ47×管長340mm コレクタ室容量700ccに対して、Cタイプではφ52〜φ45テーパー型×管長310mm コレクタ室容量1000ccとして主に過給前の慣性過給を狙った構造になっています。

等長等爆エキゾーストマニホールド

WRCに参戦しているWRカーカテゴリーでは、EJ20型エンジン+等長等爆エキゾーストマニホールドが採用されていました。

しかし、量産化には構造が複雑であり、大量生産・ライン装着だけでなく、十分な耐久性を得ることが難しいのが現実でした。

そこでシャシ部品(クロスメンバーフレームとクロスメンバーフレームに搭載されるステアリングギヤボックス)の変更を行うことなく、ライン装着可能な等長等爆エキゾーストマニホールドを開発。

コンセプトは、並行開発していた4代目レガシィ(BP、BL型)を踏襲されました。

ヘッドポート直後の管径はBP、BL型:φ35に対して、φ42.7としています。

また、4-2集合部より、ターボチャージャーへ接続する部位(立ち上げ部)は、シリンダーヘッドとクロスメンバーフレームの隙間を通すため、ハイドロフォーミング加工を採用されました。

しー

同じ等長等爆エキマニでも、レガシィとインプレッサ用では別物なんです。

ツインスクロールターボチャージャー

GC8型ではIHI製RHF5ターボチャージャー、GDB型シリーズからはコンプレッサーが大型化されたRHF55ターボチャージャーが搭載されました。

戦闘力強化スペシャルプロジェクトチーム(S-PT)では、より大型したRHF6シリーズも検討されましたが、ロードカーとしてのパフォーマンスがもっとも効果的に発揮できるRHF55ターボを継続採用することになりました。

また、等長等爆エキゾーストマニホールドの採用と合わせて、タービンハウジングに、低速域の過給効果を向上させることができるツインスクロール式を採用。

ツインスクロール式タービンハウジングには、スクロール部の耐久性向上のため、オーステナイト系ステンレス鋳鋼を採用。

ウェストゲート部の耐久性向上のためにウェストゲートバルブはオーバル式として、出口形状は真円を2つ設定する形状とされました。

軸受け部にはWRX STIにフルフロートベアリングを、WRX STI Spec-Cにはボールベアリング式(RHF5HB)を採用。

コンプレッサーハウジングには、コンプレッサーインペラとハウジングの隙間を限りなく密接化することが可能となるアブレーダブルシール(カセット式)を継続採用されます。

しー

ストリートユースには十分すぎるタービンだと思います。

インタークーラー

実際に使用しているインタークーラーのチューブ部分をサーモグラフにより可視化し、冷却性能向上させる構造へ変更。

また、インタークーラーに接続するダクトについても、圧力損失低減および過給気の分配改善のため、4分割構造(シリコンダクト2個、アルミダクト2個)を2分割(シリコンダクト1個、アルミダクト1個)としました。(インタークーラー+ダクトの変更はEタイプより織り込み)

コンプレッサー前ダクト拡大

鋳造アルミ製インテークマニホールドの駄肉部(型抜き用テーパーにより基本肉厚以上の駄肉がつく)除去加工し、ダクト系の拡大を図られています。

低圧損エキゾーストパイプ

ターボチャージャーのウェストゲートバルブから排出されるガス流がタービンハウジング出口部よりスムーズに排出できるように、タービンハウジングとの勘合部の形状を変更。

またEタイプからは、触媒より下流のパイプをφ60.5→φ63.5へ拡大し、圧損低減を図りました。

触媒は、Aタイプで採用された4ミル600セルに対して、9.6%の圧力損失改善を図られるとともに、触媒活性化前の冷態時に積極的にHC(ハイドロカーボン)を吸着する構造を採用し、平成12年排ガス規制に対応する排ガス浄化性能を確保しました。

燃料ポンプ

出力向上と合わせて燃料流量を確保するために、燃料ポンプは国内を流通するポンプの定格値の上限品をBタイプSpec-Cに採用。

Cタイプからは、ポンプモーターのコイル巻き線を変更し流量向上を図られています。

エンジンパフォーマンス

2001年に発足した戦闘力強化スペシャルプロジェクトチーム(S-PT)は、GDB型BタイプSpec-C、Cタイプ(等長等爆エキマニツインスクロールターボエンジン【2002年】)の車両開発を行いました。

いずれはの車両も国内では、筑波サーキット、ツインリンクもてぎ、ドイツNBR(ニュルブルクリンク)などを用い相対評価を行い、エンジンパフォーマンスだけでなく、車体・シャシの向上も図られています。

NBR(ニュルブルクリンク)による評価

スバルでは、GC8型時代からドイツNBRを使った開発も行っていました。

2002月9月にGDB型Cタイププロトタイプで8分6秒59を記録。

GC8型Eタイプ(STI Ver.Ⅲ)8分10秒75に対して、約4秒の短縮ではありましたが、NBRを走行することでタイム以上に大きな成果を得られました。

これ以来、これまでの戦闘力強化スペシャルプロジェクトチーム(S-PT)に代わって、2002年11月より「Revolution-PT(R-PT)」を発足。

NBRのラップタイム「8分を切る」車両開発プロジェクトが始まります。

「Revolution-PT(R-PT)」では、EJ20型エンジンだけでなく車両運動性能の向上を図り、Cタイプにて2003年10月に8分03秒22、2004年4月にEタイプにて7分59秒41を達成。

2002年の記録に対して、約7秒の短縮です。

「Revolution-PT(R-PT)」で得られたノウハウは、スバル車の運動性能向上先行開発プログラムとしてレガシィ・フォレスターなどに広められていきました。

STIコンプリートカー【S203・S204】

スバルのモータースポーツ統括会社であるSTI社によって、2006年にS203(GDB型インプレッサWRX STI Eタイプベース)が開発されます。

ベースエンジンに対して行われた改良は以下のとおり。

  • バランスドクランクシャフト・コンロッド・ピストン
  • 専用大型ボールベアリングターボチャージャー
  • 専用触媒
  • 専用マフラー
  • 専用シリコン製ターボ前ダクト

これらを新たに設定し、320PS/6400rpm、422Nm/4400rpmまで性能向上を図られています。

「Revolution-PT(R-PT)」で当初目標に掲げられていた目標性能がSシリーズで具現化されることになります。

「EJ20の誕生〜GDB型インプレッサWRX STI搭載モデル」までを書きました。

ここからは後編に続きます。

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しー
メカニック歴10年目|国家2級整備士|自動車検査員|愛車:SUBARU FORESTER(SK9)|スバリスト歴12年目|2020年6月ブログ&ツイッター&インスタ開設|ライティングスキルを磨くために日々奮闘中|車初心者や若手メカニックに聞かれる悩みなどにお答えします|スバル向けコンテンツに詳しい